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あるアメリカ人がみた戦後日本美術

2018-05-26 10:19:42 | 日記・エッセイ・コラム

 5月の下旬、札幌は一年の中でもっとも快適に過ごせる初夏のある日、                                 久しぶりに近代美術館に出かけた。今開催中の「フランク・シャーマン・                                    コレクション展」を観るためだ。

 ぼくもそうだが、よほどの美術通の方を除けば、フランク・シャーマンと                               いう人物は何者か予備知識はないのではないか。ところが彼の残した                                     5000点にも及ぶ多数の美術作品は日本人の知人である河村永静氏に                                  託され、それらが河村氏が住む伊達市に寄託されたのである。

 シャーマンは戦後GHQのスタッフとして来日するが、12年の滞在の間、                                  日本美術に深い感心をよせ、藤田嗣治、猪熊弦一郎、伊原宇三郎など                                     日本のトップアーティストらとの交流を持ち、帰国後も親交を深めてきた                                   各種美術コレクターである。

 中でもおかっぱ頭と丸いめがねの藤田嗣治に関心を深め、多数の藤田                                作品を集めて注目を集めた。藤田はフランスにわたって以来、海外におい                                ては名の知らぬ人はいないほど高い評価を受け、ことに女性の肌の色の                                 白さの表現は西洋画家の技量を越えたことでも有名である。

 しかし、戦時中に「アッツ島玉砕」という戦争賛歌のような作品を描き、                                 日本国内では戦争に加担した作家として評価はいまひとつだった。                                     そのためか失望してフランスに行き、帰化して、レナード・フジタとして                                  生涯を送った画家だ。

 その彼の日常的なスケッチ、友人に当てた自作のはがき、自画像など                                  今までにみることがなかった作品や個人的な資料、写真などがをみられ、                                大変興味を持った。

 今、北海道近代美術館で開催されているが、第2弾もあるようで7月7日                            から隣の三岸好太郎美術館で開催される。今回の作品展には藤田の他、                                 林竹治郎、菊川多賀、猪熊弦一郎、向井潤吉、小磯良平など見ごたえの                                  ある作品がみられ、いい時間が過ごせた。

やさしいタイガー


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