かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

ブログ版 渡辺松男の一首鑑賞 2の97

2018年09月04日 | 短歌一首鑑賞
  渡辺松男研究2の13(2018年7月実施)
    【すこし哲学】『泡宇宙の蛙』(1999年)P65~
     参加者:K・O、A・K、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子 司会と記録:鹿取未放


97 諍いて寝てしまえども青樹海夢のなかにて空飛ぶ家族

     (レポート)
 諍(あらそ)って寝てしまったのだけれど、その後、夢の中で空を飛ぶ家族になっていた。三句「青樹海」と続く「夢のなか」が同格のように働き、三句から四句は雄大な時間の層を思わせる。そのなかで諍(あらそ)ったあとの家族が何事もなかったかのように空を飛んでいる。(慧子)


(当日意見)
★「あらそう」と読むのでしょうかね?「いさかう」じゃないですか?(A・K)
★うーん、一首声に出して読むと「いさかう」の方が美しいですね。青樹海と繋げると「あらそう」
 の「あ」の音もありかな。漢和辞典では「あらそう」の読みも出ています。(鹿取)
★すがすがしいですね。青樹海の出し方もうまい。みんな疲れて寝ちゃたんですね。 いい感じの 
 家族になっている。(K・O)
★青のトーンが夢の世界にふさわしいですね。どこまでも青い樹海の上を家族して夢で飛んでいる。
 青の層のはかなさと分厚さを感じます。(鹿取)