超級龍熱

香港功夫映画と共に

大空を舞う“アジアの鷹”よ、国宝を救え!ジャッキー・チェン導演&主演『ライジング・ドラゴン』

2013-01-27 13:34:35 | 作品レビュー
まだまだ原稿と格闘中ながらも、金曜日は都内某所でイラク戦争で戦死した兵士の遺族に第一報を伝える任務を受け持った軍人の姿を描いた『メッセンジャー』(09)を試写で観て中々の佳作に感動。その足で夜は渋谷で毎週行っている習い事。土曜日は大宮でアメリカ人の友人とお茶したりと何とも慌しく、されど充実した週末でした。

さて、昨日は4月に国内でも劇場公開が予定されている成龍ことジャッキー・チェン導演&主演『ライジング・ドラゴン/十二生肖』(13)を観てみました。
この映画は言うまでもなく、ジャッキーが全盛期に撮った『サンダーアーム/龍兄虎弟』(86)と『プロジェクト・イーグル』(91)の主人公“アジアの鷹”にジャッキーことJCが三度扮した作品です。
物語は19世紀にイギリス軍やフランス軍の中国侵攻で清王朝時代の十二支の動物にまつわる国宝が持ち出されていました。その全12体の内の現在行方不明になっている4体を探すため、アンティークディーラーMP社のモーガン(オリヴァー・プラット)は世界を股にかける“アジアの鷹”ことJC(ジャッキー)率いるトレジャーハンター・チーム(クォン・サンウ、姚星彤、廖凡、張藍心、そして途中からローラ・ワイスベッカー)を雇います。
ところが、パリ、南太平洋、中国など世界各国を駆け巡るJC&チームの前にはJCたちのミッションを阻む様々な敵が現れます。そしてそのJCたちが追い求める国宝の裏には思いもよらない陰謀が隠されていたのだった!・・・という展開です。
で、映画の冒頭でJCがコンバット・スーツみたいな姿で道路を疾走したり、庭園で何匹ものドーベルマンと追いかけっこをしたり、ジャングルの中で盧惠光などの海賊たちと延々と乱闘を繰り広げる辺りはハッキリ言ってこれまでのジャッキー映画で何度も見られたコミカル・アクションの焼き直しで、そこに姚星彤やローラ嬢のお馬鹿キャラも災いしてか、私は観ていてちょっとイライラしてしまいましたねえ(溜息)。
あ~あ、もう映画もこんな感じで1時間以上過ぎてるし、肝心のジャッキーよりもクォン・サンウのアクションが目立ってるし(苦笑)、こりゃこのまま『ライジング・ドラゴン』は終わるのかいな・・・と思ったら!!!!
そう、この『ライジング・ドラゴン』はその映画の終盤で、JCと憎々しげな若きトレジャー・ハンターで通称ヴァチュラーこと“禿鷹(演じるはテコンドー世界王者アラー・サフィ!)”が対峙する辺りから異様な盛り上がりを見せ、画面は俄然白熱していくのだ!!

禿鷹「ヨォ!JC、“アジアの鷹”に会えて光栄だぜ!」
JC「いや俺とお前は違うぞ。禿鷹、お前は東南アジアの寺院から仏像を盗んだな?」
禿鷹「ああ、あれは俺が頂いた!あの連中は地元の奴らの仕業だと思ってるがな」
JC「そのために何千人もの人間が殺しあう事になったんだぞ!?」
禿鷹「そんなこたぁ、俺には関係ねえな!」
JC「禿鷹、お前はクズ(scumbag)だ!」
禿鷹「俺にその台詞を吐いて生きてた奴はいねえぞ!(怒)」
JC「そうなのか?お前はS・C・U・M・B・A・Gだ!!」
禿鷹「・・・なあ、JC、テメエなんかこのソファーに座ったまま袋叩きに出来るんだぜ?」
JC「やってみろ!」

ここからのJCと禿鷹の2人がお互いを何とかソファーの上から叩き落とそうと猛スピードの突きや蹴りを何十発も繰り出す怒涛のクンフー・ファイト!素晴らしい!私はこういうジャッキーが見たかった!!ジャッキー、まだ出来るじゃないですか!?ジャッキー、まだ貴方は“武打星”の誇りを捨てていなかったんですね!ジャッキー、まだまだ貴方は“ドラゴン”なんですね!香港クンフー映画の長い歴史においても、このソファー、または椅子などを駆使した“どちらかがソファーから1度でも落ちたらそこで負け!”的なアクロバット・アクションはある意味“お家芸”なんですが、今回もう決して若くはないジャッキーがその“お家芸”を外国人であるアラー・サフィ相手にここまでの圧巻のクンフー・ファイトとして披露してみせた事に私は拍手を贈りたいですね。私はこのジャッキーvsアラー・サフィの一騎打ちを大スクリーンで観るだけでも、この『ライジング・ドラゴン』を劇場に観に行く価値があると思います。
このJCvs禿鷹の対決に加えて、張藍心vsケイトリン・デシェルら“女ドラゴン”たちが猛然と蹴り合ったり(いいねー!いいねー!)、無数の敵に囲まれたJCが往年のジャッキー映画を彷彿させるような「ジャッキーが広い空間を延々と逃げ回りながらも、何時の間にか1人で大勢の敵を倒している」というハイレベルで痛快なアクロバット・チェイスも観る事が出来ます。
そしてこの『ライジング・ドラゴン』はいよいよクライマックスを迎え、ある陰謀により“十二生肖”の内で最後に残った国宝である“龍の首”を何と巨大な火山の火口に投げ込め!との指令を受けた禿鷹が眼下に火山を見下ろすセスナ機から大空に向かってスカイダイビング!そして世界中の目がテレビ中継に集まる中、今まさに禿鷹が真っ赤に口を開けた火口目掛けて“龍の首”を投げ込もうとしたその時!禿鷹の背後からもう1人のスカイジャンパーが舞い降りる!誰だ!?“アジアの鷹”だ!JCだ!いやジャッキーだ!!
JCと禿鷹は大空を舞いながらも凄まじい風圧の中で“龍の首”を奪い合いますが、JCは傍らを飛んでいた禿鷹の仲間が空中の乱戦で気を失った姿を見ると、敵ながらも敢えてその禿鷹の仲間を助け、さらには自分のパラシュートも使ってしまいます。しかし自分のパラシュートを使ってしまったJCは、再び空中で禿鷹と“龍の首”を奪い合いますが、一瞬の隙を突かれて禿鷹に“龍の首”を火口に投げ込まれてしまいます!!

禿鷹「JC、お前はもう翼を失ったコンドルだぜ!諦めろぉぉ!」
JC「ウウウ・・・ウオオオオオオオ!!!」

いま中国の至宝が自分の目の前で失われようとしているその瞬間、JCは自らの命をかなぐり捨てるような文字通り“命懸け”の行動に出ます!果たしてその“命懸け”の行動とは!?

この大興奮の結末は本作『ライジング・ドラゴン』が4月に劇場公開となった際に、是非とも皆さんご自身で確かめてみて下さい。そして映画はそのエンディングで舒淇や呉彦祖のカメオ出演を経て、まさに観客全員が「ええええええ!?」となってしまうある“女性”の最強的カメオ出演が実現していますので、そちらも是非お楽しみに!!
この『ライジング・ドラゴン』、特に後半はジャッキー信者ならずとも思わず画面に向かって「そうだ、ジャッキー!行けぇぇ!」と力の限りに応援してしまうこと必至です♪改めてジャッキー・チェン、まだまだ元気一杯の『ライジング・ドラゴン』レビューでした!!
コメント (5)
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