もう、がっかりである。俳優、役者というと、どこかスカしているものだが、そんなところが微塵も感じられない、いかにも東京出身の俳優であった。『龍馬暗殺』他印象深い映画は数多いが、私にとってATGといえば高校時代から通った今はない銀座並木座で、特に『祭りの準備』が印象深い。当時三本立には、だいたいどれか併映された『旅の重さ』『八月の濡れた砂』『青春の蹉跌』には悩まされたものだが。門番の制止を聞かずくわえ煙草で、福島原発の敷地内に入っていってしまう『原子力戦争』など今観たら相当面白いだろう。 倉本聡脚本の桃井かおり主演のマリリン・モンローを下敷きにしたドラマ『祭りが終ったとき』の主題歌『レィジー・レディ・ブルース』は探せばシングル盤レコードがまだ在るはずだが、赤面物の、すぐ港でバーボン飲んでしまう日本人のブルースの中で、黒人のブルースばかり聞いていた私にも、第一級の歌唱に感じられた。合掌。
『船の挨拶』には信号旗がはためく旗竿が不可欠である。しかし撮影を予定している場所に旗竿はない。そういえばマンションの屋上に、なかなか立派な旗竿が立っているのを思いだした。 『コクリコ坂から』の予告編を見ると女の子は『貴船の安航を祈る』の意味のU・Wを掲げているが、舞台は昭和38年だそうで、そうなると、三島が『船の挨拶』で書くように当時はW・A・Yだったはずなのだが。手書き風の画を見ると、その返答として少年の乗る船が1・U・Wを掲げているが、これもU・W・1ではないだろうか?私はつい最近、『船の挨拶』のために調べたから妙に見えるだけだが。私は個展に来た女の子が、私の作ったピアノの鍵盤を数えている光景が未だに焼きついている。
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