かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠282(トルコ)

2016年04月02日 | 短歌一首鑑賞
 
  馬場あき子の外国詠37(2011年3月) 【遊光】『飛種』(1996年刊)P124
    参加者:N・I、井上久美子、崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:曽我 亮子
    司会とまとめ:鹿取 未放

282 沈黙せよ旅のかがやく船着場トルコのかもめ啼きかはすまで

       (レポート)
 おしゃべりしないでこのすばらしい景色を見よう。あくまでも青い空と秋陽に照る海の輝きを。旅のハイライト、ボスポラス海峡クルーズの船着き場から遊覧船に伴走して飛ぶトルコのかもめが啼き交わして出港を報せてくれるその時まで。作者にとってボスポラス海峡の美しさは忘れられない思い出となることでしょう。単なる出港ではなく、カモメが啼きき交わして出港を報せるという詩的表現をされているのは本当に素晴らしいと思います。(曽我)


      (当日意見)
★「沈黙せよ」は旅の仲間に言っている言葉。(曽我)
★周囲に言っているのでは道徳的になる。自分自身に言っているのだ。(崎尾)
★私も自分に言っていると思う。心をすませよう、というくらいの意味ではなかろうか。またカモ
 メが啼きかわすのは出港を報せる為ではないだろう。彼等は人間のために啼いているわけではな
 いので。(鹿取)