本日で紫斑病性腎炎の清熱解毒 涼血止血治療についての市民講座を終了します。
( )内に随時、コメントや印象を入れます。
それでは、医案に進みましょう。
患者:?某 7歳 女児
初診年月日:1984年3月14日
主訴:顕微鏡下血尿、蛋白尿6ヶ月
病歴:
6ヶ月前、双下肢に紫斑が出現、北京市某病院受診、蛋白尿、顕微鏡下血尿を指摘され紫斑病性腎炎と診断され、中西医結合治療を受け、双下肢の紫斑は消失したが、尿所見に改善無く、治療を求め氏を受診。
初診時所見:
手足心熱、尿黄赤、舌紅、脈滑数。尿蛋白3+、RBC満視野/HP。
中医診断:尿血(熱毒内蘊)
西医診断:紫斑病性腎炎
治法:清熱解毒、涼血止血:
生地黄(清熱養陰)20g 白茅根(凉血止血、清熱利尿)30g 小薊(涼血止血)30g 白花蛇舌草(清熱解毒)30g 黄芩(清熱解毒)10g 牡丹皮(清熱活血涼血)15g 赤芍(清熱涼血、祛瘀止痛)10g 蒲公英(清熱解毒)30g 側柏葉(涼血止血)15g 貫衆(清熱解毒 止血殺虫)20g 甘草(調和諸薬)15g
20剤、水煎服用、毎日一剤、早晩分服。
二診 1984年4月15日
上方20剤で、諸症減軽、舌辺僅かに紅、脈滑。尿蛋白2+、RBC3~5個/HP。効果ありと判断し、前方加減を継続。
黄耆30g 貫衆20g 白茅根30→50g 白花蛇舌草30→50g 蒲黄(収渋止血、行血祛瘀)15g 側柏葉15g 黄芩15g 益母草(活血利水消腫)30g 牡丹皮15g 藕節(収斂止血)20g 生地黄15g 甘草15g
20剤、水煎、毎日一剤、早晩分服。
三診 1984年6月5日
上方20剤にて、尿蛋白±、RBC1~2個/HP、苔白膩、脈滑。上方をやや加減して50余剤、尿検査陰性、諸症は除かれ、治癒したと告げた。
ドクター康仁の印象
本案でも、前案と同じく、最初は清熱解毒剤、涼血止血剤、次に益気の黄蓍が加味されていますね。7歳女児に白茅根50g、白花蛇舌草50gは大量ですから、使用経験が無いと躊躇する量ですね。中西医結合治療の中にはステロイドも使用されたでしょう。其の副作用としての傷陰も十分にあるはずです。生地黄を通して配伍しているのは養陰清熱の治療概念があるからです。清熱解毒、涼血止血だけではなくて、養陰清熱も入ってくるでしょう。勿論、熱邪耗気、傷陰の観点からも生地黄は欠かせませんね。熱病後期にしばしば益気養陰剤を配伍するのはその故です。
2014年 3月30日(日)
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