三昧日記

小心者川筋男の後悔日誌

TS-520Vを改造

2016-09-20 06:53:46 | 日記
またもマニアックな内容です。
昨日TS-520Vという無線機(トランシーバ)を改造しました。と言っても,これまで何度かご紹介したことの続きに過ぎません。ちょっと題名を改めただけです。

TS-520Vはトリオが40年ほど前に発売したアマチュア無線用の無線機です。トリオは現在のケンウッドです。そのトリオはわたしが子供の頃(ラジオ少年だった頃)春日無線と称していました。トリオまでは知っていても春日無線を知っている人は少ないでしょう。
話がそれました。
40年ほど前と言えば丁度真空管から半導体(トランジスタ)へと大きく変化していた時代です。と言うか,もうほとんど半導体化されていました。
このTS-520Vも送信部の終段とその励振段のみが真空管の構成です。したがって,受信するだけなら真空管は使わないのでヒータへの電源を供給しなくても構いません。事実,無線機の前面には真空管のヒータ電源のON/OFFスイッチが付いています。下の写真をご覧ください。白いセメント抵抗が立っているのがわかりますか?

赤い円で囲んだレバーがそれです。写真はスイッチをONにした状態です。
何でそんなスイッチが要るのかですって?――これはわたしの勝手な解釈ですが,つぎの3つの理由からだと思います。
① 不用意に(調整しないまま)出力しないこと
② できるだけ真空管の寿命を延ばすため
③ できるだけ消費電力を抑えるため
上記のうち,①は深刻な問題が発生する可能性があります。壊れるかも知れません。②は一般的な話ですが,特に受信することの多い利用者には効果がありますね。③は補足的なものですが,16Wほどの節約になります。ただし,ここは単に消費電力だけではなく,熱的な問題が重要だと思います。

また細かい話になってしまいました。だらだらと話を進めるのは良くありません。読み手はいらいらしますね。きょうの主題は以下の2点です。
① ヒータ抵抗を取り替えた
② 冷却ファンを取り付けた(スイッチも付けた)

ヒータ抵抗についてはすでに報告しました。シャシ内にあった6.2Ω7Wのセメント抵抗を終段管の隣に移設したものです。
しかし,これについては不満がありました。それは
① 7Wでは容量に余裕がない
② ヒータにかかる電圧がやや高め
そこで,もっと容量が大きく,抵抗値も7Ω程度のものを探していました。運良くインターネットで見つかったので購入しました。6.8Ω10Wです。抵抗値はいいものの,電力はもう少し大きいものが欲しいのですが,余り大きくなると寸法も大きくなり実装スペースに問題が出てきます。冷却ファンを取り付けることもあり,ここはこれ(6.8Ω10W)でよしとしましょう。取り付けて測定した結果,わたしの手持ちの横河の高級テスターによれば終段管に印加される電圧は6.3V乃至6.4Vでした。OK!下の写真をご覧ください。

実はこの無線機を手に入れたとき,冷却ファンがついていました。前の持ち主が100W仕様に改造していたからです。
トリオではこの無線機のシリーズとして2機種出していました。(旧型を除く。)10W仕様のTS-520Vと100W仕様のTS-520Sです。そして前者には冷却ファンはなく,後者にはついていました。わたしは10Wしか必要ありませんので,10W仕様に戻し,冷却ファンを撤去しました。これらはすでにお話ししたとおりです。
しかし,10Wとは言え,真空管のヒータ電源を投入したまま放置しておくとケースの終段部分の温度が非常に高くなっていることを確認しました。目玉焼きができるほどまでは行きませんが,かなり熱いです。温度計で簡単に測ってみました。
その結果,ヒータ通電中は約5℃上昇,ヒータ電源を切ると約2℃の上昇でした。わずか3℃の違いですが,簡単な測定ということもあり,さらにケース表面温度ですから内部はもっと高いでしょう。――と言うことで,冷却ファンを元に戻して取り付けることに決めました。
ところで,冷却ファンで問題になるのは2点。
① 音がうるさい
② 寿命が短い
そもそも上記①が嫌いでファンを取り外したのですが,実際のところこのファンはほとんど騒音が出ません。ファンが稼働しているのがわからないほどです。やはり,直流電動機ではなく,誘導電動機を採用しているためでしょう。サイズ・回転数も関係しているかも知れません。
寿命に関しては一工夫しました。それは,ヒータスイッチと連動させることです。内部の配線を変更してファンの電源回路にヒータスイッチの残りの接点を挿入しました。(本当は余っている接点などはありません。一回路犠牲にしました。)
2枚目の写真をもう一度ご覧ください。
以上