戦後60年の節目に読むべき本としてどこかで推奨されていた。10年ぐらい前に買って埃をかぶっていたがこれを機に読んだ次第。
率直に言ってそう面白い本ではない。記述対象が背景であって前景でないから、どうしても地味な話となる。「鷲と太陽」という本は太平洋戦争の戦闘の全記述だが、はっきりと「鷲と太陽」の方がはるかに面白い。この本はその背後の動きを網羅した本である。合わせて読むとすこしは興味深かろう。いわばミドル・バックの歴史である。
太平洋戦争が人種間、男女間、社会的階層間などでどのような影響をもたらしたのか、人々はプロパガンダをどう捉えていたのかなどなど、書けばきりはないし、それが統一的視点に向かって収斂してゆくわけでもない。あえて言えば、よく団体競技であるように、チームは勝っても個々人の感情はさまざまであり、補欠がチームの敗北を願うようなゆがみさえある、それは連合国も例外ではない、ということかと思う。それにしても枢軸国側の「無関係」「非連携」ぶりはどうだろう。ほんと徹底してるね。ばかな同盟だったなあ。
なお、2-3の書評ではこの本が太平洋戦争の実態を暴くがごとく、東京裁判史観へのアンチテーゼのごとく取り上げていたように思うが、それは読んでないといっていいかもしれない。多分、帯とあとがきを見ているのだろう(笑)。評者の力量の目安には役立つ。
注目は翻訳の市川洋一氏。大変すばらしい翻訳をされているが、本業は東レグループのサラリーマンだった人である。定年後にどうやら本格的な翻訳をはじめておられるようだ。調べて見ると現代史・戦争史系の本格的な本で何冊か訳がある。昨年も1冊出ていたが、もう80歳になろうというお歳である。たいしたものである。
率直に言ってそう面白い本ではない。記述対象が背景であって前景でないから、どうしても地味な話となる。「鷲と太陽」という本は太平洋戦争の戦闘の全記述だが、はっきりと「鷲と太陽」の方がはるかに面白い。この本はその背後の動きを網羅した本である。合わせて読むとすこしは興味深かろう。いわばミドル・バックの歴史である。
太平洋戦争が人種間、男女間、社会的階層間などでどのような影響をもたらしたのか、人々はプロパガンダをどう捉えていたのかなどなど、書けばきりはないし、それが統一的視点に向かって収斂してゆくわけでもない。あえて言えば、よく団体競技であるように、チームは勝っても個々人の感情はさまざまであり、補欠がチームの敗北を願うようなゆがみさえある、それは連合国も例外ではない、ということかと思う。それにしても枢軸国側の「無関係」「非連携」ぶりはどうだろう。ほんと徹底してるね。ばかな同盟だったなあ。
なお、2-3の書評ではこの本が太平洋戦争の実態を暴くがごとく、東京裁判史観へのアンチテーゼのごとく取り上げていたように思うが、それは読んでないといっていいかもしれない。多分、帯とあとがきを見ているのだろう(笑)。評者の力量の目安には役立つ。
注目は翻訳の市川洋一氏。大変すばらしい翻訳をされているが、本業は東レグループのサラリーマンだった人である。定年後にどうやら本格的な翻訳をはじめておられるようだ。調べて見ると現代史・戦争史系の本格的な本で何冊か訳がある。昨年も1冊出ていたが、もう80歳になろうというお歳である。たいしたものである。