たそがれ時のつれづれに

人生のたそがれ時を迎えて折々の記を・・思うままに

人生別離多し

2016年09月05日 | 日記

『勧酒』 于 武陵
勘 君 金 屈 巵   君に勘(すす)む金屈巵(きんくっし)
満 酌 不 須 辞   満酌(まんしゃく)辞するを須(もち)いず
花 發 多 風 雨   花發(ひら)いて風雨多し
人 生 足 別 離   人生別離足(たる)

この杯を受けてくれ
どうぞなみなみ注がしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
「さよなら」だけが人生だ

過日の記事を参照してね) お盆過ぎ、町内のお年寄り達のゴルフ仲間の親睦会が開かれた。長年、会をお世話されてきた世話役が春に不幸が重なったため、元気づけする意を含んだ会だった。
私は独居なので近所の噂に縁がないため知らなかったが、この世話役さんは春に東京のいい会社に勤めておられた息子さんをガンで亡くされたとか。その49日忌法要に出た直後交通事故の当事者になってしまわれた。
亡妻の不幸の際は弔意をいただいていたので、親睦会の際ご仏前を持参した。その後ご主人が来宅され香典返しをされた。恐縮し「お気遣い無用を言い忘れた」と言うと「儀式ですから」と置いて行かれた。

忘れていて昨日、包装紙を解くと高島屋の著名洋菓子だった。昨日の夕方、中の3つを頂き、残りを若世帯にお裾分けに持って行った。
孫の教員になった娘が学校で使う、ステッカーをパソコンで作っていた。熨斗紙の間にお手紙があると孫が気づき、開いてみたら手書きの墨痕流麗な礼状だった。絵も手書きではないか、孫は絵も手書きだと言った。おそらく奥さまの手になる礼状だろう。

奥様は「花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ」では満たされなく、こうした手書きの礼状で哀しみを薄めておられるのだろう。
ご近所の後日談では、アメリカへ派遣され勤務中肺がんが見つかり、向うで手術し帰国され、療養されたが40代前半で亡くなられたらしい。
わたしも肺がん手術で3分の1(右下葉)を切除しているが、運よく早期発見で、性質のよい肺がんだったので助かった。
”治らないがん(「妻を看取る日」国立がんセンター名誉総長 垣添忠生著 新潮文庫 引用)
・・ただ、妻のように早期に発見したにもかかわらず、命を救うことができないケースもある。胃がんや大腸がんのほとんどは早期発見で治すことができるが、肺小細胞がんやスキルス胃がん、膵がんの多くは、現代の医学では治療が難しいと言うのが実態だ。”

私は肺がん手術後執刀医に雑誌を持って行って聞いたら、肺がんの種類には・小細胞がん・非小細胞がん・腺がん・扁平上皮がんなどに分類される、腺がんに丸を印された。病期は早期中の早期で、1Aだと言われた。(ASAHI medical メディカル朝日 2009年4月号)