御託専科

時評、書評、そしてちょっとだけビジネス

無駄なおしゃべりと有害な嘘

2005-08-17 19:51:54 | 時評・論評
同僚と話していてフィボナッチの話題になった。ご承知のとうりフィボナッチは数占いの一種であり、こんなものを本気でつかっている相場師はいない。
それでも数字がでるから役にたつそうな。ま、もっともな話である。ただし、ブローカー商売という枠組みに限ってのことだが。

そもそも、相場を論じ銘柄を論じる類の話は概ね過剰予言であり過剰解説である。いまロングがいいかショートがいいか、それともわからないのか。そしてそれはなぜか。本質はそれだけでありそれ以外は雑談にすぎない。

しかしその雑談も目的があるなら意味を持つことになる。気持ちを宥めてほしい客がおり宥めるとお金が稼げる業者がいれば、相場で稼ぐという点では意味のないおしゃべりもたちまち立派な商取引に転化するわけだ。それはそれで非難されるべき物ではない。
ただ、たちが悪いのはこの種の取引は概ね無自覚と虚勢と嘘にたっぷりと汚染されていることだ。聞くほうは隙と欲があり、話す方はそこにつけいって行く。恐るべき規模の無自覚な詐欺である。

吉田満「戦艦大和ノ最期」-カタカナ文ノ魔力-

2005-08-17 14:12:52 | 書評
終戦記念日ノ無聊ニ購入セシモアエテヨムニ至ラザリシ上記書ヲヨム。
カツテ読ミテ感動セシ記憶アルモ、タダヨウ青年センチメンタリズムガ些カハナニツキシキオクアリ。ユエニ大キナキタイハセザリシガ、読書開始タダチニ吸引サレタリ。
オモフニ、「擬古文」ノテイドハ軽ク、ムシロカタカナユエノ緊迫感・異界感強シ。マタ、カツテハ会話文ガヒラガナデアッタト記憶スルモ、今般購入セシ「決定版」ハ会話モフクメスベテカタカナナリ。
表現形式ノ影響ニ大イニ驚嘆ス。内容ニツイテハ別途論ゼザルナシ。

小泉郵政解散にちょっと思う

2005-08-15 12:16:54 | 時評・論評
小泉さんが衆院を解散した。これについては多くのことが言われているのであまり言うつもりはないが、今回の解散と株式市場での資本の論理の強大化はどこか通じるところがあると思うので一言。
小泉さんの解散は、郵政民営化の是非を国会に問い、敗れたため国民に問うということだ。小泉さんを社長に、国会を役員あるいは社内に置き換えると、国民はさしずめ株主ということになる。
社長提案が役員会で否決されたため臨時株主総会を開き賛否を最終的に問う、もし否ならば退陣する。こういうことは株式会社では実際には難しいが、現象的にはこういうことであり、それ自体はまっとうなことであろう。本来の意思決定者にその意向を問う、ということはどのような場合であっても正しい行為と言わざるを得ない。日本は大統領ではないのでやり方にゆがみが生じていると言えばその通りだが、全体の意図の正当性を減ずるものでは決してない。

逆に攻撃され弱体化されているものは、本来の意思決定者のAgentであるべき人や組織が過剰な権限と、さらに言えばお金を手にしているすべての現象である。経営者の保身、国民の意を問わない政治過程、国民の道路や橋を作る際の恣意性などなど。医師や教師のサンクチュアリなどもそうだろう。

専門家と称する愚民や卑しい人々を追放しようという大きな流れのひとつである。今回の解散に限らず、愚民・卑民追放に小泉氏の果たした影響力は多大である。具体論を言えばあれこれ批判はきりがないが、それでも日本の「空気」を大いに変えた点ですさまじい宰相というべきであろう。


「人生の旋律」神田昌典

2005-08-01 06:44:36 | 書評
面白かった。近藤藤太という人の1代記として大変興味深かった。
ただ、同様の波乱万丈という話は数多くある。一つ一つはかけがえがない人生記であるが全体から見ると似たような話、というやつだ。書いてる人やご当人には大変申し訳ない感想だが。
神田昌典さんという人は素性が今ひとつわからないのでやや警戒的になってしまう自分を感じる。前の本「成功者の告白」同様、面白く元気が出る本ではあったが。