馬場あき子の旅の歌29(2010年6月実施)
【李将軍の杏】『飛天の道』(2000年刊)176頁
参加者:Y・I、T・K、曽我亮子、T・H、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:T・H
司会とまとめ:鹿取 未放
218 杏仁水あえかに冷えてのみどゆく鳴沙山の月見しは嘘ならず
(レポート)
今、先生は、中華料理の後に出される杏仁水を召し上がっていられる。それは冷たく心地よい。私が鳴沙山の上に上った月を見たのは、夢ではない、本当なのだ、と信じられないような仕合わせを感じておられる。(T・H)
(まとめ)
出だしが、杏仁水、あえかにと頭韻を踏んでいる。あえかに、の柔らかな語感が、一首に夢のようにはかない気分を醸し出している。216番歌(鳴沙山を静かに上る秋の月砂のみを照らし来しおそろしさもつ)、217番歌(鳴沙山に怪異のごとき月出でてアメリカにうすい朝かげさすや)では「鳴沙山」に昇る怪異のごとくおそろしい月を見ていたのだが、それがはるか異界のできごとだったように、あるいは夢の中のできごとだったように感じられたのだろう。だから「嘘ならず」とだめ押しをしているのだ。どこかオアシス都市に移動してからの感慨だろうか。夢から覚めて放心したような気分を、上の句の柔らかなフレーズがよく伝えている。(鹿取)
作者はどこで「杏仁水」の冷たさを感じていらっしゃるのかで風景も変わってきそうです。
https://baike.baidu.com/item/%E9%9C%B2%E9%9C%B2%E6%9D%8F%E4%BB%81%E9%9C%B2/5530203
また、「杏仁」の読み方も気になるところですが、スルーされるところかもしれません。
コメント、ありがとうございます。
検索したら確かに杏仁露というのは出てきましたね。
どんな味でしたか?
こんど先生に聞いておきますね。