妻が学生時代に父親から買ってもらった「国語辞典」に、どうも落丁があるという話を聞きました。もう50年ほど使っているようですが、たまたまページを繰っていて発見したというのです。
自分が調べたい箇所のページを見ていて、隣のページに移ったところ、つじつまが合わない内容にでくわし、ページを見ると、ページが飛んでいることがわかったのです。
何しろ昭和27年初版金田一京助先生の編纂ですから、内容に問題はないのですが、それにしてもページが飛ぶということを数十年経った今、発見して出版社に申し出たらどうなるのだろうという話をし合っていました。
天下の出版社のことだから、過去の書物も重要なものは蔵書として保管しているのではないか、いまさら新しい辞典と取り替えてもらうという気持ちはないが、連絡した後、どのような返事が返ってくるのか、あるいはないのか、そっちのほうが気になるところだということで二人は一致しました。
それにしてもこんな不思議なことがあるものなのです。小説と違い辞書ですから、必要な箇所しか見ないのが普通です。落丁を偶然に見つけたのが、50年後というのもミステリアスな話です。
そんなわけで近く手紙を出すと妻は言っていましたが、後が楽しみです。それにしても本を読んでいて、滅多に誤字・脱字さらに落丁などがないのは、さすがだと感心しているのですが、出版業の方々にとっては当たり前のことでしょう。見えないところでの苦労や努力がいつも滲んでいるように思えてなりません。そんなところに思いもかけないことが起こるというのは、上手の手から水が漏れるとでも言えばいいのでしょうか。
やさしいタイガー
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