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多発性嚢胞腎の漢方治療 医案9 腎病漢方治療185報

2013-07-30 00:15:00 | ブログ

肖相如氏医案 湿瘀互結 痰飲停聚証案

(北京中医雑誌 2003年 第1期より)

患者:満某某 60歳 男性

受診年月日199959

病歴

腰部張痛、下肢の浮腫で超音波検査を受け、8cm8cmの嚢腫が発見され、嘗て、穿刺により800mlの液体を抜いたことがある。液体を抜くとまたもとのサイズに戻る。受診前の前日、超音波の検査でまだ8cmx4cmに大きくなっていた。

診察時所見

腰部張痛、頭重感、下肢の重い感じ、軽度浮腫、飲食可、大便偏干、小便正常、舌質暗紅、瘀点あり、苔薄白膩、脈沈弦。尿検査正常、Cre 198μmol/L2.24m/dL)、血圧170/100mmHg

弁証:湿瘀互結、痰飲停聚

治法:活血利水化痰

方用:当帰芍薬散加味

当帰12g 川芎10g 赤芍10g 白朮10g 茯苓15g 澤瀉15g 淮(懐)牛膝15g 車前子15g(包煎)白芥子15g 水蛭6g 沢蘭15g 毎日1剤水煎服用、減塩低蛋白飲食。

経過

1ヵ月後、元の西洋医を受診して超音波検査を再検したところ、嚢腫は4cmx3cmに縮小しており、血圧は150/90mmHgまで下降し、Cre120μmol/L1.36m/dL)まで下降していた。自覚症状消失、上方を隔日1剤服用、随訪半年、病情安定。

評析

腎嚢腫に対応する中医の記載はなく、治法も未完成であり、積聚を根拠に討論を進める中医もあり、“巣嚢痞塊、痰証に属す”と言う中医もあり、病機を痰と相関するとも考えられる。この他に、嚢腫には水湿停聚の病機もある。したがって、本案の治療に血瘀水停痰聚の病機から、活血利水の当帰芍薬散加白芥子等で効果を収めた。「本草求真」には、白芥子“脇下及び皮裏膜外の痰を治す”と記載があり、温経通絡散結の作用があり、腎嚢腫の重要な薬物であると認識できので、さらなる研究の価値がある。

ドクター康仁の印象

超音波検査では多発性嚢胞腎の所見の記載が無く、8cm8cmの嚢腫と記載があるだけですので、本案が果たして多発性嚢胞腎の医案として適切かどうか疑問が残ります。

直系8cmの球体に含まれる液体の最大瞬間体積は4/3πr3乗=約268mlですから医案の800mlを抜いたとする記載は、留置カテーテルで時間をかけて抜いた場合に抜く先から液体が溜まってきたのか、それとも嚢胞同士の連結があるために量が多くなったのか、出血を合併したので増量したのか、複数回の穿刺合計として800mlになったのかが不明なのです。記載が無ければ想像をたくましくするしかありません。どうでもいいようなことに拘り(こだわり)を感じることからサイエンスは始まると私は思いますが、皆さんはどう思いますか?

Polycystickidneydisease

写真 多発性嚢胞腎:腎臓はもっと巨大になる場合もあります。尿管の拡張はありません。

http://geneticpeople.com/?p=554 より

2013730日(火) 記


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