ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

バッタが群れとなる原因は脳内物質セロトニン=ケンブリッジ大学

2009年01月31日 | 生きもの色々
【1月31日 AFP】英国の専門家チームは、バッタが孤独相から群生相に相転換するのは、脳内の神経伝達物質セロトニンが原因であることを突き止めた。29日の米科学誌「サイエンス(Science)」で発表された。

 バッタの後ろ脚をくすぐると、2時間後、そのバッタは、作物を食い尽くす巨大な群れを構成する一員となる準備が整う。これは、脚をくすぐって刺激するのは、通常1匹で行動するバッタが、食糧不足のために集団にならざるを得ない状況でぶつかり合うのと同じ状況を作り出すことになるためだが、研究者らは群れを作る理由は分かってはいたものの、急激な生物学的変化が起こる仕組みについては  90年間  も頭を悩ませていた。

 研究論文の共同執筆者、ケンブリッジ大学(Cambridge University)のSwidbert Ott氏は、「セロトニンは脳内の化学物質で、人間の行動や他者とのかかわりに大きく影響を及ぼすものだが、これと同じ化学物質が、内気で孤独を好む昆虫を大集団に団結させるのを知るのは驚きだ」と語った。

 研究結果によると、セロトニンが、個々のバッタを敵対関係から引きつけ合うように変えるという。また、群生相のバッタのセロトニン水準は孤独相のバッタより3倍高いことも判明した。

 いったん群生相に相転換すると、緑色だったバッタは鮮やかな黄色に変わり、筋肉も増強して長時間の飛行や仲間の活動的な捜索が可能となる。数十億匹規模の大集団となって、餌を探して約100キロメートルの距離を5-8時間飛ぶこともできるという。

 だが、孤独相のバッタにセロトニンの生成を抑制する物質を注入すると、そのバッタは落ち着いたままで、後ろ脚を刺激したり群れが現れても群生相には転換しなかった。一方、セロトニンの分泌を刺激する物質を注入されたバッタは、きっかけとなる刺激がなくても群生相へと変形したという。

 もう1人の共同執筆者のオクスフォード大学(University of Oxford)のMichael Anstey氏は、「これまで、刺激を与えるとバッタが『ジキルとハイド』のような驚くべき変形を引き起こすことは分かっていたが、孤独相のバッタを巨大な群れへと変える神経系の変化を特定することはできずにいた」と述べた。(c)AFP

[AFP BB News 2009年01月31日]
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2566067/3738966

効果が見える新抗がん剤開発、治療効果の予測も容易に=放射線医学総合研究所

2009年01月31日 | 可視化技術
 脳腫瘍(しゅよう)の抗がん剤が、脳内に運搬される様子を画像で示すことに、放射線医学総合研究所(千葉市)の青木伊知男チームリーダーらが世界で初めて成功した。

 薬の効果の判定が予測しやすくなるため、患者の特性に応じて抗がん剤の投与量を調整する手法の開発につながりそうだ。近く、米専門誌に掲載される。

 脳には「脳血液関門」という構造があり、薬剤が入りにくい。これまでは投与した抗がん剤が脳にどの程度運ばれるか、直接確かめることができないため、がんの縮小率などを指標に、薬の効果を判定している。

 研究チームは、国内未承認の脳腫瘍の抗がん剤に、造影剤を結合した薬剤「SLENU(スレニュー)」を開発。この薬剤をマウスの静脈に注射したところ、20秒後に脳内に薬剤が運ばれている様子が、MRI(磁気共鳴画像)で観察することができた。

 また、スレニューは、がん細胞が死ぬときに出る活性酸素で性質が変化するため、この薬剤でがん細胞がどれくらい死んだか、治療効果を判定することもできるという。

[読売新聞 2009年01月31日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090131-OYT1T00404.htm

クラゲから有用タンパク 変形性関節症の治療に効果=東海大学、理化学研究所

2009年01月31日 | 生きもの色々
 東海大と理化学研究所は30日、クラゲから採取した新しい糖タンパク質「クニウムチン」を使い、高齢者に多い変形性関節症の治療効果を高めることに、ウサギ実験で成功したと発表した。日本海での大量発生が問題化したエチゼンクラゲなどの有効利用にもつながるという。

 変形性関節症は、関節の軟骨がすり減るなどし、ひじやひざなどの痛みや機能障害を引き起こす。国内の患者数は700万人以上とされる。現在の治療では、軟骨の粘度を保つ糖タンパク質「ヒアルロン酸」を人工的に作りだし、患部に注射している。これに対して軟骨を保護、修復する糖タンパク質「ムチン」は自然界に少なく、構造が複雑で大量生産は難しかった。

 研究グループは一昨年、エチゼンクラゲやミズクラゲからムチンとよく似た性質を持つクニウムチンを発見。構造が単純なため高い品質で抽出でき、クラゲ1トンからはクニウムチン約1キロを採取できるという。

 クニウムチン0・5ミリグラムとヒアルロン酸5ミリグラムを混ぜ、変形性関節症を発症させたウサギに注射したところ、従来のヒアルロン酸だけと比べ、軟骨の厚みや面積が2・6倍も修復された。

 佐藤正人・東海大医学部准教授は「大量生産を軌道に乗せ、4、5年で実用化したい」と話している。研究内容は、3月5日から開かれる日本再生医療学会総会で報告する。

[msn産経ニュース]
http://sankei.jp.msn.com/science/science/090131/scn0901310021000-n1.htm


理化学研究所 プレスリリース
 クラゲから採取したムチン、関節治療への応用で動物実験に成功
 - 高齢化社会を支える変形性関節症治療への可能性 -
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2009/090130/index.html
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2009/090130/detail.html

名前をつけてもらっている牛は乳の出が良い

2009年01月29日 | 心のしくみ
【1月29日 AFP】「デイジー」「ガートルード」「バターカップ」などの名前をつけてもらっている牛は、名前をつけてもらっていない牛よりも乳の出が良いとする研究結果が、28日の英学術誌「Anthrozoos」オンライン版に発表された。

 英ニューカッスル大学(Newcastle University)の研究チームは、酪農家516人への聞き取り調査の結果をまとめたところ、名前をつけてもらっている牛では年間で最大500パイント(約284リットル)も多く乳を出していることが分かった。

 研究を指揮したキャサリン・ダグラス(Catherine Douglas)氏は、「牛も人間同様、個人的な親しみを持って接してもらえればより幸せだし、リラックスもする。牛を名前で呼んだり、常にふれ合うなどして『個』を大切にすると、牛の幸福感は増し、人にもなれるばかりか、乳を良く出すようにもなる」と分析している。

 ところで、調査した酪農家のうち、牛に名前をつけていると答えた人はほぼ半数の46%だった。ニューキャッスル郊外の酪農家、デニス・ギブ(Dennis Gibb)さんは、「牛1頭1頭を大切にすべき。牛は単なる家畜ではなく、家族の一部なのだから」と話している。(c)AFP 

[AFP BB News 2009年01月29日]
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2565506/3735764

脊髄損傷でも機能回復の望み膨らむ=自然科学研究機構・生理学研究所

2009年01月29日 | 脳、神経
脊髄(せきずい)を損傷してもリハビリにより、別の神経回路が働いて機能回復につながることを示す研究を続けている自然科学研究機構・生理学研究所の研究チームがまた新たな証拠を見つけた。

同研究所の伊佐正教授と西村幸男研究員(現ワシントン大学)は、脊髄損傷で指を動かせなくなったサルが、リハビリテーションによって指が動かせるようになることをこれまでの研究で明らかにしている。今回、機能回復の仕組みをさらに調べた結果、運動の指令を出していた大脳皮質運動野からの信号が途切れてしまっているにもかかわらず、障害によって弱くなった筋肉が互いに協働して活動するようになり、器用な動きを取り戻すことが確かめられた。筋肉の動きは1秒間に30-46 回という小刻みなもので、正常ではみられない動きだった。

機能回復が実現した理由について伊佐教授らは、本来、指の動きの指令を出していた大脳皮質運動野とは別の部位(反対側の運動野あるいは運動前野など)から、損傷で切れてしまった脊髄の回路とは別のバイパス回路を経由して、指の筋肉を協働して働かせる指令が出ているため、と説明している。

今回の成果は、交通事故などによる脊髄損傷で機能障害を負った患者にとって新たな朗報になると見られる。伊佐教授らは、「今後、いかにしてこの回復に重要な神経活動を外部から刺激し、効率のよいリハビリに結びつけるかが課題だ」と言っている。

この研究成果は、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の一環として得られた。

[サイエンスポータル編集ニュース 2009年01月29日]
http://scienceportal.jp/news/daily/0901/0901291.html

微量の薬で効果・副作用を予測 新薬開発に新たな手法=東京大学、医薬品開発支援機構、製薬メーカーなど

2009年01月26日 | 創薬
 臨床試験(治験)に先立ち、開発中の薬をごくわずか飲み、人体での効果や副作用を予測する技術の確立に向けた検証が、3カ年の計画でスタートした。人体への負担が少ないうえ、成功しそうにない治験は避けられ、1千億円ともいわれる新薬開発費を圧縮できる可能性がある。

 「マイクロドーズ試験」と呼ばれる。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託で、東京大学や医薬品開発支援機構、製薬メーカーなどによるグループが実施する。

 すでに承認された約20種の薬で、服用量の100分の1以下を飲んでもらい、放射性同位体や陽電子放射断層撮影(PET)などを用いて、体内での吸収や分布、代謝などを調べる。これで実際の効果や副作用をどの程度、予測できるかを検証する。

 厚生労働省は昨年6月、マイクロドーズ試験の実施にあたって、被験者へのインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)など、手続きや届け出のガイダンスを作製した。杉山雄一・東大薬学系研究科教授は「(マイクロドーズ試験の導入で)治験の成功確率を3割程度まで上げられれば新薬開発にとって飛躍的進歩になる」と話す。(行方史郎)

[朝日新聞 2009年01月26日]
http://www.asahi.com/health/news/TKY200901250201.html

見つめ合いでホルモン上昇 人と犬、きずな強める=麻布大学、自治医科大学

2009年01月24日 | 心のしくみ
 愛犬に見つめられると、相手への信頼感やきずなを強める働きのあるホルモン「オキシトシン」が飼い主の体内で増加することを、麻布大と自治医大の研究グループが24日までに確認した。

 オキシトシンは、哺乳(ほにゅう)類の母子関係や夫婦のきずな形成に関係しているとされるが、異種間での作用が確かめられたのは初めて。「見つめる」という行為がオキシトシン増加を招くことについて永沢美保・麻布大助教(比較認知科学)は「『目は口ほどに物を言う』と言われるが、人間と犬の間でも視線が重要なのだろう」と話している。

 研究グループは、55組の飼い犬と飼い主で実験。室内で1組ずつ、30分間触れ合ってもらい、実験前後の飼い主の尿に含まれるオキシトシンの濃度を測定した。

 すると、事前アンケートで犬との関係が「良好」と判断された飼い主13人では実験後に濃度が大きく上昇したが、「普通」の42人では変化が無かった。良好群の実験後の濃度は、普通群の約1・5倍と高かった。

 良好群の実験を撮影した映像を分析すると、犬が「遊ぼうよ」と飼い主を見つめたのをきっかけに交流した回数が多いほど、実験後の濃度が高くなっていた。

 一方、犬に顔を見せないよう飼い主が壁を向いたまま触れ合う実験では、55組すべてで濃度変化は表れなかった。

[共同通信47NEWS 2009年01月24日]
http://www.47news.jp/CN/200901/CN2009012401000015.html

芸術家の頭の中は?独創の源を解明へ、東京芸術大学、理化学研究所

2009年01月24日 | 心のしくみ
 一流の芸術はどのようにして生まれるのか? 東京芸術大学(宮田亮平学長)と理化学研究所(野依良治理事長)は、第一線で活躍する芸術家の脳の活動を詳しく調べる共同研究に乗り出す。芸術と脳科学という全く違う分野の専門機関が連携して研究するのは珍しく、教育手法などへの応用が期待されている。

 テーマは「独創的なアイデアがひらめく瞬間に脳はどんな活動をするか」「進化の過程で芸術や音楽は、どのようにして生まれたのか」「作品を鑑賞する脳の活動は、専門家と一般の人でどこが違うか」など。

 年度内の協力協定締結へ向けて最終調整中で、東京芸大の研究者有志が作る研究会「芸術する脳を考える会」(代表=米林雄一教授)を中心に、理研の脳科学総合研究センターと多角的に研究を進める。

 脳波のほか、磁場をかけて脳を外部から透かし見る磁気共鳴画像(MRI)やコンピューター断層撮影法(CT)、光トポグラフィーを使い、脳が実際に活動する様子を観察。今まで定義することが難しかった「美」や「いやし」「感動」といった人間の感性に及ぼす芸術の効果も探る。成果は将来の創作活動や教育に生かしたい考えで、脳科学に裏付けされた新たな表現方法や芸術の創出を目指す。

[読売新聞 2009年01月24日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090124-OYT1T00533.htm

コラーゲンやはり美肌効果あり、機能の一端解明=京都府立医科大学

2009年01月24日 | 食品・栄養
 コラーゲン(ゼラチン)の分解物のペプチドが皮膚の傷の修復を助けるメカニズムが、京都府立大などのグループの研究で分かった。コラーゲンは「肌に良い」と言われながらもそのメカニズムは不明で疑問視する声もあったが、機能の一端が初めて確かめられた。近く発行される米国化学会の学術誌「食品と農芸化学誌」の2009年第2号に掲載される。

 グループは、佐藤健司教授(食品機能学)、大学院生の岩井浩二さん、大阪夕陽丘学園短期大の重村泰毅助教ら。

 コラーゲンは皮膚や軟骨などを構成するタンパク質の一つで、食物から摂取すると分解されて体内に吸収される。これまで個々のアミノ酸にまで分解して吸収されると考えられており、「肌に良い」のがコラーゲン本来の働きかどうかは不明だった。

 佐藤教授らは、人の実験で、ブタや魚のコラーゲンを食べると、コラーゲンに多いアミノ酸のヒドロキシプロリンとプロリンが結びついたペプチド(アミノ酸化合物)が血中に長時間にわたって増えることを突き止めた。

 このペプチドの機能をマウスの皮膚細胞で調べたところ、ペプチドが再びコラーゲンになるのではなく、コラーゲンを作って傷を修復している皮膚の繊維芽細胞を傷の部分に呼び寄せるのを助けることが分かった。

 佐藤教授は「コラーゲンの一部はペプチドとして体内に取り込まれて働いているらしい。コラーゲンの摂取により血圧を降下させたり、骨密度低下を抑えることも報告されており、その機能を確かめたい」と話している。

[京都新聞 2009年01月24日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009012400088&genre=G1&area=K00

難病の一部、実は新疾患=金沢大学

2009年01月24日 | 免疫
 金沢医科大の正木康史准教授(血液免疫制御学)らの研究グループは二十三日までに、免疫性の難病シェーグレン症候群の一部とされていた中に、抗体タンパク質の増殖で発症する新たな別の疾患が含まれていることを突き止めた。今後、適切な診断法を確立し、早期に症状の進行を防ぐ。研究成果をまとめた論文は英科学誌ネイチャーなどに紹介された。
 シェーグレン症候群は口や目が乾燥し、重度になると肺や肝臓などの内臓疾患も併発する難病で、国内の患者数は十万―二十万人といわれている。同症候群の中にはミクリッツ病と呼ばれ、特に涙腺や耳下腺の腫れがひどくなる疾患があるが、従来は同症候群の一部と考えられていた。

 正木准教授らは、ミクリッツ病が同症候群とは別の疾患ではないかと考え、二〇〇四(平成十六)年に金大や富大を含む全国の専門家による検討会を設置。全国の病院から八十四症例を集めて解析した結果、同症候群と比べ、「IgG4」と呼ばれる抗体タンパク質と、それをつくる細胞の増殖が分かった。

 さらに、別の疾患である自己免疫性膵炎(すいえん)の中でも特に「IgG4」の数の多くなる症例があるため、これらをまとめて新たに「IgG4関連リンパ増殖性多臓器疾患」として提唱することにした。

 同検討会によると、同疾患はステロイドの投与により、腺機能の荒廃や多臓器不全の進行を防げるという。一方、副作用に注意が必要で、同検討会は適切な投与量や時期などを研究し、治療法の確立を目指す。

[北国新聞 2009年01月24日]
http://www.hokkoku.co.jp/_today/H20090124101.htm

世界初、たんぱく質「セプチン」の機能を解明=名古屋大学

2009年01月23日 | 蛋白質
 生物の細胞質分裂や精子の形成などにかかわるとされるたんぱく質「セプチン」に様々な細胞の形を制御する機能があることを、名古屋大学の滝口金吾助教らのグループが世界で初めて突きとめ、米科学誌「カレント・バイオロジー」電子版に発表した。

 セプチンは脳や精巣などに幅広く存在し、その異常がパーキンソン病や男性不妊症などに関係していることはわかっていた。

 滝口助教らが、リン脂質でできたリポソームという人工の生体膜にセプチンを加えたところ、リポソームから多数の突起が伸び、さらにセプチンが突起部分の周囲を巻くようにして糸状の線維を形成した。こうした形状は、動物の神経細胞などに見られることから、セプチンの機能が判明した。

 滝口助教は「セプチンの異常による疾患の発症原因や治療方法の究明につながる」と話している。

[読売新聞 2009年01月23日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090123-OYT1T00878.htm

マウス皮膚細胞:極小ビーズで人形=東京大学

2009年01月23日 | 再生医療
 マウスの皮膚細胞を集めた極小のビーズ約10万個を立体的につなげ、大きさ5ミリの人形を作ることに、東京大学生産技術研究所の竹内昌治准教授(マイクロデバイス工学)らが成功した。この技術を使えば、異なる種類の細胞を生きたまま整然と並べることが可能になり、ヒトの内臓などに近い状態を再現できるようになるという。

 ヒトの内臓は異なる細胞が何層にもわたり整然と並んでいる。しかし、人工的に作成しようとすると、同じ細胞同士が塊を作ったり、内部に栄養分が行き届かずに死んでしまうなどの課題があった。

 竹内准教授らは、マウスの皮膚細胞を集めた直径約0.1ミリの丸いビーズを作成。厚さ1.25ミリの型に入れて培養し、24時間後でも細胞が生きた状態の人形を作った。

 さらに、ヒトの肝臓の細胞2~4個の周囲にマウスの皮膚細胞数十個がくっついたビーズの作成にも成功した。竹内准教授は「数種類の細胞を組み合わせてより臓器に近い状態を作り、動物実験を行わなくても薬が臓器に与える影響などを調査できるようにしたい」と話している。26日からイタリアで開かれる国際会議で発表される。【斎藤広子】

[毎日新聞 2009年01月23日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20090123k0000e040014000c.html

特定酵素で遺伝子活性化 精神疾患治療に光=岡山大学

2009年01月22日 | 脳、神経

 神経細胞の発達や活動に不可欠な遺伝子が染色体上の一定の場所に集中して存在し、その大部分が特定の酵素によって活性化されることを、岡山大大学院の筒井研教授(遺伝情報動態学)らの研究チームが突き止めた。この酵素による遺伝子の活性化異常が精神疾患の原因となっている可能性が考えられ、治療法の開発につながる成果として注目される。

 筒井教授らは、細胞の核に存在する「II型DNAトポイソメラーゼβ(トポIIβ)」という酵素に着目。ラットの脳の神経細胞を使い、遺伝子にどのような影響を与えるのかを調べた。

 遺伝子の働きを調べたところ、トポIIβによって活性化される遺伝子は、染色体上の遺伝子がない部分(遺伝子砂漠)の両側に存在するケースが多いことを確認。これらの遺伝子が働いてできたタンパク質の機能を解析すると、9割以上が神経細胞の発達や活動に不可欠なものだった。

[山陽新聞 2009年01月22日]
http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2009/01/22/2009012223095852002.html

カタツムリ、交尾器の微細な模様で種を識別=信州大学

2009年01月22日 | 生きもの色々
 カタツムリが交尾する際、交尾器の表面にある微細な彫刻模様で、相手が自分と同じ種かどうかを識別している可能性が高いことを、信大理学部(松本市)の浅見崇比呂准教授(53)=進化生物学=らが突き止めた。一つの種から新種が分かれて進化する際のスタート地点である「生殖隔離」の過程を解明する有力な手掛かりとして注目される。

 東邦大理学部(千葉県船橋市)の関啓一研究員らとの共同研究。英王立協会の生物学専門誌「バイオロジー・レターズ」(電子版)に13日付で掲載された。

 カタツムリは雌雄同体で、交尾は互いに交尾器を相手に挿入して精子を交換して卵子と受精させ、両者が産卵する。温帯地域に生息する外来種「オナジマイマイ(BS)」と、近縁種で形態がそっくりの在来種「コハクオナジマイマイ(BP)」で実験した結果、BSとBPは10回中8回は同種間で交尾するが、2回は異種間でも交尾した。

 異種間では、BSは通常と同じように交尾するのに、BPは交尾器を抜いてしまうことが判明。BPはBSの精子をもらって産卵するが、BSはBPの精子をもらえず産卵できないことが分かった。

 相手の識別には化学物質「性フェロモン」がかかわっている可能性もあるが、交尾して初めて種の違いに気付くケースが2割あるため、性フェロモンだけでは説明できない。浅見准教授は「種ごとに異なる交尾器の微細な彫刻模様で相手の種を識別している」と結論付けた。

 交尾器の形態の違いで生殖隔離が起きる例が、巻き貝の仲間や雌雄同体の動物で報告されたのは初めて。カタツムリの交尾器の彫刻模様は種の分類の根拠として使われているが、なぜ種ごとに彫刻模様が異なるのかは分かっていなかった。

 冨山清升(きよのり)鹿児島大理学部准教授(動物行動学)の話 新種が進化する際の生殖隔離のメカニズムについては、精子と卵子の不和やフェロモンなどさまざまな研究がされているが、今回は、交尾した後に「器械的な違い」で相手が違うと気付いていることをデータで証明した。他の動物を含め、世界初の画期的な成果だと思う。

[信州毎日新聞 2009年01月22日]
http://www.shinmai.co.jp/news/20090122/KT090121LSI090002000022.htm

脳神経伝達物質の減少、一因解明=うつ病新薬に応用期待=国立精神センター

2009年01月17日 | 脳、神経
 ストレスに対抗するために副腎皮質から分泌されるホルモン「グルココルチコイド」の血中濃度が慢性的に高くなり過ぎると、脳神経細胞からの神経伝達物質の放出量が減るメカニズムが見つかった。国立精神・神経センター神経研究所の沼川忠広室長らが17日までに米科学アカデミー紀要に発表した。うつ病の新たな薬や治療法の開発に役立つと期待される。(2009/01/17-14:28)

[時事ドットコム 2009年01月17日]
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200901/2009011700203