御託専科

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村上隆「芸術闘争論」

2010-11-28 22:33:19 | 書評
いやはや。「芸術起業論」の実践篇がついに刊行された。村上氏も文中で言っているとおり、これはうまいラーメン屋の出汁の作り方を言っているようなものだ。前回必ずしも明確に語られなかった西洋美術の「文脈」がここでは詳しく語られ、文脈も含めどのようなことを意識して行けば売れる絵が書けるか、たとえばサイズだとかそんな話までしている。
それから、これは本当に意外でまた正直な話だが、「日本の社会のアーティストというのは、芸術的な分野の落ちこぼれがなるものだ」といっている。日本はデザイナーやイラストレーター、漫画家など才能のある人がプロとしてデビューする場がいくらでもある、しかしその網に救い上げられなかったのだから才能は限られているのだそうだ。
ほんの一部しか紹介できていない。前回の芸術起業論はあまりにもおもしろく3度も4度も読んだが、今回のもそうなりそうだ。うまくまとまればぜひ再度。なお、併読中の「菊とポケモン」の話とシンクロするところもありおもしろい。