テムテムな日常

頑張れみんな!頑張れ自分!

これもめっちゃいい!「Handle me with care」

2009-02-21 | タイドラマ・タイ映画
来月の大阪アジアン映画祭で上映される「กอด/抱擁:Handle me with care」、これもすごくいい映画です。

生まれつき腕が3本ある青年クワーン。人と違う体であることは、彼にとっては決して生き易いことではなく、いつも好奇の目にさらされたり、ときには気味悪がられたり。いつしか他人に対して、とても高い壁を作ってしまうようになってしまいます。

だからといって決して引きこもっているわけでもなくて・・・誰かに本当の自分を分かって欲しい、という気持ちを常に持っているわけです。そんな青年クワーンでしたが、3本のうち1本手術で切断することになり、バンコクへと向かいます。

しかし旅の途中、お金を盗まれてしまい文無しに。同じバスに乗っていた女の子ナーと一緒に、バンコクへ向かうことになります。途中ヒッチハイクをしたり、警察に追われたり・・・心を開こうとしないクワーンに対し、ナーはもどかしい気持ちを抱きながらも、いつしかその孤独に触れ、彼の心に共感を持ち始めます。

手術を終えたクワーンは、今まで自分の望んできた「普通の体」になるわけですが、1本腕をなくした自分もまた好奇の目にさらされます。ですがこの経験で、クワーンは「自分」というものが、外見に左右されるものではないことに気がつくのですね。受け入れることのできなかったナーの真心を取り戻しに、ナーの元へと向かいます・・・。


3本の腕という設定が、これまたタイらしいというか・・・シリアスになりがちなテーマではありますが、どことなくコミカルに、思わず「ふふっ」となってしまうような描かれ方をしているんですよ。カバンに荷物を詰めるシーンや、郵便物を仕分けする仕事をしたりするシーンの、その見事な手さばき(?)は見ごたえがありました。人と違うことは特別なことじゃくて、ひとつの個性ではあるけれど、人間というものはやはり「自分と違うもの」に対してどうしても違和感を感じてしまうものなのです。その矛盾を理解しようとしながらも、やはり心のなかでは傷つき続けるクワーンの葛藤が、すごく巧く描かれていて・・・そんなクワーンを見守るナーも、単なる同情で接していくわけではないんですよね。心に孤独を抱えながらも、それでも自分というものを必死に保とうとしているクワーンに、いつしか心引かれていくわけですよ。手術により失った腕は、本当はクワーンのそんな迷いというか、自信のなさの表れだったのかもしれません。

こういうのんびりした映画もまた良いものですね。いろいろなことを考えさせられる映画は、あまり得意ではないのですが、観終わった跡にすごくさわやかな気分になれます。フィクションだけど、実際に身近なところでもありそうなリアリティの感じられる、素敵な映画でした。

前半めっちゃヨカッタ!「怨霊のプログラム」

2009-02-21 | タイドラマ・タイ映画
いつも観ているタイドラマの劇中に、この映画らしきVを観ているシーンがあって、「もうVCDになってるのか!?」と思っていたら、私の契約している視聴サイトにもちゃんとupされていたので、さっそく観ました。いや~、これ(前半は)めっちゃ面白かったですよ!映画館で観てたら多分(前半では)チビってましたね。

とある映画館で働くソムとチェン。ふたりは恋人同士だったのですが、ギャンブル好きのチェンが金策のためソムの時計を持ち出そうとしたことから関係がぎくしゃくしはじめます。ソムの誕生日に声をかけてもチェンは無視されてしまいます。

そんなチェンでしたが、やはりどうしてもギャンブルから足を洗えず、公開前の映画をビデオ撮影し、それを市場に流して小金を稼ごうとします。同僚に撮影を頼み、自分はフィルム室で待機していたのですが、いつしか眠ってしまいます。慌ててビデオ撮影していた同僚のもとへ行くのですが、彼はおらず、ビデオだけが残されていました。しかし、その残されたビデオには、とんでもないものが映っていたのです。

チェンたちが撮影していたビデオは、実話を元にしたホラームービー。ある村で、子供達が次々とさらわれ、探しに来た親たちによって子供をさらっていたチャバーという女が、首を吊られ命を落とす・・・といったストーリー。その後もストーリーは続くのですが、どういうわけだか首を吊られるシーンで映像が途切れ、なにかにおびえ後ずさりする同僚のただならぬ姿が映っていたわけです。

不審に思ったチェンは、いなくなってしまった同僚を探すのですが、いくら探しても見つからず・・・しかしとうとう、彼を発見します。例の映画のなかに、変わり果てた彼の姿を・・・。

ありえない現実の恐怖におびえるチェンから話を聞いたソムは、インターネットで映画の元になった事件を調べます。調べを進めるうち、映画では住民達によって殺されていたチャバーが、実はそのときは殺されていなかったという事実を突き止めます。

映画を撮影した関係者を探すソムたちですが、なぜかひとりも連絡がとれず・・・家を訪ねてみてもすでにいなくなってしまっていました。ソムとチェンは夜、その家に忍び込むのですが、チェンがそこで見つけたフィルムには、映画の撮影時、チャバーを演じた女優が、誤って本当に首吊り状態になり命を落とす状況が記録されていました。チェンは映画館に戻り、その映画のフィルムを破棄しようとするのですが・・・。



前半はめっちゃ怖かったんですよ!この劇中で上映されるホラーもすごく怖くって、ゼヒ続きが観たいくらいです。なんですが、後半の謎解きからラストまでが・・・イマイチやったんですよねぇ~。確かに恐怖やスリルは最後まで続くし、ホラーであっても中だるみの感があるタイホラー映画にしては、めずらしくよく作りこまれた作品だとは思うんですけど・・・もうちょっと最後のほうを丁寧に描いて欲しかったですね。まぁあれはあれで、かなり怖い結末でしたけど。

主演のPunchは、映画初主演。主題歌も歌っています。そしてチェン役のこの俳優さん、別の映画で来日もしたことのある今売り出し中の俳優さんです(私はあまり好みではありませんが)。Punchはこの作品で「TopAwaed2008」の新人女優賞も取りましたね。演技もなかなか良かったし、Punchファンにはたまらないかも。なかなかよく作りこまれた、上質のホラー映画でした。VCDが近々届くので、今度はもっとじっくり観たいですね。