2013年6月10日のテレビで放送されたわさお。
フサフサした毛は抜け落ち、顔や足は所々皮膚まで現れている。
耳だけが異様に大きく見え、毛が少なくなったためか体が痩せたように見える。
飼い主・菊谷さんは今年、肺炎を患い2か月間の入院生活を送っていた。
現在も携帯酸素ボンベを使いながら暮らしている。
菊谷さんの入院中、わさおはある犬の訓練士のもとに預けられた。
訓練士の話によると預かっている間のわさおは不安な様子で、時折寂しげな遠吠えをしていたそうだ。
菊谷さんは退院後すぐに、わさおを引き取りに行く。
しかし、名前を呼んでもわさおは不機嫌な様子で近寄って来なかったのだ。
その後間もなくして、毛が抜け落ち始めたという。
捨て犬だったわさおを菊谷さんが保護し、飼い始めたのは6年前。
人間不信となっていたわさおは手のかかる、やんちゃな犬だったそうだ。
その冷たく閉ざされた心を癒したのは、間違いなく菊谷さんの深い愛情だった。
だがある日突然、菊谷さんは居なくなり、わさおは馴染みの無い場所に連れて行かれた。
「また捨てられたと思ったんでしょう。何日も顔を見せないもんだから」と、菊谷さんは複雑な表情で語る。
こんなにも長期間、菊谷さんと離れて暮らすことが今まで無かったという、わさお。
捨てられて町をさ迷っていた辛い記憶が、蘇ってきたのだろうか。
毎年毛が生え変わる春が過ぎても元のフサフサの姿に戻らず、動物病院で診察を受けても体に異常は発見されなかった。
菊谷さんは「わさお、ごめんな。捨てたわけじゃないんだよ」と毎日、語りかけたという。
すると最近、少しずつ毛が生えてきたそうだ。
2010年9月にはこんなにふさふさだった。