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龍熱的香港功夫電影新聞広告大全⑥『五毒拳』

2024-08-30 14:24:33 | 邵氏兄弟電影黄金時代
「李小龍スペシャル」とは交互に更新予定の「龍熱的香港功夫電影新聞広告大全」第6回は、張徹が邵氏公司で撮った異色暗黒武打片『五毒拳』(78)です。

1970年代中盤、台湾で長弓公司を終了させ香港に帰国した張徹は次なる作品のアイデアに行き詰まっていました。王羽は既に邵氏を離脱し、姜大衛や狄龍、陳観泰、傅聲、戚冠軍ら“張家班”たちも当初の若々しさを失い、彼らの主演作群もマンネリ化しつつあったからです。
さらに台湾で張徹と喧嘩別れした劉家良が初監督作品『神打』(75)をヒットさせ、邵氏の大監督張徹の座を猛追していました。

そんな時、新たに斬新で奇抜な武打片のアイデアを張徹に囁いたのが詠春拳の大家で張徹作品の武術顧問的存在だった梁挺でした。
5人の主人公たちがお互いの素顔を知らぬまま、失われた秘拳の存亡を懸けて、己の野心と欲望のままに次々と潰し合う!異様で重苦しい暗黒世界闘争!
張徹は梁挺の提案に最初は乗り気ではありませんでしたが、渋々ながら台湾から連れ帰った武師たちから郭追、江生、鹿峯、香港から羅莽と韋白を加えた5人をキャスティングします。そう、“五毒”の誕生です。

香港で『五毒拳』が劇場公開された時、観客の反応はさほど好意的ではありませんでした。
何故なら姜大衛、狄龍、傅聲ら“張家班”の美男子たちを見慣れていた観客たちには“五毒”の5人たちは厳つく見えたし、陰惨かつ奇抜で複雑なストーリーも単純明快なアクションを好む香港の観客には響かなかったのでした。
その後『五毒拳』は映画に対して視野が広く洗練された目を持つ海外のファンに熱狂的に支持され、世界的なカルト作品として高く評価される事となります。
ただそれは同時に“五毒”という新たな作品世界を創り上げた張徹率いる“張家班”と、明るく真っ向勝負の“正宗國術”路線で猛追して来る劉家良率いる“劉家班”の本格的な抗争の始まりだったのです。

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