勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

男って・・・

2008-03-18 23:28:35 | Weblog
 切れ味が鈍った庖丁を研いだ。そばに置くと危ないので、目の前の棚に乗せた。台所仕事を始めると、その庖丁が棚から落ちてきた。慌てて受け止めようと手を出して指を切った。手から血が噴き出し、あたりに飛び散った。切り傷は骨まで達している。バンドエイドを貼るが、空気抜きの穴からも血が噴き出す。

 神奈川県に住むこの女性、心臓疾患があり、血をサラサラにする薬を飲んでいるので、血が止まらない。70年近い人生で、怪我で身体がガタガタ震えたのは初めてだという。家の周りは田畑に囲まれ、遠くに走る新幹線も見える。春になると自分で採ったセリやヨモギを送ってくれる。

 彼女のご主人、お隣の奥様に車で病院に行ってもらおうと、頼みに行くがあいにく留守だった。遅いので外を見ると、家の門の前で天を仰ぎながら、タバコを吸っている。
「そんなところで、何故タバコなんか吸ってるの?」
彼女の大声に
「どうしようか考えてるんだ」
「タバコなんか吸ってる場合じゃないでしょ!」


 タクシー会社に電話するが、なかなか出ない。救急車を呼んで病院に行く。先々週の土曜日の朝の出来事。土曜が休みのその病院は、偶々当直が外科の医師だった。4針縫ったが、切れた神経を数日後に縫い合わせる手術をしなければならない。応急処置が済むか済まないうちにご主人は出かけた。

 出かけた先は、3時間ほどかけて行く埼玉に近い、東京のはずれにある娘さんの家。友達を招いて、月に一度行われるマージャン大会。2~3日の泊りがけである。しかし、娘さんにひどく叱られてすぐに帰されたという。

 定年退職をして何年にもなるが、趣味のないご主人、朝遅いブランチも、早めの夕食も、毎日焼酎を飲みながら3時間はかけるという。彼女、ご主人のことを濡れ落ち葉と言っている。

 それから10日余り、食事の支度はご主人に任せるが、すべてが手抜き。それを指摘すると、「そんなめんどくさいことできるか」といって後片付けも疎かになる。「その面倒なこと、私は毎日やってるのよ!」

 現役のときは、日本人の誰もが知る大企業で、偉い役職についていた。彼女は、「まったく何の役にも立たないんだから」と嘆いていた。
ご主人の働きがあって、今があるのでしょうけど・・・???