ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

「コーヒーと運動」が皮膚がんを予防=ラトガース大学(米国)

2007年07月31日 | 食品・栄養
【7月31日 AFPワシントンD.C./米国】コーヒーを飲んで運動すると、紫外線B(UVB)で破壊されガン化した細胞を死滅させることができるため、皮膚がんを予防することができるという研究を、米ニュージャージー州のラトガース大学(Rutgers University)の研究チームが30日付けの米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表した。

 研究チームは、無毛マウスに日焼けを起こす紫外線B波を照射し、カフェイン入りの水(人間には1日1、2杯のコーヒーに相当)を与えて回し車で運動させるグループと、カフェインの摂取も運動もしないグループとで「アポトーシス(ガン化した細胞の自然死)」の数を比較した。

 その結果、アポトーシスは、カフェイン入りの水を摂取したマウスで95%、運動をしたマウスで120%、カフェイン入りの水を摂取して運動もしたマウスでは400%も増加した。

 研究チームのAllan Conney氏は、こうした結果について、「ある種の相乗効果が働いたのだろうが、原因はいまだに謎だ」と語った。

 米国立がん研究所(National Cancer Institute)によると、米国のがんの罹患(りかん)率では紫外線が誘発する皮膚がんが最上位を占めており、毎年100万人以上が発症している。皮膚がん患者は増加傾向にあり、新しい予防法の発見が急がれているという。(c)AFP

[AFP BB News / 2007年07月31日]
http://www.afpbb.com/article/economy/2262046/1969865

(写真:コーヒーを手に米ワシントンD.C.のコーヒーシップを出る人。(c)AFP/Paul J.Richards

「見られていると親切に」、ヒトと動物に共通パターン=マックスプランク研究所、エルフルト大学(ドイツ)

2007年07月30日 | 心のしくみ
【7月30日 AFP,ワシントンD.C./米国】ヒトも動物も、他者から見られていると分かると好意的な態度を示す。そんな研究結果が26日、米国の科学誌「サイエンス(Science)」に発表された。

「ヒトも動物も、自己の評判がかかっている場合には、利己的な行動を改め他者に尽くす行動をとるようになる。後者の態度のみが社会的に報いられることを知っているからだ」と記事は主張する。 

 コンピュータのモニター上に、目のような形をした2つのサインを表示するだけで、コンピュータを扱っている人間の行動は改善されるという。

 似た例としては、カフェテリアに置かれた募金箱に両目の図柄が描かれていると、花の図柄が描かれている場合に比べて、募金の額は格段に増えるという。

 研究チームを率いるドイツのマックスプランク進化生物学研究所(Max-Planck Institute for Evolutionary Biology)のManfred Milinski氏と、エルフルト大学(The University of Erfurt)のBettina Rockenbach氏は、他者の目から見られていると察知すると行動を改めるようにヒトの脳が「プログラム」されていることを突き止めたという。

 ヒトに限らず一部の鳥類や魚類も、見られていると分かると行動を変えるという。

 ベラ科の掃除魚は、大型魚の体や口の中をきれいにすることで知られているが、掃除中に次の「顧客」に見られていると丁寧に掃除をするが、そうでない場合には、むしろ大型魚の皮膚を食いちぎるようなやりかたをするという。(c)AFP

[AFP,BB-News 2007年07月30日]
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2260259/1916281

「3つの顔」もつたんぱく質解明 染色体形成でも役割=大阪大学

2007年07月27日 | 可視化技術
 細胞が分裂する時に、遺伝情報を収納する染色体をつくるうえで必須のたんぱく質を、大阪大工学研究科の松永幸大(さちひろ)講師(分子遺伝学)らの研究グループがみつけ、26日付の米科学誌カレント・バイオロジー電子版に発表した。このたんぱく質はすでに二つの機能が知られており、今回発見の機能が三つ目。研究グループは、三つの顔を持つ仏法の守護神にちなみ「ASURA(アシュラ)」と命名した。

 染色体は、DNAがまとまったもので、ヒトでは23対46本ある。男性のY染色体をのぞき、すべてX字形をしており、左右対称に同じ遺伝情報がある。研究では、アシュラがヒト細胞でX染色体の要になる部分に作用し、細胞分裂の途中まで左右をつなぎとめる役割をすることを突き止めた。アシュラがないと、染色体がうまく形作られず、遺伝情報がバラバラになり、分裂がうまくいかなかった。

 このたんぱく質は、細胞内で酸素呼吸にかかわるミトコンドリアを形成する機能と、排卵を促す女性ホルモンの作用を抑制する機能が知られている。今回の発見で、染色体異常が起きるがんの発生メカニズム解明や治療法開発への貢献が期待される。

(写真:アシュラがないと、染色体の要の部分(丸い小さな点)が散らばり、正常な細胞分裂ができない=松永幸大講師提供)

[朝日新聞 / 2007年07月27日]
http://www.asahi.com/science/update/0727/OSK200707270130.html

「プラセボ効果」のメカニズムが明らかに=ミシガン大学(米国)

2007年07月26日 | 心のしくみ
 「プラセボ(偽薬)効果」を引き起こす脳の領域が米ミシガン大学(ミシガン州アナーバー)のDavid J. Scott,氏らの研究によって明らかにされ、医学誌「Neuron」7月19日号で報告された。プラセボ効果とは、患者自身効果があると思い込むことにより、偽薬を投与しても実際に効果が認められる現象。
 研究グループは、報酬予測に役割を果たすことが知られている脳領域である側座核(NAC)に着目。被験者には、試験のため新しい鎮痛薬またはプラセボのいずれかを投与すると伝え、全員にプラセボ(生理食塩水)を注射した。被験者はこの「薬」の鎮痛効果に対する自身の期待度を評価し、その後、「あごの筋肉に生理食塩水を注射する」という中程度の痛み課題を与えられ、「薬」の有無による痛みの緩和のレベルについても評価した。

 第一の実験では、PET(ポジトロンCT)を用いてNACからのドパミン(脳の報酬反応を誘発する物質)の分泌量を測定。その結果、薬剤の鎮痛効果に対する期待が大きいほどドパミン分泌も多いことが判明。さらに、「薬」による痛みの緩和を高く評価した人ほど、プラセボ投与時のNACの活性が大きかった。

 第二の実験では、機能的磁気共鳴画像(fMRI)による脳スキャンの間に、被験者にさまざまな額の金銭的報酬を期待させた。このときのNAC活性が大きかった人ほど、プラセボ薬の有効性についても高い期待を示していたことがわかった。

 この知見は、プラセボ効果が生じるにはNAC系が活性化される必要があることを裏付けるものだと著者らは述べている。将来、さまざまな疾患の治療法開発にこの情報が役立つとも考えられるという。

原文:
Scientists Unlock Secrets of the 'Placebo Effect'
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=606504
[2007年7月19日/HealthDayNews]

[NIKKEI NET いきいき健康 / 2007年07月26日]
http://health.nikkei.co.jp/hsn/hl.cfm?i=20070726hk000hk

肥満は伝染する?=ハーバード大学、カリフォルニア大学(米国)

2007年07月26日 | 生活習慣病
【ワシントン25日AFP=時事】肥満は社会的に伝染する現象であるとの研究結果が、25日発売の「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メデシン」に発表された。米ハーバード、カリフォルニア両大学の研究者が発表した。(写真は、サンドイッチ店の前に立つ肥えた女性)

 研究によると、肥満の友人を持つ人は、自身も肥満になる確率が57%増大する。研究は友人や親戚関係を中心として、1万2067人を対象に1971年から2003年までに行われ、この32年間の対象者の体重の推移をモニターした。
 研究者はその結果として、1人の人の肥満は身近な人の体重増加に影響を与えるとの結論に達した。研究者は、もりもり食べている人を見ることによって、見ている人の食べることをつかさどる脳の部分が刺激を受けるようだとしている。
 また研究は、さらに「伝染性」が強いケースがみられたと指摘している。同性の友人や兄弟、姉妹の場合で、異性の場合よりも体重の増加への影響が強かった。伴侶が肥満になった場合は、夫もしくは妻が肥満になる確率は37%増加したという。
 研究者はしかし、この結果は逆に言えば、1人の人が健康的な食事や運動で肥満を防げば、他の人の肥満を防ぐことにもなると指摘している。 〔AFP=時事〕

[時事ドットコム / 2007年07月26日]
http://www.jiji.com/jc/a?g=afp_sci&k=20070726013551a

リンゴポリフェノールで長寿!マウス実験で成果=アサヒビール、東京都老人総合研究所

2007年07月21日 | 食品・栄養
 リンゴから抽出される「リンゴポリフェノール」に寿命を延ばす効果があるとの研究結果を、アサヒビールと東京都老人総合研究所の白沢卓二研究部長らがまとめた。

 動物実験で確認したという。京都で始まった日本抗加齢医学会(会長=米井嘉一・同志社大教授)で20日報告したほか、英科学誌ネイチャーなどで発表する。

 実験は、遺伝子組み換えにより老化の速度を速めたマウス55匹を使った。このうち32匹に、リンゴポリフェノールを0・1%配合した飲料水を飲ませ、残り23匹のマウスにはただの水を飲ませて寿命を比べた。

 その結果、ポリフェノール入りの飲料水を飲んだマウスの寿命はメスが平均37・90週、オスが平均28・84週で、ただの水を飲んだマウスよりメスで平均72%、オスで29%寿命が長くなった。マウスが摂取したリンゴポリフェノールは1日リンゴ0・02個~0・04個分にあたり、人間の摂取量に換算すると1日リンゴ5~10個分程度になる。

[読売新聞 / 2007年07月21日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070721i504.htm

抗体で脳梗塞治療 時間たっても効果か=岡山大学、就実大学

2007年07月19日 | 薬理
 脳梗塞発症後、時間がたってからでも効く治療薬の候補を見つけ、ラットの実験で効果を確かめたとの研究結果を西堀正洋・岡山大教授(薬理学)と森秀治・就実大教授(薬理学)らが19日までにまとめた。

 この物質は、脳に炎症を起こすタンパク質を中和する抗体。注射することで、梗塞部分の範囲が縮小、運動まひが抑えられたという。

 脳梗塞は脳の血管が詰まり、酸素やブドウ糖が供給されなくなる。従来は血管を詰まらせている血栓を溶かす薬などを使い、発症後一定時間内に治療を始める必要があった。

 西堀教授らは、炎症を促進させる「ヌクレオカイン」というタンパク質のグループに着目。脳細胞が壊死(えし)すると細胞からこのグループの一種「HMGB1」というタンパク質が排出され、炎症が悪化し、脳梗塞が進むとの仮説を立て実験した。


[共同通信 / 2007年07月19日]
http://www.47news.jp/CN/200707/CN2007071901000646.html

就実大学薬学部 ホームページ
http://www.shujitsu.ac.jp/web/department/pharm/index.html

カレーの成分、アルツハイマー病に効く可能性=カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)

2007年07月17日 | 食品・栄養
 [ワシントン 16日 ロイター] 米研究者が16日、カレーに含まる成分が、脳の働きを阻害しアルツハイマー病を特徴付けるタンパク質を吸収する免疫細胞を、活性化する可能性があると発表した。
 カリフォルニア大学ロサンゼルス校のミラン・フィアラ博士の研究チームが全米科学アカデミー会報で発表した。
 これによると、インドカレーに独特の色を出す黄色い香辛料のターメリックに含まれている化合物が、アルツハイマー病の症状に対抗する特異な反応を誘発するとみられている。
 同チームではこれを応用し、その化合物を患者に注入することでアルツハイマーという致命的で不治の脳の病を治療できる可能性を指摘している。
 また別の研究では、ターメリックに含まれる抗酸化物質のクルクミンが腫瘍(しゅよう)の形成を妨げることが、実験室レベルとネズミを使った実験で示されている。


[Yahoo!ニュース,ロイター配信 / 2007年07月17日]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070717-00000128-reu-int

大腸がんを早期発見─目印注入し判別=ADEKA社、摂南大学

2007年07月16日 | 糖鎖
 ADEKAと摂南大学の佐久間信至・准教授、山下伸二教授らは、大腸がんを早期に発見する基本技術を開発した。がん細胞と結合する微粒子を作製し、目印を付けて体内に入れる。特殊な内視鏡で観察すれば、直径2ミリ程度しかない小さながん細胞でも簡単に有無が判別できる。今後、動物実験で性能を確認する計画だ。

 細胞には種類に応じて「糖鎖」とよばれる物質が表面に付いている。研究チームはがん細胞特有の糖鎖に着目し、その糖鎖にくっつく物質を付けた微粒子を使ってがんを見つけることを考えた。

[日経ネット関西版 / 2007年07月16日]
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/41054.html#begin

脂肪蓄積の酵素確認──肥満防ぐ薬剤開発に道=大阪薬科大学、大阪バイオサイエンス研究所

2007年07月16日 | 生活習慣病
 大阪薬科大学と大阪バイオサイエンス研究所のグループは、体内の脂肪細胞が脂肪を蓄えるときに働く酵素を見つけた。細胞実験で酵素の働きを抑えたところ、ためこむ脂肪の量が大幅に低下した。飲むだけで肥満を防げる薬剤の開発に結びつく可能性もあるという。

 大阪薬科大の藤森功講師と大阪バイオサイエンス研の裏出良博研究部長らのチームが見つけた。「プロスタグランジンD合成酵素」という名前。藤森講師は「人間にも同様の仕組みが働いており、太りにくくする薬の開発に将来つながるかもしれない」と話している。

[日経ネット関西版 / 2007年07月16日]
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/

持田製薬、肺高血圧薬の治験開始へ

2007年07月15日 | 創薬
 持田製薬は今年度中をめどに、肺動脈の高血圧の治療薬について、人を対象に安全性や有効性を確認する臨床試験(治験)を国内で始める。呼吸困難や疲れ、めまいなどを引き起こし、心不全の恐れもある病気で、現在は外科手術を施したうえで薬を投与している。新薬は皮下注射で薬を投与できるため、在宅や長期の治療が必要な患者の負担を軽減できる。

 治験を始めるのは「リモジュリン」と呼ぶ新薬候補で、2012年の発売を目指す。血管の内側を広げる効き目があり、肺動脈の血圧を下げる。小型ポンプを使って静脈や皮膚の下に薬を持続的に投与して治療をする。(07:00)

[NIKKEI NET / 2007年07月15日]
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070715AT5TA4K0114072007.html

持田製薬 ホームページ
http://www.mochida.co.jp/index.html

がん:光で診断 組織採取せず治療法選択=米・国立衛生研究所

2007年07月14日 | 可視化技術
 がんの組織を体内から採取しなくても、どの抗がん剤が効くかを確認したり、転移場所を推定できる画像診断技術を、小林久隆・米国立衛生研究所主任研究員らの研究チームが開発した。特定のがんと結びつく性質のある抗体に蛍光物質を載せて注射し、近赤外線をあてて光らせる方法。一度の画像診断で、複数のがんについて同時に適切な抗がん剤を選ぶことを可能にする技術で、9月の米国分子イメージング学会で発表する。

 研究チームは、肺がん、乳がん、大腸がん、甲状腺がんの4種類のがんを対象に実験した。各がんごとに、抗がん剤が効くタイプなら結合する抗体を用意し、蛍光物質を載せた注射剤を作成。タイプごとに蛍光物質の種類を変えた。同時に4種類のがんを発症させたマウスに静脈注射し、近赤外線をあてると、それぞれのがんの場所を異なる色で光らせることができた。

 また、直径約9ナノメートル(ナノは10億分の1)の人工の分子に、蛍光物質を載せた分子を作成。マウスに注射すると、この分子はリンパ液に乗って流れ、近赤外線をあてると光るため、どこのリンパ節に到達したかが分かった。この分子をがんのそばに注射すれば、転移のルートや転移先の推定が可能になる。

 小林研究員は「痛い思いをしなくても、複数のがんを1回で確認でき、患者の負担が軽くなるはずだ。5年程度で実用化できるとみられ、PET(陽電子放射断層撮影)など従来の画像診断より、個々の患者に適した治療を選択する診断が可能になるだろう」と話している。【永山悦子】

[毎日新聞 / 2007年07月14日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070714k0000e040066000c.html

(記事中に米国立衛生研究所とありますが、小林さんは米国立がん研究所の所属のようです。訂正させていただきます。)
米国立がん研究所(NCI)分子イメージング・プログラム
小林久隆さんのページ;
http://ccr.cancer.gov/staff/staff.asp?profileid=9879

顎関節症:痛み和らげるサプリメント開発=三重大学、イシダファーマ

2007年07月14日 | 食品・栄養
 三重大学(津市)などの共同研究チームは、20代の女性に多く見られる顎(がく)関節症の痛みを和らげる効果があるサプリメント(栄養補助食品)を開発した。15日に仙台市で開かれる日本顎関節学会で、臨床試験の詳しい結果を発表する。

 開発したのは、同大医学系研究科の田川俊郎教授(口腔(こうくう)・顎顔面外科学)と、健康補助食品などを開発・販売する「イシダファーマ」(津市、石田剛社長)。サプリメントは、軟骨の再生作用がある成分と鎮痛・抗炎症作用がある成分でできている。臨床試験では、あごの痛みを訴える患者が減ったといい、今秋には商品化を予定。歯科医などを通じて販売する。

 顎関節症は、口を開けると音がする、痛む、口が開かなくなるなどの症状があり、国内に推計約1600万人の患者がいるとされる。米国のホットドッグ早食い大会のチャンピオンとして知られる小林尊さんが顎関節症になったことを自らのブログで告白して話題になった。現在は主に、スプリントと呼ばれるマウスピース状のものを口にはさむなどの治療が行われている。田川教授は「顎関節症の痛みが緩和できるサプリメントは初めて。治療の一助になる」と話している。【高木香奈】

[毎日新聞 / 2007年07月14日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070714k0000e040065000c.html

イシダファーマ株式会社 ホームページ
http://www.ipharma.co.jp/

ピロリ菌:増殖抑制物質の人工合成に成功=理化学研究所

2007年07月13日 | 糖鎖
 胃かいようや胃がんの原因とされる細菌「ヘリコバクター・ピロリ」の増殖を抑制するヒトの体内物質を、理化学研究所の研究チームが人工合成することに成功した。大量生産が可能となったことで、ピロリ菌を除去する薬剤の開発や、増殖を抑制するメカニズムの解明につながるという。米化学会誌「ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー」(電子版)に近く掲載される。

 ピロリ菌はヒトの胃の粘膜表面にすみ着くが、粘膜の深部にはいない。深部粘膜から、たんぱく質と結合した形で分泌される糖鎖と呼ばれる化合物に、ピロリ菌の増殖を抑制する作用があるためとされている。

 しかし、この糖鎖は粘膜にごく微量しか存在せず、研究に必要な量を抽出することができなかった。また、分子が巨大で立体構造が複雑なため、人工合成も難しかった。

 研究チームは、糖鎖の原料となる新たな化合物を独自に開発した。この化合物を使って化学反応を起こしたところ、目的とした糖鎖を効率よく合成することに成功した。

 研究チームの真鍋史乃・理研専任研究員は「ピロリ菌の除菌には抗生物質が使われるが、有用な細菌も殺してしまうし、失敗例も1~2割ある。この糖鎖はピロリ菌以外には作用しないと考えられ、医薬品として有効だろう」と話している。【下桐実雅子】

[毎日新聞 / 2007年07月13日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070714k0000m040039000c.html

理化学研究所 プレスリリース
  抗ピロリ菌活性を持つ糖鎖を世界で初めて合成
 - アミノ糖のcis選択的な合成法を30年ぶりに新開発 -
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2007/070713/index.html

ベニバナの種で「血管年齢」改善=味の素健康基盤研究所、京都府立医科大学、福島県立医科大学

2007年07月13日 | 食品・栄養
 染料や食用油の原料になるベニバナ(紅花)の種子に多く含まれるポリフェノール成分に、血管の硬化を抑える働きがあることが、味の素健康基盤研究所と京都府立医大、福島県立医大の共同研究で分かった。心筋梗塞(こうそく)や狭心症、脳卒中など動脈硬化による疾患の予防に役立つと期待される。

 13日から大阪で開かれる日本動脈硬化学会で発表する。


 研究グループは、ベニバナの種子に多く含まれる2種類のポリフェノール(クマロイルセロトニン、フェルロイルセロトニン)に着目。動脈硬化症を自然に発症するウサギにこの成分を食べさせると、血管年齢(血管の硬さ)の指標となる脈波伝播(でんぱ)速度(脈が伝わる速さ)の上昇が抑えられることを確かめた。


 また、この成分は血管の内側で、強い抗酸化作用により炎症反応などを抑え、血管組織の硬化を抑制していることが、マウスを使った実験から示唆された。


 さらに、味の素の男性社員20人に、この成分を4週間摂取してもらったところ、血管年齢が高めの14人では摂取前よりも脈波伝播速度が下がり、ヒトでも血管の柔軟性を維持する効果がある可能性が示された。


 2種類のポリフェノール成分は1キロの種子に約3グラム含まれており、含有率は米やトウモロコシの100倍以上。ベニバナの種子はエチオピアでは一般的に食用とされ、韓国や日本でも一部で食べられているという。(中本哲也)


[産経新聞(GOO配信 / 2007年07月13日]
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/m20070713001.html

味の素株式会社 ホームページ
http://www.ajinomoto.co.jp/
・プレスリリース
 紅花種子特有のポリフェノール成分に“血管年齢”改善効果を発見
 -第39回日本動脈硬化学会にて発表-
http://www.ajinomoto.co.jp/press/2007_07_11.html

ベニバナの種で「血管年齢」改善(産経新聞) - goo ニュース