クールジャパン★Cool Japan

今、日本のポップカルチャーが世界でどのように受け入られ影響を広げているのか。WEB等で探ってその最新情報を紹介。

「刀を置き、花を手にしたサムライたち」(3)

2009年06月21日 | 世界に広がる日本食
◆「刀を置き、花を手にしたサムライたち:「21世紀ネオ・ジャパネスク」大解剖」(3)                                 (朝鮮日報 2008/05/25)

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◆農産品は文化商品
 昨年、日本産コシヒカリが中国に輸出されて話題を呼んだ。値段は中国産米の20倍以上とかなり高価だが、中国の富裕層に人気だ。その裏にある日本政府の意図はとてつもなく大きく深い。農業にも日本の文化的な価値を与え、輸出戦略産業として育て上げたいと考えているのだ。

 日本のコメ輸出は日本貿易振興機構(ジェトロ)が後押ししている。もちろん、日本の農産品は価格面では競い合えない。そこでジェトロが考えたのが、農業を文化と結び付ける戦略だった。中国に輸出されたコメを、日本のハイソサエティーなライフスタイルが感じられる文化商品としてマーケティングする戦略だ。

 東京・赤坂のジェトロ本部で会ったナガタ・ミキオ輸出促進・農水産部長は、「農業は一種の文化産業」と話す。「英語の"農業(agriculture)"には"文化(culture)という言葉が入っているではありませんか。食物・食品というものは、その国の歴史や生活様式により確立された文化です。わたしたちは食文化を通じ、日本そのものを海外に伝える活動をしているのです」

 ジェトロは貿易摩擦の影響で19年間、輸出促進業務を中断していたが、2003年に再開し、力を入れるようになった。興味深いのは、重点輸出産業に掲げた(1)コンテンツ(2)ファッション・衣類(3)デザイン(4)農水産・食品(5)機械・部品の5分野のうち、4分野が文化に関係している点だ。

 ナガタ部長の説明は意味深長だ。「わたしたちは今後、文化的な背景を持つ製品を輸出しようと考えています。かつて日本が得意だった工業製品は、技術力さえあれば生産地がどこであろうと関係ありません。でも、文化的背景を持つ製品は、日本で作られたという事実、つまり"メード・イン・ジャパン"であるという事実が重要になってきます」

 日本は、国境がなくなる「脱国家」の時代に逆行し、日本という国家的要素を前面に押し出している。日本的なものでグローバルな経済戦争を乗り切ろうとしているのだ。

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この韓国記者の関心の中心は、クールジャパンと呼ばれる文化的な価値を、日本がどのように輸出戦略に結び付けていくかということにあるようだ。

たとえば、日本の米や果物を「日本のハイソサエティーなライフスタイルが感じられる文化商品」とするという日本の輸出戦略。農業を文化と結び付け、農産物にも日本の文化的な価値を与えるビジネス戦略である。

ただし、このような戦略が成り立つためには、その国の社会や文化がクールなものとして世界に受け入れられるという状況が成立していなければらない。食物・食品というものが、その国の歴史や生活様式により確立された文化である以上、そこには長い歴史的な蓄積が反映している。その国の歴史や生活様式全体がクールなものとして受けとめられる前提があってこそ成り立つ戦略である。

もちろん食品や料理そのものが、さらにその国の文化を広めていくことは多いにあるだろう。しかし、現在の日本で農産物、食品、料理が文化的な付加価値や魅力に満ちた商品として売り込み可能なのは、全体としてのクールジャパン現象が先行しているからだ。日本の産業界はいわばそれを「うまく利用」しようとしているに過ぎない。さらに言えばいわば「便乗」しようとしているに過ぎない。

もちろんこれをビジネスとして「利用」することは大いに結構なことなのだが、一方で世界でなぜ日本の文化がクールと受けとめられるようになったのか、その分析をしっかり行っていくことがとても大事だと思う。なぜ大事なのかということは、これまでにも少し述べてきたが、いずれまとめて考えてみたい。
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