とても面白い本だった。社会論というのは、わずかな情報や古い話、一般に(表面的に)いわれていることなどから思弁を重ねるものも多いが、この本はしっかりしたアンケート調査・インタビュー等の独自の材料をもとに、実感から遊離しない分析を加えている。元の材料を惜しげもなく出している分、筆者の筆の滑りもわかってしまうが、これはこれでたいしたことである。
随所に面白く納得できる指摘があるが、個々の話は(面白すぎて)長くなるので控える。筆者の大筋の主張は、「豊かな中での階層化」が進んでいる、それも、所得だけではなく容姿・能力・熱意のどの点においても下の階級は上の階級に劣る、という、恐るべきともいえる階層化が進んでいる。
これを打破するのは「機会悪平等」の導入である、というのが筆者の主張。「機会悪平等」とは、大雑把に言うと米国のマイノリティー優遇処置(法律的呼称がなんかあったな、アクション・プランだったっけ?)のようなものを導入するということである。結果悪平等が保持できないのであれば機会悪平等は大いに賛成である。合わせて、筆者も触れているが、社会の価値観の多様化も重要である。
公正な社会、よい社会とは生きていて納得できる社会である。より現実的ないい方をすると、生きていて自分の生活に関して納得できない部分がより少ない社会である。さらにいえば、他者に対する嫉妬や自分への諦念が少なく、他者を気持ちよく賞賛し自己を少しでも多く肯定できる社会である。
そのためにはやはり「人としての価値は同じ」という共通認識は堅持すべきであるし、またその現実的表現として結果の平等/機会の均等 はある程度以上必要である。そして、それぞれの分野がそれぞれにすばらしいものと思うことのできる価値観の多様化も必要だ。
「機会悪平等」とはいい言葉だ。僕にとっての3大政治課題(結果平等・機会均等・価値多様化)のひとつをうまく表現する方法としていただき。
随所に面白く納得できる指摘があるが、個々の話は(面白すぎて)長くなるので控える。筆者の大筋の主張は、「豊かな中での階層化」が進んでいる、それも、所得だけではなく容姿・能力・熱意のどの点においても下の階級は上の階級に劣る、という、恐るべきともいえる階層化が進んでいる。
これを打破するのは「機会悪平等」の導入である、というのが筆者の主張。「機会悪平等」とは、大雑把に言うと米国のマイノリティー優遇処置(法律的呼称がなんかあったな、アクション・プランだったっけ?)のようなものを導入するということである。結果悪平等が保持できないのであれば機会悪平等は大いに賛成である。合わせて、筆者も触れているが、社会の価値観の多様化も重要である。
公正な社会、よい社会とは生きていて納得できる社会である。より現実的ないい方をすると、生きていて自分の生活に関して納得できない部分がより少ない社会である。さらにいえば、他者に対する嫉妬や自分への諦念が少なく、他者を気持ちよく賞賛し自己を少しでも多く肯定できる社会である。
そのためにはやはり「人としての価値は同じ」という共通認識は堅持すべきであるし、またその現実的表現として結果の平等/機会の均等 はある程度以上必要である。そして、それぞれの分野がそれぞれにすばらしいものと思うことのできる価値観の多様化も必要だ。
「機会悪平等」とはいい言葉だ。僕にとっての3大政治課題(結果平等・機会均等・価値多様化)のひとつをうまく表現する方法としていただき。