日本は海洋国家か?

2008年02月25日 | 風の旅人日乗
仕事の相手と昼飯を食う約束の時間まで、オークランドのウォーターフロントの桟橋に建つニュージーランド国立海洋博物館で時間をつぶした。
これまで何度も行っているけど、飽きることがない。
今日は、15人ばかりの小学生たちと入場が同じタイミングになり、最初のアニメ映画からずっと一緒に館内を回った。小学生たちの課外授業には、ボランティアの女性が説明に付くので、とても得をした気分になった。

この博物館での今日の個人的な発見は、sharkcallerという漁業用道具。
ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアに共通するサメ釣りの道具なのだそうだ。海面につけると半分に割った椰子の実の芯がぶつかり合い、歌うように鳴ってサメをおびき寄せるそうだ。太平洋の3つの文化圏に共通していることから、これらの人たちが同じ祖先を持つという証拠のひとつになっているらしい。ここには何度も来ているのに、今までカヌーにばかり目が行っていて気が付かなかった。

この海洋博物館は、皆様ご存知のジュール・ベルヌの『15少年漂流記』で、スルギ号の舫いが解けて漂流し始める、そもそもの物語の発端になったプリンセス・ワーフのすぐ隣の桟橋の上に建てられている。
夏休みには子供たちは寝袋持参でこの博物館に泊り込みで歴史と集団生活を学び、2日目にはスルギ号と同じような小型帆船でセーリングも経験する。

一緒に回っていた小学生たちは、本日の特別カリキュラムとして、カヌーのいろんなパーツのラッシングの方法を教わっていた。

これができたからといって、今後の社会生活に生かせるわけではほとんどないのに、自国の文化を伝えるために、子供たちに自分の国の文化に興味を持ってもらうために、こういうカリキュラムを実現させるこの国に、悔しいけど、羨望のようなものを覚えてしまう。

ちなみに、この子供たちに、ボランティアの女性が
「カヌーのことをマオリの言葉でなんといいますか?」
と聞いたら、ヨーロッパ系、アジア系を含む子供たちの80%くらいが、元気良く、
「waka!」(正解。時代・地域によってはwataとも。ポリネシア共通)
と答えていた。ニクイ。
現代の日本の小学生たちに、
「古い日本語で船の船首のことをなんといいますか?」と質問したら、
「船首って何?」って聞かれるんだろうな。

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