かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

ブログ版 渡辺松男の一首鑑賞 2の103

2018年09月10日 | 短歌一首鑑賞
  ブログ版渡辺松男研究2の14(2018年8月実施)
    【はだか】『泡宇宙の蛙』(1999年)P69~
     参加者:泉真帆、A・K、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉真帆    司会と記録:鹿取未放

103 てんとう虫にとても似ている姪がいててんとう虫がランドセル背負(しょ)う

      (レポート)
 よく、〈ランドセルにしょわれてる〉と新一年生の愛らしさを言うが、この歌では、てんとう虫に似ている姪っ子なのだという。そう表現することで、てんとう虫がてんとう虫を背負っているような不思議な愛らしさが醸しだされる。結句の「背負う」に「しょう」とルビをしたところにも、イメージ喚起への作者の周到な用意がうかがえる。(真帆)


     (当日意見)
★二つ目の天道虫は姪ってことですよね。「てんとうむしに似ている姪が」ランドセルを背負うの
 ではなくて、「てんとうむし」がランドセルを背負うと行ったところが鮮やか。とても意識的な
 言葉の使い方をしている。「せおう」ではなく「しょう」というのもいいですよね。「て」が多
 いとおっしゃったけど、読んでいても「て」がピーときますよね。(A・K)
★てんとうむしが学校へ行っているという気がしますね。めだかの学校じゃないけど。(慧子)
★質問ですが、ランドセルには関係なくもともと姪っ子さんがてんとうむしに似ていたということ
 なんですか?(真帆)
★そうでしょうね。てんとうむしに似ているって言われてもどこがどう似ているのか具体的には分か
 らないけど小さくて可愛らしいのでしょうね。(鹿取)
★人が思いつかないような比喩を持ってくるって、感覚ですよね。普通は可愛い花に例えるんだけ
 ど、虫を持ってくる。(A・K)
★おかしな比喩だけど分かる。(真帆)
★そこが今の若い人の歌と違う。若い人の歌は閉じているから仲間内では分かるけど、おばあさん
 にはさっぱり分からない。(A・K)