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つながり読書38 「モッキンポット師の後始末」 井上ひさし

2013-10-01 20:15:15 | ヨムヨム ネタバレチュウイ!!!
時代はさかのぼるが、鴻上尚史と同じ岸田國士戯曲賞を1972年に

「道元の冒険」で受賞した井上ひさし、というつながり。

なぜか「モッキンポット」という名前に聞き覚えがあり、ひょっとして

昔読んだ?と思ったが、違った。

こんなおもしろいもの、読んだら忘れない。

「カナダ人の発音は田舎くさくて困ったもんや。あんた、そのカナダ訛りを

直すのにたっぷり1年はかかりまっせ。」と指摘したフランス人神父が

モッキンポット神父であり、これが主人公小松君との出会いの場面だ。

それから始まる物語はまさしく神父さんの尻ぬぐい記なのだが、

勉強する身であってもなんでも、まずは「食べる」ということのために、

貪欲にならざるを得なかった時代背景がドンと構えている。

やはり演劇に携わる人の書くものは、どんな隅に出てくる人物にも物語を

ちゃんと背負わせてるところが、共通しているように思える。

だからヒヨコ鑑定の話をするストリッパーのヘレンさんのイメージも

自然とできてしまうのだ。

「むずかしいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」