檀一雄の旧友、太宰治。酔うとよく自殺を誘われた、なんて仲だったらしい。
「斜陽」は初めてだが、「人間失格」は二度目。
この2つの作品の共通点は、何不自由ない家に生まれたことから生じた不幸、
だろうか。
「人間失格」の大庭葉蔵しても、「斜陽」のかず子と弟のしても、どこか
不幸へのあこがれ、を持っているように思える。
転落した場所でさえも、自分の中にあるエネルギーを注ぐべき方向は
ねじまがり、普通の人々の普通の日常に耐えられないのを、出自のせいにする、
主人公たち。なかなか腹立たしい。
特にかず子においては、一回無理矢理キスされただけで舞い上がっちゃう
勘違い女が、最後にあこがれた不幸は、シングルマザーになることで、
それを手に入れたかず子の手紙の内容は「満足」にあふれている。
やっぱり女性にはなんとしてでも生きてやる、という細胞が組み込まれて
いるのだろうか?
一方男性たちは・・・
現実と折り合いをつけることができなかったかず子の弟は自ら死を選び、
葉蔵は女、酒、薬に逃げて廃人になる道を行く。