御託専科

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黒田バズーカ、なんていっているが所詮コップの中の嵐

2013-04-20 22:35:47 | 時評・論評
またテンプレートを変えられた。メールに至っては半年更新なしで全削除された。まあただのサービスはしょうがないのかなあ。

それはともかく黒田バズーカである。4月4日の日銀の政策決定会合は大規模な国債の買い入れを決定し、市場にインパクトを持って迎えられた。ETFやReitも積み増しされたが、これは恐らく白川さんでもやってた程度の規模で、本来たいした話ではない(たいしたことではあるが、それは白川さんの時代に始めた時点で既にたいしたことであり、今回の増額、というか予定に沿った自然増というべき増額はインパクトは少ない)。

さて、国債の買い入れである。範囲を長期国債まで広げ、新発をほぼ吸収する規模の買い入れは確かにインパクトが大きかった。黒田バズーカといわれるゆえんである。ただ、僕はちょっと疑問がある。国債の買いオペをやったところで結局銀行の資産勘定にある国債が減り日銀当座預金が増え、その日銀当座預金の過剰準備部分には0.1%付利される。ならば銀行としては0.5%のリスク資産を0.1%の無リスク資産に振替えることなので、リスクも考えれば等価とは言わないまでも大きな違いがあるわけではない。0.1%の付利をやめればまだ話は違ったのかもしれないが。なんで、銀行にとっては単に国債が日銀当座に変わるだけの話である。

更に別の言い方をすると、黒田政策は日銀と民間銀行の内部だけの話である。日銀と民間銀行のバランスシートを合算した、と考えると、今回の政策で実はその合算バランスシートは何も変わらない。この「大銀行勘定」と外の世界、特に民間企業向けの貸付が変わっていかなければどうしょうもない。しかし過剰準備は前からあってジャブジャブだが、借入需要がないのでマネーストックは増えなかった。これは黒田政策以降も同じである。

黒田政策はいまのところ「大銀行勘定」のありようを変えるものでは一切なく、その意味ではコップの中の嵐である。しかしそれを見ておもしろがるとか自分に関係するとか勘違いする人は数多く居るわけで、そこにプラシーボ効果を与え円安と株高を生じさせた。その期待なり楽観が景気を好転させるのならばそれはとてもいいことであるし、安部ー黒田は名医であったといえよう。この先は名医らしくプラシーボ効果を持続させつつ、機を見て投薬自体をじわじわ引っ込めて欲しいものだ。ま、コップの中の嵐を終わらせるに過ぎないことだから、僕としては一部の論者が言うほど難しいことではないと思っている。