明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



出品作は、小津安二郎、マルコムX、ジャン・コクトーという、縁もゆかりもない妙なラインナップである。マルコムXは大きめで半身だけ。コクトーも撮影用に作ったため半身だけである。これはたまたまだが、2人とも右手の人差し指を突き出すお得意のポーズである。 コクトーの後ろの薔薇の精。パリオペラ座のバンジャマン・ペッシュは、当時はおそらく相撲でいえば前頭クラスだったはずだが、今ではエトワールである。横を当時のエトワール、マニュエル・ルグリが笑いながら、コクトーを捧げ持った私の肘をかすって通った。ファインダー内ではこう見えているが、はたから見ればおかしな撮影である。リハーサルを近くで見ていて(バレエ初体験) 合間に見せる「あらヤダ、オホホ」的しぐさにモリモリした筋肉の青年が、おかしな衣装で、ゼイゼイいいながら飛び回るのを見て、オリジナルのニジンスキーに興味を持った。翌年大胆にも、以後バレエを一つも観ずにニジンスキーで個展をやってしまった。 マルコムXは震災時、棚の上で宮武外骨と“人”という形に支え合い難を逃れた。我が家の棚では普通のことであるが、手術台の上のミシンとこうもり傘なみの出会いである。マルコムXを出品するとメールを送ったらライターのMさんから返事。『いま、時期だと思いますよ。そういえば6月11日には大規模な原発デモがあるそうです。(なにが、そういえばなのかわかりませんが)』。

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