御託専科

時評、書評、そしてちょっとだけビジネス

小池真理子 「妻の女友達」「夜の寝覚め」

2014-03-22 13:21:09 | 書評
久々に小池真理子でも読んでみようと思い標記2冊を買い求めた。どちらも短編集である。
それで、とりあえず「妻の女友達」は全部読み、「夜の寝覚め」は2つ読んだところである。

で、びっくりしたのだが、小池真理子はこんなのも書いていたのか、と「妻の女友達」を読んで思った。どれも2時間サスペンスとかの台本になりそうな、ちょうどいいなぞとちょうどいい人々の心の闇と、人々の思惑のすれ違いなどが描かれている。要はよくできたサスペンスの台本である。これはこれで面白かった。しかし、長編や短編でも「天の刻」や「雪ひらく」にあるような素敵な女性の情感のようなものはほとんど描かれていない。少々怪訝に思い発行時期を見ると1989年だった。ああ、この人もいろいろ変わったのだなあ、と改めて思ったしだいである。解説によればもともとはエッセイストとして世に出た、ということで、なんとも器用で賢い人である。

「夜の寝覚め」は期待通りである。素敵な中年女性たちの、エロスとタナトスと人生への感慨が交差する情感をうまく上品に描いている。これは「天の刻」とか「雪ひらく」とかあるいは長編なら「浪漫的恋愛」と同じテーマとテイストを持っている。「恋」「無伴奏」「欲望」などは若いときの話が主体だし「冬の伽藍」も半分はそうだが、いずれも後日談というべきか、その後何年も経って登場人物が中年あるいは老年になり振り返るところで若いときの出来事が色彩を変えてよみがえるところがもっとも美しい。

なんてことを書くのに書棚から拾い読みをしていたら、「恋」の文庫版の著者あとがきに、心理サスペンスの作家として(売れ行きということではなく創作上の)行き詰まり感を感じ精神的に「どん底」にあったときに、バッハのマタイを聞いていると突然「神が降りてきて」創作されたのが「恋」である、とあった。ふうん、そうなんだ。と妙に感心。「神が降りてきた」のは1994年12月だそうだから、おそらく僕の思う小池真理子はそれ以降の小池真理子、ということだな。

ともあれ小池真理子さんは美しい小説を書く人だ。できれば誰かと、贅沢を言えば成熟した中年女性と、小池さんの小説について語り合いたいものである。

河野談話は見直しはしないが骨抜きにする、という戦略なのかな?

2014-03-16 02:06:15 | 時評・論評
こないだ菅さんが河野談話の継承を言って、米国が「いいことだ」とえらそうに言ったら「前から言っていることだ」とさらりとかわし、安倍さんも同じことを言って、韓国大統領に「評価する」といわせたようだ。これだって前から言ってるわけだからいまさら評価も何もないのだが、形の上でポジティブな発言を引き出してきたのはなかなか大きいね。

で、切り札というか脅しのカードはまだこちらの手の中にあって、それが河野談話の検証、というわけだ。河野談話が朝日新聞と福島瑞穂のでっち上げに乗じてかさにかかったヒステリックな韓国を鎮めるために作ったきわめて粗雑な政治的なものであり、その内容については検証が足りないし実は日韓外務省と政治家たちの合意の作文だった、これで韓国はおとなしくするといった、ということが維新に答える形で国会で報告されれば、河野談話は無力化する。今後は河野談話を出すことになった問題が捏造されたものであり、またそんながせねたで韓国がヒステリックに叫んだから仕方なくやった、それでおとなしくなる約束だったんだ、という注釈が河野談話に対しては必ずつくようになる。

ということでさすがに韓国も検証はいやみたいだね。検証カードを温存しておとなしくさせるか、今後ぎゃあぎゃあ言わせないために検証して反証しやがれ、とやるかはまあ情勢しだいかな。
しかしいつの間にか日本の外交もしたたかになってきたものだと思う。ま、検証カードの使い方を見るまでは断言できないが、今のところはうまい。この調子で何事にも対処してくれるとよいね。

日本軍と日本兵 米軍報告書は語る

2014-03-14 00:05:54 | 書評
戦争シリーズもそろそろ終わりにしたいと思うのだが、読めば読むだけおもしろい本があるものだと改めて感心する。

この本は、米軍報告書から見た日本兵であり日本軍である。いくつかの固定観念を覆された。いくつか列挙する。
(1)日本兵はファナティックな銃剣突撃ばかりしていたわけではない。むしろしなかった。
(2)残念ながら日本兵は格闘・白兵戦に強くはなかった。むしろ弱かった。
(3)最も効果的なのは塹壕・洞窟の基地からの機関銃掃射であり、そのことは日本軍もよく知っていた。
(4)洞窟を掘って持久戦を戦うという戦法は硫黄島や沖縄で始まったわけではなくニューギニアなどから既に工夫されており、フィリピンでも実施されていた。

などなど。著者によれば結局、日本軍は言われるような狂信的な人々であったわけではなく、戦場の現場におけるそれなりの合理性を実現していた、ということのようだ。

おもしろい本である。簡単だが以上。

韓国がしつこい訳

2014-03-01 17:33:02 | 時評・論評
朴大統領が就任してからというもの、韓国の日本に対する口汚い非難は絶え間なく続いている。前の李大統領のときも後半はひどかったが、まあ自分が大統領辞めてから逮捕にされたり死刑にされたりされないためのポーズと思えばある程度理解できるし、まだ交渉の余地はある非難の仕方であったように思う。

しかし朴さんになってからはまあひどい。ひどいもんだから日本国内でいつも登場していた「いやいやそうは言っても日本にも悪いところはあって」という連中も鳴りを潜め始めた。日本人すべてが嫌韓になりつつある。政治家ならば加減のいいところで撤収・休戦しなければ本当に日本を敵に回すことになる。そのときに中国が頼りになるなどと思ってはいけない。そもそも頼りにしてはいけない相手だし、日本と中国は嫌いあっていてもまだ共生に向けて話し合う余地がある。いや、中国は共生なんて考えてないかもしれないが、少なくとも小康は望める相手である。韓国は本当に孤立する覚悟と、自らのでっちあげと暴論とともに心中する覚悟があるのだろうか? あるのならばそれでよい。しかし全国民的合意は恐らくない。空気を見て黙っている人が風向きの変化があれば表面化して、恐らく世論は対立する、あるいは一気に逆転するだろう。下手をすれば大統領は石もて追われるだろう。それまで日本は、身にかかる火の粉は正論で振り払いつつも、力強く、冷静で毅然とした国家であり続ければよい。敵失は冷静でない側に必ず発生する。

おっと、そんなことを書こうと思ったのではない。上のような事は結構立派な論者が冷静におっしゃっていることなんでそちらをご参照いただきたい。
本題は慰安婦の件である。韓国があれほどまでにしつこいのはなんでだろうと思うわけだ。というのは、植民地での被支配のなかで問題が生じたことはいくらでもあるだろう。それを慰安婦に絞っているのはなぜか? 

実は日本の植民地支配は相対的には案外まともだったので欧米への訴求力のある事案がほかになかった、とか、偽の証言をした軍関係者がいてそれを広げた朝日新聞と福島みずほがいて、要は日本のオウンゴールだったから乗りやすかった、という面もあろう。
しかしふと思ったのだが、これは韓国人の売春婦も含む女性への性的扱いのひどさを反映しているのではなかろうか、と思う。最近読んだ記事で、フィリピンの売春婦のあいだでもっとも評判が悪いのは韓国人だそうだ。サディスティックで実際結構暴力も振るい、見下した態度をとり、金払いも悪い。カネを払うときは地面に投げつけるようなこともするそうな。まあ女を買うなんて連中がすべて上品って訳じゃないからどこの国にもこんな連中は少しはいるだろう。が、韓国のたちの悪さはどうやらフィリピン人を見下すがゆえに生じているようにも思われることである。そんなメンタリティがあればこそ、ベトナムでのあの非道な行動があったのではないだろうか? そして、そういうメンタルを背景に、自分たちが格下だった被殖民時代にはきっとそんなサディスティックで見下した扱いを女性が受けたに違いない、と思っているのだ。確たる証拠はないし検証に耐えない話で暴走すれば大ブーメランで大怪我をするリスクを負っている、ということが普通ならわかってもよさそうなのだが、直感的に絶対そうに違いない、と思い込んで感情的に突き進んでいるのかもしれんね。まあ偽証・詐欺の類が日本の500倍ある国だから本心はわかりませんがね。