4月14日 Palmyra Atoll航海 記憶の断片を徒然に 01

2009年04月14日 | 風の旅人日乗
ブルース・ブランケンフェルドのナヴィゲーション。

ポマイラの環礁を抜けて太平洋に出ると、曳航する方向の指示が、
ブルースからカマヘレに伝えられた。
「トゥルー・イースト(磁気コンパスでなく、真の方向で真東)へ」

それからひたすら真東に走ること丸3日半。
水平線の一箇所だけ雲が割れ、奇跡のようにそこから太陽が昇ってきた。
曳航索を切る前、
ブルースは
「まずはビッグアイランド(ハワイ島)東側のヒロ沖を目指す」
とカマヘレに伝えてきて、
そうして、セールを揚げるや否や、
ホクレアはある方向に狙いを定めてセーリングし始めた。

その後ろを追うカマヘレのGPSモニターを見ると、
船首が向いている先を示すラインは、
モニターの上でも遥か遠くにあって、点にしか見えないヒロのすぐ東を向いている。
すでに太陽は再び雲の中。行く手の水平線も分厚い雲に覆われている。
吹いている東風が立てている波とは別の、
2,3種類のうねりが海面にあるのは分かるけど、
それは、逆に、方向を惑わすものにしか思えない。
それなのに、ホクレアは、まるで800海里先のハワイ島が見えるかのように、
その方向に確かな意思を持って、大波を次々と乗り越えながら走っていく。

鳥肌が立った。

(写真は、太平洋の真ん中にポツンと浮かぶPalmyra Atoll。カマヘレの復路クルーSamuel Monaghanが撮影)