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アトピー性皮膚炎 漢方治療②

2012-07-13 15:32:22 | アトピー性皮膚炎

併用は慎むべき生薬と食べない方が良い食品

症例から考える

23歳女性 従来ステロイド軟膏の塗布治療と抗アレルギー剤の治療を続けてきたが寛解と悪化を繰り返してきた。近年漢方治療に切り替えたところ、症状が芳しくなく、顔面の熱感を伴う浮腫が出現、後頚部、全胸部の発疹も悪化が進行するために当院を受診した。10月の中旬ですでに若干寒くなっていたころである。持参した漢方薬を見たところ、六君子湯、消風散、麻黄湯、桂枝湯、小青龍湯があった。その時節はインフルエンザが流行していて、風邪気味でかかりつけの漢方医から麻黄湯、次いで桂枝湯、しばらくして小青龍湯が処方されていた。

六君子湯40点、消風散50点、麻黄湯桂枝湯小青龍湯は各マイナス40点 計マイナス30点の評価点数で、アトピー性皮膚炎という観点からは、寒熱弁証を欠く治療をしていたと言わざるを得ない。

 

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初診時所見、顔面の浮腫と赤みの増強、後頚部湿疹の悪化、前胸部湿疹の赤みが目立つ悪化、

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手甲部湿疹の出現、肘部湿疹の再発

 

なぜ、マイナス評価になるのか?各処方の検討

六君子湯

人参 茯苓 白朮 炙甘草 の四君子湯に半夏(燥湿化痰)陳皮(理気化痰)を加えて6君子湯になるが、多くのエキス剤では生姜大棗が配合されている。半夏と生姜は小半夏湯の組み合わせで止嘔に働く。健脾燥湿(胃腸機能を改善し、内湿を取り除く)という意味では、アトピーのじくじくした病変の改善には一理あるが、赤みや痒みには効果がない。全体として温の性質を持つために、赤みが悪化してくるアトピーの症例には減量するか、中止した方がよいであろう。その意味で40点の評価となる。

 

消風散

主として皮膚科で、膨疹 掻痒を伴う紅斑などに使用される いわゆる

中医学での風疹 湿疹に用いられる。

中医基礎理論での「治風先治血 血行風邪減」の観点から補血剤を配合する。

左薬として表記する。養血に作用するのは当帰のみである。熟地黄は温薬であるので、涼薬であり潤燥の作用を併せ持つ生地黄(生地)を配合している。

疏風透表

?芥 防風 牛蒡子 蝉脱

君薬

散風除湿   ?

清熱燥湿   苦参

滲利湿熱   木通

清熱瀉火   石膏 知母

 

 

臣薬

 

養血活血滋陰潤燥

 

佐薬

当帰 生地 胡麻仁

生甘草

使薬

生甘草は炙甘草に比較すると薬性はやや涼に傾き清熱効果が生じてくる。

?芥 防風は風剤(痒み止め)の潤剤であり、燥に傾かせることが無いので、乾燥肌のいわゆる「血虚生風」の痒みの強いアトピーに向いている。知母にも潤燥の作用がある。

以上から、六君子湯よりは、アトピーの治療ではマシな方剤である。しかし、中国の現場では消風散は力不足の評価があり、単独で用いられることはきわめて少ない。

可も無く不可も無く50点の評価となる。

 

麻黄湯 

発汗解表剤の麻黄は一般にアトピーを悪化させる。マイナス40

桂枝湯 

同じく発汗解表剤の桂枝温薬の生姜はアトピーを悪化させることが多いのでマイナス40

小青龍湯

麻黄桂枝乾姜白芍五味子半夏炙甘草6以上の組み合わせ中、前稿で述べたとおり、麻黄 桂枝 乾姜 細辛は原則アトピー性皮膚炎には使用しないほうが良い、というよりも使用してはならない。 マイナス40点となる。元来は、風寒襲肺による喘、冷哮に用いる方剤である。漫然とアトピーの患者に処方し続けてはならない。

 

まず、服用している漢方薬を全て中止させ、養陰清熱潤膚、風止痒剤に変更、食生活の注意点を指導した。生姜紅茶の中止、香辛料の中止、鶏肉を除く肉食の中止、餃子の中止 鰻、アナゴの中止などである。

 

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治療5週後 第3再診 アトピー性病変は劇的に消失している。

 

アトピー性皮膚炎についての相談は「すずき康仁クリニック」の相談フォームkojindou@cap.ocn.ne.jpから