御託専科

時評、書評、そしてちょっとだけビジネス

福島原発のこと、世の反応のこと

2011-03-20 21:02:29 | 時評・論評
福島原発の話はここ1-2日少し沈静化してきたけど、これはのちの検証に値する問題であると思う。備えが十分だったかという問題、事故がおきてからの対応、対応を指揮するガバナンスなどは当然だが、それと同様というかそれ以上にマスコミの対応や一般人の反応の仕方は社会学・ジャーナリズム研究において格好の研究材料である。

論議の半分ぐらいはあきれるような話だ。起きようのないチェルノブイリ型事故を想定するなんざあ率直に言っておろかとしか言いようがない。燃料の余熱が続くことと核分裂の臨界がつづきさらに暴走することの区別をわかろうとしていない。大体ウラン235の濃度が5%にも届いてないのが核燃料だってことはわかっているのかわかっていないのか。むしろ危険は3号炉のMOX燃料にあるということはどの程度認知しているのか。明らかに少ない情報で断定的なことを言う海外の論調をえらく重んじてみたり。
もちろんいまより悪化しない方に組するとか東電の肩を持つとかそういう気はさらさらない。下手をすれば炉心溶融やさらにチャイナシンドロームだってありえない話ではない。最悪は三号炉のプルトニュウム燃料が外に漏れることである。でもね、プルトニュウム原爆でも爆発すりゃあともかくだが、あんな重金属が大量に空気にのって遠方に漂うことはありえず、東京圏は逆立ちしたって害は及ばない。
それくらいのことはちょいと研究すりゃあわかるだろうに、間違いや無知がかなりのインテリの間でも広範に存在する。愚かにも東京圏から逃げ出した人もいる。個人のいけんということならまあそれでも保守性の問題だとか認識の違いで片付けられないわけではないが(もちろん論議のオープンでない個人は僕の好きな個人ではないが)、マスコミとか学者の発言となると無知や歪みをそのままにして扇情的報道をするのは犯罪である。

いや、ネットなどで急速学習が出来るようになった現在、マスコミに限らず普通の人々であってもある程度冷静に学習して意見を決めるというのは必須じゃないかなあ。 あ、でもネット上の声は案外マスコミより冷静だし賢明に見えるね。マスコミが世に追い越されたことを如実に示す出来事であったといえるかもしれないね。