★★「渡辺松男研究」に参加してくださる方を募集しています。
母胎は「かりん」の鎌倉支部ですが、
短歌経験の無い方、他の結社の方でもかまいません。
どうぞお気軽にお越しください。
場所は鎌倉駅東口2分の「鎌倉生涯学習センター」
(0467-25-2030)です。
今後の予定は9月1日(金)、10月14日(土)、11月3日(金)、
いずれも13時からです。
渡辺松男研究2の2(2017年7月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
【蟹蝙蝠】P15
参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:泉 真帆
司会と記録:鹿取未放
10 体臭ははばかるべからざるものと山を行くなり猪独活(ししうど)を折り
(レポート)
猪独活は芹(セリ)科の植物で、笠状の白い小花をつける。
山へ行くと様々な植物の発する匂いに出会うが、その匂いのどれもが、誰に遠慮することもなく己が匂いを発し、調和している。猪独活に強い匂いがあるかどうか私は知らない。たぶん猪独活を手折ろうと腰をかがめる先々で、山の自生植物の匂いが、作者の嗅覚を刺激したのだろう。「べからざるもの」という作者の主張が、きっぱりとしている。
清潔になった現代社会で臭いものは大抵嫌われ、排除される。中年以降の体臭を加齢臭と厭う風潮すらある。だから自分の発する体臭にも敏感になり、つい遠慮が生じる。しかしどうだ。この山の自然を行くとき、存在を明らかにする固有の匂いを発し、植物は遠慮なんかしていない。作者はあるがままの匂いを美しいと感じたのかもしれないし、己が体臭を憚る行為の小ささに、嫌気がさしたのかもしれない。(真帆)
(当日意見)
★猪独活は薬用であり食用でも在るらしいです。芹科ですね。猪だから臭いが強いのかもしれませ
んね。(A・Y)