本日は経期延長と冷えを伴う無菌性膀胱炎の症例です。
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患者:徐某 30歳 女性 初診年月日:1993年9月23日<o:p></o:p>
病歴:当該患者は一年前より、寒さに当たり、(その後)疲労後に腰痛、頻尿、下腹部下垂感、四肢が(浮腫のために)腫れ、畏寒(いかん:寒さを畏れる)、月経の期間が延長し十日程度になった。検尿は何度も検査するが異常なく、中間尿培養検査も陰性であった。多種の抗生物質は全て無効。舌淡紅、苔白、脈沈。<o:p></o:p>
中医弁証:冷淋、胞宮寒凝血瘀合併<o:p></o:p>
西医診断:尿道総合症<o:p></o:p>
治法:温経散寒、理気活血の法<o:p></o:p>
方薬:茴香(理気和胃 散寒止痛)20g 炮姜(乾姜を炮じて炭化したもの、温裏効果は乾姜に劣るが、温経止血作用がある)15g 延胡索(活血行気止痛)15g 五霊脂(活血止痛、化瘀止血 ムササビの糞です)15g 川芎(活血行気、祛風止痛)15g 当帰(養血活血)20g 肉桂(温裏散寒、補火助陽、引火帰源)10g 赤芍(清熱涼血 祛瘀止痛)15g 烏薬(温腎散寒 行気止痛)15g 牛膝(活血補肝腎強筋骨 引血下降 利水通淋)15g 鶏血藤(苦/温 活血養血 舒筋活絡)30g 甘草15g 益母草(活血利水消腫)30g<o:p></o:p>
上方加減28剤、水煎服用、毎日二回に分服、上述症状消失、快癒退院となった。
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ドクター康仁の印象<o:p></o:p>
附子や補骨脂の配伍がありませんので、前案(368報)よりも陽虚の程度は軽い印象です。しかし、益母草と赤芍を除いて、全て温薬です。やはり温薬は効き易い印象です。活血し、利水して浮腫を除く、益母草は私も愛用しています。当帰と鶏血藤を比較すれば、当帰は養血が主体、鶏血藤は活血が主体となるのでしょうか。五霊脂は臭いので、温薬で活血を期待する場合には鶏血藤は使い易い生薬です。月経期間が延長しているのに活血薬を使用するのはいかがなものか?と警鐘する日本の物書き漢方医がいますが、血瘀(瘀血)の捉え方が根本的に中医と異なるようですね。活血止血法は中医独自の理論でしょう。特に婦人病にはとても有効な治療方法のひとつです。<o:p></o:p>
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2014年5月28日(水)<o:p></o:p>
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