かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

ブログ版  馬場あき子の外国詠 84(スペイン)

2018年09月17日 | 短歌一首鑑賞
 ブログ版馬場あき子の外国詠10(2008年7月9月実施)
   【西班牙 2 西班牙の青】『青い夜のことば』(1999年刊)P55~
    参加者:N・I、M・S、崎尾廣子、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:T・H    司会とまとめ:鹿取 未放


84 尖塔は碧空に入りて西班牙の深き虚に触れ物思はしむ

      (レポート)
 私は残念ながら、この尖塔がどこの教会のものか分からない。少しでも天に近づきたいとのキリスト教の信仰の現れで、ゴシック建築の特徴。今、馬場はその尖塔を仰ぎ見ている。その尖塔はスペインの紺碧の空に吸い込まれているように見える。またその尖塔は「深き虚に触れ」、歴史的な事件や人間の営みなどについて、馬場を深い思いに誘っている。(T・H)


      (まとめ)
 82番歌「静かの海のさびしさありてマドリッドのまつさをな虚にもろ手を伸ばす」にもあった「虚」がまた出てきた。直截に言えば「虚空」ということだろう。こちらは「尖塔」だから82番歌の「虚」より物思う内容が絞りやすい。大きくいえば、やはり東洋思想と西洋思想、キリスト教という思想についての物思いであろう。(鹿取)