馬場あき子の外国詠37(2011年3月) 【遊光】『飛種』(1996年刊)P123
参加者:N・I、井上久美子、崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:曽我 亮子
司会とまとめ:鹿取 未放
281 うすきゆだるに焼き鯖買ひて頬ばるをたれもとがめず柳が散つて
(まとめ)
旅の途次、ウシュキュダルに名物の焼鯖を買って頬ばっているが誰もとがめない。孤独にあこがれた若い日からすれば堕落かも知れないが、旅の途中だからそれもまあよしと思っている。そのやや放埒な気分を「柳が散って」と流して歌っている。(鹿取)
(レポート)
生暖かく気怠いイスタンブールの午後、名物の焼き鯖を軽食スタンドで買いほおばりながら歩いたが誰ひとりとがめる者もなく、はらはらと柳の葉が散ってくるのみの淋しくのどかな旅の一日であることよ。がらた橋近くをひとりのんびり過ごされている作者のご様子が目に見えるような臨場感あふれる作品です。又、柳の葉が散る寂しさを結句に、お歌をきりりと引き締めておられるのはさすがです。(曽我)
(当日意見)
★結句で、歌をきりりと引き締めているとはとても思えない。(藤本)
★結句によって「たれもとがめず」を肯定している。(慧子)