超級龍熱

香港功夫映画と共に

熱風!韓国LEGENDS(40) 李大根vs權永文、真っ向激突!!朴雨相導演『大義』

2010-06-19 14:05:33 | 熱風!韓国LEGENDS
先週は都内某所で、我らがチョン・ジヒョン主演『僕の彼女を紹介します』4枚組限定版DVD(サントラCD含む)、呉京主演『黒拳』2枚組DVD、千虎珍主演『GP506』2枚組DVDがそれぞれ100円(!)で投売りされているを発見して「何で?何でこんなに安いの?あ、あんまりだセヨ~!」と言いながら、結局全部自分が救済していました(爆笑!)。
特に『僕カノ』4枚組限定版はかなりレアなので嬉しかったです♪でもとりあえずは今晩のワールドカップ日本vsオランダを観るのが先だセヨ~!!

さて「熱風!韓国LEGENDS」記念すべき大台の第40回は、朴雨相導演、李大根&權永文主演『大義』(76)でいきたいと思います。今回この『大義』のレビューに私が使用したソフトは韓国製オリジナルVHSなんですが、私がこの『大義』という作品がお気に入りである理由は、ただ単に私が大好きな朴雨相導演作品であるという事だけではないんですね。
まずは韓国映像資料院のサイトで、この『大義』のオリジナル・ポスターをご覧になって下さい↓http://www.kmdb.or.kr/movie/md_basic.asp?nation=K&p_dataid=03061
このポスターを見るとですね、主演の大根兄貴は勿論ですが、ポスターの左端に真っ白なスーツ姿、そして丸坊主(!)の凶悪モード丸出しで佇む1人の武打星に注目です!そう、このスキンヘッドの武打星こそ韓国クンフー映画では黄正利、黄仁植、そして王虎と並ぶ伝説的なスーパーキッカーである權永文なんですねー!
私は以前にこの『大義』のポスターで異様な丸坊主姿の權永文を見てから、もうこの『大義』という韓国武打片が観たくて観たくて堪らなかったんですよぉ!だってそもそも權永文がスキンヘッドで出演しているなんてそうそうないもんねえ?(苦笑)。

で、例によってこの『大義』のVHSが全編韓国語&字幕無しだったため、物語の完全な把握はかなり困難だったんですが、映画は韓国のソウル(劇中では京城表記)を舞台に、韓国の右翼青年団体である西北青年団を率いるケイ・ソンファン(李大根)と、それに対立する凶悪なパク・デソン(權永文)率いる共産党の激しい抗争を中心に描いています。
序盤は主演の李大根よりも、むしろその同志である韓兌一と相棒のデブッチョの凸凹コンビが目立っていて、そのデブッチョがパク・デソンの子分(演じるは朴東龍!)に射殺され、親友の復讐に燃える韓兌一がナイトクラブのトイレで朴東龍を待ち伏せし、鬼気迫る乱闘の果てに朴東龍を刺殺し、見事親友の仇を討つシーンは中々の見せ場となっています。
主役のケイ・ソンファン役の李大根に関しては、後ほど詳しく触れたいと思いますが、他作品では豪快な拳技アクションを披露している大根兄貴ながら、今回の『大義』での大根のアクション自体は全体的にやや控え目となっています。
ただその分クライマックスの海岸を舞台とした2つの団体の激しい銃撃戦の果てに、ケイ・ソンファンvsパク・デソンの火花を散らす一騎討ちこそ、この『大義』の最大の見せ場である事に間違いはないでしょう!
まずは權永文演じるパク・デソンは、自分に迫る西北青年団の一群をその丸坊主(しつこいですが(笑))&白のスーツ姿から繰り出す豪快な連続廻し蹴りで蹴散らすと、目の前の大根兄貴演じるケイ・ソンファンと鋭い視殺戦から、ケイ・ソンファンに猛然と連続での蹴り技を叩き込んでいきます!またケイ・ソンファンも得意の拳技でパク・デソンに真っ向から応戦し、劣勢となったパク・デソンは卑怯にもスコップを手にするとソンファンの助太刀に現れた韓兌一に一撃を浴びせ、哀れ韓兌一はその場に崩れ落ちます。それを見て怒りを爆発させたケイ・ソンファンは怒涛の拳技の連打をパク・デソンに叩き込み、ついにパク・デソンはケイ・ソンファンに倒されるのでした。
この『大義』鑑賞後の私の本作の印象は、朴雨相導演作品にしては作品全体の出来がどうも淡白と言うか、特に自身の作品ではそのクライマックスの武打シーンに必ずと言って良いほど男騒ぎするテーマ曲を使用する事で、それらの決戦シーンを大いに盛り上げる事に成功していた朴導演なのに、何故か今回の『大義』での李大根vs權永文の対決シーンではそれらのテーマ曲が一切使用されなかったのが個人的には実に残念でした。
まあそうは言っても李大根と權永文の一騎討ちという超レアな顔合わせが唯一実現した本作『大義』は、やはり韓国クンフー映画ファンにとっては文字通りの必見作品であると言って良いでしょう。

さて、今回この『大義』の主演武打星である李大根(イ・デグン)は1943年7月1日韓国はソウルに生まれました。
この李大根の大根は何と本名(!)で、大根自身は敬虔なクリスチャンでもあります。また大根の父親は青年団の幹部として解放などの政治活動をしていたそうです。
徐羅伐芸術大学を出た大根は、当初は演劇や舞台でキャリアをスタートしましたが、その後1967年KBSに第7期の俳優として入社し、チェ・ムリョン導演&主演作品『第3地帯』(68)で映画デビューを果たします。
そして何と言っても韓国武打星として大根の名を一躍知らしめたのが、実在した韓国ヤクザを大根が演じた金暁天導演作品『実録:金斗漢』(74)や『侠客:金斗漢』(75)シリーズ、李赫洙導演作品『シラソニ』(79)や『侠客シラソニ2』(80)であった事は以前から当ブログでも触れて来ました。
他にも大根と金珠が哀愁漂うテーマ曲に乗ってひたすら延々と殴り合う私も大好きな作品である『大根が来たぞ!』(79)を初め、異色作品『夕日の10番街』(79)、『平壌パッチギ!』(82)など数多くの韓国武打片に主演した李大根は黄海、張東輝、朴魯植(いずれこの人の主演作特集もやる予定!)といった伝説的な韓国武打星の後を引き継ぎ、70年代から80年代以降の韓国武打片の歴史を立派に支え続けたのでした。
また大根は80年代中盤からはエロティックな映画にも多数出演したことから<韓国のセックスシンボル>として評価されている部分もあるようですが、本人は余り本意ではないようです。
300本(その内150本はアクション映画!)以上の出演作を誇る李大根ですが、これまで自分の3人の娘の教育のために頻繁に韓国とアメリカを行き来していましたが、近年もシン・ミナ主演『最強☆彼女』(08)などで元気な姿を見せていましたね。まさに己の鉄拳だけを頼りに韓国武打片に“韓国拳撃巨星”として余りある足跡を残して来た李大根、そのキャリアは永遠に不滅と言っていいでしょう。
コメント (2)
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