来月の大阪アジアン映画祭で上映される「กอด/抱擁:Handle me with care」、これもすごくいい映画です。
生まれつき腕が3本ある青年クワーン。人と違う体であることは、彼にとっては決して生き易いことではなく、いつも好奇の目にさらされたり、ときには気味悪がられたり。いつしか他人に対して、とても高い壁を作ってしまうようになってしまいます。
だからといって決して引きこもっているわけでもなくて・・・誰かに本当の自分を分かって欲しい、という気持ちを常に持っているわけです。そんな青年クワーンでしたが、3本のうち1本手術で切断することになり、バンコクへと向かいます。
しかし旅の途中、お金を盗まれてしまい文無しに。同じバスに乗っていた女の子ナーと一緒に、バンコクへ向かうことになります。途中ヒッチハイクをしたり、警察に追われたり・・・心を開こうとしないクワーンに対し、ナーはもどかしい気持ちを抱きながらも、いつしかその孤独に触れ、彼の心に共感を持ち始めます。
手術を終えたクワーンは、今まで自分の望んできた「普通の体」になるわけですが、1本腕をなくした自分もまた好奇の目にさらされます。ですがこの経験で、クワーンは「自分」というものが、外見に左右されるものではないことに気がつくのですね。受け入れることのできなかったナーの真心を取り戻しに、ナーの元へと向かいます・・・。
3本の腕という設定が、これまたタイらしいというか・・・シリアスになりがちなテーマではありますが、どことなくコミカルに、思わず「ふふっ」となってしまうような描かれ方をしているんですよ。カバンに荷物を詰めるシーンや、郵便物を仕分けする仕事をしたりするシーンの、その見事な手さばき(?)は見ごたえがありました。人と違うことは特別なことじゃくて、ひとつの個性ではあるけれど、人間というものはやはり「自分と違うもの」に対してどうしても違和感を感じてしまうものなのです。その矛盾を理解しようとしながらも、やはり心のなかでは傷つき続けるクワーンの葛藤が、すごく巧く描かれていて・・・そんなクワーンを見守るナーも、単なる同情で接していくわけではないんですよね。心に孤独を抱えながらも、それでも自分というものを必死に保とうとしているクワーンに、いつしか心引かれていくわけですよ。手術により失った腕は、本当はクワーンのそんな迷いというか、自信のなさの表れだったのかもしれません。
こういうのんびりした映画もまた良いものですね。いろいろなことを考えさせられる映画は、あまり得意ではないのですが、観終わった跡にすごくさわやかな気分になれます。フィクションだけど、実際に身近なところでもありそうなリアリティの感じられる、素敵な映画でした。
生まれつき腕が3本ある青年クワーン。人と違う体であることは、彼にとっては決して生き易いことではなく、いつも好奇の目にさらされたり、ときには気味悪がられたり。いつしか他人に対して、とても高い壁を作ってしまうようになってしまいます。
だからといって決して引きこもっているわけでもなくて・・・誰かに本当の自分を分かって欲しい、という気持ちを常に持っているわけです。そんな青年クワーンでしたが、3本のうち1本手術で切断することになり、バンコクへと向かいます。
しかし旅の途中、お金を盗まれてしまい文無しに。同じバスに乗っていた女の子ナーと一緒に、バンコクへ向かうことになります。途中ヒッチハイクをしたり、警察に追われたり・・・心を開こうとしないクワーンに対し、ナーはもどかしい気持ちを抱きながらも、いつしかその孤独に触れ、彼の心に共感を持ち始めます。
手術を終えたクワーンは、今まで自分の望んできた「普通の体」になるわけですが、1本腕をなくした自分もまた好奇の目にさらされます。ですがこの経験で、クワーンは「自分」というものが、外見に左右されるものではないことに気がつくのですね。受け入れることのできなかったナーの真心を取り戻しに、ナーの元へと向かいます・・・。
3本の腕という設定が、これまたタイらしいというか・・・シリアスになりがちなテーマではありますが、どことなくコミカルに、思わず「ふふっ」となってしまうような描かれ方をしているんですよ。カバンに荷物を詰めるシーンや、郵便物を仕分けする仕事をしたりするシーンの、その見事な手さばき(?)は見ごたえがありました。人と違うことは特別なことじゃくて、ひとつの個性ではあるけれど、人間というものはやはり「自分と違うもの」に対してどうしても違和感を感じてしまうものなのです。その矛盾を理解しようとしながらも、やはり心のなかでは傷つき続けるクワーンの葛藤が、すごく巧く描かれていて・・・そんなクワーンを見守るナーも、単なる同情で接していくわけではないんですよね。心に孤独を抱えながらも、それでも自分というものを必死に保とうとしているクワーンに、いつしか心引かれていくわけですよ。手術により失った腕は、本当はクワーンのそんな迷いというか、自信のなさの表れだったのかもしれません。
こういうのんびりした映画もまた良いものですね。いろいろなことを考えさせられる映画は、あまり得意ではないのですが、観終わった跡にすごくさわやかな気分になれます。フィクションだけど、実際に身近なところでもありそうなリアリティの感じられる、素敵な映画でした。