仕事もなくなり、大勢の場に出て行くこともなくなると、つい不精してだらしなくなる、と自分の心の緩みが気になります。街を歩いていても白髪交じりの紳士がきちんとした身だしなみで歩く姿を見ると、ハッと自分を取り戻すことがよくあります。
いつだったか、ある一杯呑む会で先輩から、「きざな・・・・」とからかわれたことがありました。ぼくが「きざ」かどうかはわかりませんが、こういう老人はどんなにいいものを着ていても何となく品疎にみえてしまうのも不思議といえば不思議。人への気遣いの乏しい人なのだろうとそのときは思いました。
着物姿でお相手をしてくれるような上品な居酒屋は、大抵客の姿をそれとなく見ていて、それこそ足の先まで見ているようです。たまに「おしゃれですね」といわれると、たとえ商売用語であったとしてもまんざらでもない気持にさせるものです。いくつになっても身だしなみにも気配りをしていると、こころの内側まで「おしゃれ」になってくるものですね。老いてもダンディでいたいものですね。
やさしいタイガー