三昧日記

小心者川筋男の後悔日誌

ハンディトランシーバ TH-7 の修理

2023-02-07 07:50:14 | 日記
受信音がまったく聞こえないというトランシーバの修理に挑戦しました。
そのトランシーバと言うのはケンウッドの144/430MHz帯ハンディトランシーバ TH-7 です。発売からもう30年も過ぎたでしょうか?当時はやりだした携帯電話に似せた外観です。なかなかいいのですが,何しろ出力が100mWという低電力型。ちょっと(いや,かなり)満たされないものがあります。

まず,外観をご覧ください。

アンテナは本体に収納できる構造です。つまり,外部アンテナを接続することができません。

たしかに申告どおり受信音が聞こえません。しかし,ボリュームを最大にして耳をスピーカに密着すると微かに聞こえたのです。と言うことは,受信回路は生きていている。ただ,低周波増幅回路の利得が極端に低下しているに違いありません。

当時,電解コンデンサの一部商品に問題があって,わたしも現役の設計者だった頃その対策に奔走した経験があります。このトランシーバも同様の問題を抱えているようです。
今は便利な時代で,交換用の電解コンデンサがセットで売られています。さっそく買い求めました。

ビニル袋に6個入っています。
このとき表面実装部品であることを改めて認識しました。これは大変です。老眼となった今,表面実装部品を付けたり,外したりするのは至難の業です。

まず,トランシーバを分解します。と言ってもケースを外すだけです。

コンパクトにぎっしり詰まっています。

上の写真の赤丸で囲んだ6個を取り替えました。何とかできました。
ただし,1個だけはパタン(銅箔)をはがしてしまい,ジャンパー線でつなぐ羽目になりました。

さあ,組み立てて受信!あれ,聞こえない。受信音量は初期状態と同じです。どうも交換したコンデンサは見当違いだったようです。

しかし,気になるコンデンサが1個残っていました。なぜかこれはセットに含まれていません。

上の写真の赤丸で囲んだコンデンサです。リード付きです。場所もスピーカの近く。つまり,低周波増幅回路と大いに関係ありそうです。なにしろ,回路図がないので想像するしかありません。
68uFのようですが,手元には同じものがありません。要領の大きい100uFと交換しました。

青い円柱型のコンデンサがお判りいただけますか?

さあ,組み戻して受信!完璧(?)です。もはや耳をスピーカから離しても充分聞き取れます。
修理完了といたしましょう。
以上

オルゴール付き目覚まし時計を修理

2023-02-07 04:42:56 | 日記
過日オルゴール付きの目覚まし時計の修理を頼まれました。時計機能は回復できたもののオルゴールは振動板のいくつかの弁が折れてしまっていて回復できませんでした。それで同種の時計からオルゴールを取り出して移植しようとしてインターネットオークションで手に入れたのが今回ご紹介する時計です。残念ながらオルゴールの曲目がふさわしくなく,移植はあきらめたのでした。

時計は SEIKO MELODIA, MD875 で,オルゴールの曲目は[「真室川音頭」のようです。
まずその外観をご覧ください。
正面です。

向かって左側が時計部分で,右側はオルゴール部分です。下の方に3つのレバーがあり,左から
FREE, STOP, SET
と表示されています。FREEは任意にオルゴールを鳴らすもので,右端のSETは設定した時刻にオルゴールを鳴らすもの,中央のSTOPは強制的にオルゴールの動作を止めるものです。

背面です。

薄汚れていますが,つまみなどはすべてそろっています。ただし,この写真ではわかりませんが,ケースを止めるねじ4本のうちの1本が失われています。まあ,大した問題ではありません。

さて,ケースを開いて内部を見ます。

意外と綺麗です。しかし,時計のムーブメントは

埃にまみれています。埃を払って軸受け部分に注油すると動き始めました。もちろん,オルゴールも同様です。

組み戻して,2,3日慣らし運転していたとき,突然バンという音とともに止まってしまいました。どうもゼンマイが破断したようです。
手に入れたときゼンマイはいっぱいに巻かれていました。その状態で数十年間放置されていたものが解放されると塑性変形を起こすことがあるのでしょう。
破断したゼンマイの修復は面倒です。特に好きな時計でもないのでとりあえず使えるオルゴールだけ取り出してそのまま放置。いずれ廃棄するつもりでした。

しかし,どうせ捨てるのならムーブメントの分解・組み立ての練習台にしようと思い立ったものです。
再びケースを開けました。

ゼンマイがほどけています。

ムーブメントを取り外して側面の板を外しました。いくつかの歯車が外れてしまいます。テンプも転がり出ました。

しかし何よりも大切なのはゼンマイで怪我をしないことです。そのため,万一ゼンマイがはじけても怪我をしないような体勢をとります。

充分気を付けながらそろそろとゼンマイを引き出しました。

2か所で切れていました。写真の左上の方にテンプが転がっていますね。
巻き始めの部分です。

幅3mm長さ4mmほどの穴があけられています。この穴を軸の突起にひっかけてゼンマイを巻き上げるのです。

ここに来て考えが変わりました。ムーブメントの分解・組み立てを練習してその技能を高めるのが目的でしたが,修理したくなったのです。

それにはまず残ったゼンマイの中心部分に穴を開けなければなりません。そのためにドリルで穴があけられるよう過熱して軟鉄に変性させます。アルコールランプであぶりました。

穴あけ成功!あとは根気よく軸に巻き付けるだけです。

ゼンマイ巻き上げ成功。テンプを取り付けるとさっそく元気よく動き始めました。

ここまで来ればしめたものです。
ケース内に取り付け,ケースを固定すれば完成です。

実は,この最後の段階でオルゴールを制御する3つのレバーの調整が難航しました。この時計の修理で一番難しかった部分かも知れません。
とにかく時計は復活し,設定時刻になるとさわやかな(わたしは好きではありませんが)真室川音頭の調べが奏でられます。
ムーブメントの分解・組み立ての技能はあまり進歩しませんでした。
以上