渡辺松男研究2の6(2017年11月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
【夢監視人】P32~
参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、渡部慧子、A・Y、鹿取未放
レポーター:泉 真帆
司会と記録:鹿取未放
42 透りたる尾鰭をみれば永遠はすずしそうなり化石の石斑魚(うぐい)
(レポート)
星尾峠から30㎞ほど離れるが、群馬県には神流町恐竜センターがある。化石の発掘体験もできるのだという。もしかしたら、石斑魚の化石が荒船山に落ちていたのかもしれない。薄い尾鰭の部分はべっ甲のように透けているのではないか。「永遠はすずしそうなり」がとても効いている。永遠という言葉から重さや強さやあてどなさやロマンはイメージできても、「すずしそう」には虚をつかれる。壮大な恒久的静けさが広がる。(真帆)
(まとめ)
化石が落ちているということあまりないので(ネパールのカルガンダキ川では河原にアンモナイトの化石が落ちているそうだが)、近くの地層から発掘されたのかも知れない。「神流町恐竜センター」にそういう石斑魚の化石が展示されていて、それを見ての発想かも知れないが、ネットではあるかどうか調べきれなかった。尾鰭の骨だけがくっきりと残っている状態を「透りたる」と表現しているのだろうか。「すずしい」というのは松男さんのキーワードの一つだが、この語はいつも遙かな時間と結びついて現れるようで、とても感覚的な言葉だ。(鹿取)