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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

血液検査でがんなど診断 早期発見に期待=北海道大学、塩野義製薬ら

2008年12月16日 | 糖鎖
 北海道大は16日、塩野義製薬(大阪市)と共同研究で肺がんや膵臓がん、リウマチの早期発見につながる可能性がある物質を特定したと発表した。血液検査により、がんなどを早期発見できるようになるという。

 これは糖質が鎖のように結合して細胞表面から突き出した「糖鎖」と呼ばれるもので、がんなどの診断や経過観察に役立つと期待されている。

 北大は血液に含まれる糖鎖を解析する機器で、健康な人とがん患者などの糖鎖の量の差を解析。肺がんと膵臓がんでは、それぞれ特定の糖鎖が患者の方が健康な人より少なくなり、リウマチでは逆に、別の糖鎖が患者の方が健康な人より多くなることを突き止めた。

 一滴以下の血液での解析が可能で、肺がんでは約90%、膵臓がんでは約93%、リウマチでは約96%の確度で区別できるとのデータが得られたという。

 北大の西村紳一郎教授は「実用化されれば早期発見が極めて困難だった肺がんや膵臓がんを、健康診断で発見できるようになる」と話している。

[共同通信47NEWS 2008年12月16日]
http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008121601000826.html

大腸がんを早期発見─目印注入し判別=ADEKA社、摂南大学

2007年07月16日 | 糖鎖
 ADEKAと摂南大学の佐久間信至・准教授、山下伸二教授らは、大腸がんを早期に発見する基本技術を開発した。がん細胞と結合する微粒子を作製し、目印を付けて体内に入れる。特殊な内視鏡で観察すれば、直径2ミリ程度しかない小さながん細胞でも簡単に有無が判別できる。今後、動物実験で性能を確認する計画だ。

 細胞には種類に応じて「糖鎖」とよばれる物質が表面に付いている。研究チームはがん細胞特有の糖鎖に着目し、その糖鎖にくっつく物質を付けた微粒子を使ってがんを見つけることを考えた。

[日経ネット関西版 / 2007年07月16日]
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/41054.html#begin

ピロリ菌:増殖抑制物質の人工合成に成功=理化学研究所

2007年07月13日 | 糖鎖
 胃かいようや胃がんの原因とされる細菌「ヘリコバクター・ピロリ」の増殖を抑制するヒトの体内物質を、理化学研究所の研究チームが人工合成することに成功した。大量生産が可能となったことで、ピロリ菌を除去する薬剤の開発や、増殖を抑制するメカニズムの解明につながるという。米化学会誌「ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー」(電子版)に近く掲載される。

 ピロリ菌はヒトの胃の粘膜表面にすみ着くが、粘膜の深部にはいない。深部粘膜から、たんぱく質と結合した形で分泌される糖鎖と呼ばれる化合物に、ピロリ菌の増殖を抑制する作用があるためとされている。

 しかし、この糖鎖は粘膜にごく微量しか存在せず、研究に必要な量を抽出することができなかった。また、分子が巨大で立体構造が複雑なため、人工合成も難しかった。

 研究チームは、糖鎖の原料となる新たな化合物を独自に開発した。この化合物を使って化学反応を起こしたところ、目的とした糖鎖を効率よく合成することに成功した。

 研究チームの真鍋史乃・理研専任研究員は「ピロリ菌の除菌には抗生物質が使われるが、有用な細菌も殺してしまうし、失敗例も1~2割ある。この糖鎖はピロリ菌以外には作用しないと考えられ、医薬品として有効だろう」と話している。【下桐実雅子】

[毎日新聞 / 2007年07月13日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070714k0000m040039000c.html

理化学研究所 プレスリリース
  抗ピロリ菌活性を持つ糖鎖を世界で初めて合成
 - アミノ糖のcis選択的な合成法を30年ぶりに新開発 -
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2007/070713/index.html

血液をO型に変える酵素を開発=ハーバード大学

2007年04月02日 | 糖鎖
 AとB、AB型の赤血球をO型の赤血球に変えることのできる酵素を米ハーバード大などの国際研究チームが開発した。

 米国の専門誌ネイチャー・バイオテクノロジー(電子版)に1日発表する。O型の血液は、どの血液型の患者にも輸血できるため、実用化すれば、輸血用血液の血液型の偏りを解消できる可能性がある。

 赤血球の表面は、毛のような糖鎖で覆われている。その糖鎖の先に結合している糖の種類によって、A、B、AB型に分かれ、何もついていないのがO型。結合している糖の種類が違うと輸血時に拒否反応が起きるため、O型以外の赤血球は輸血対象が限られる。緊急時など患者の血液型が不明な時はO型を使う。

 研究チームは、約2500種類の細菌などから、赤血球の糖鎖から糖を分断する能力を持つ酵素を複数発見。それぞれの特徴を遺伝子レベルで調べ上げ、効率を高めた酵素を開発した。この酵素でO型以外の赤血球200ミリ・リットルを1時間処理すると、ほとんどの赤血球がO型になった。

 血液に詳しい慶応大病院輸血・細胞療法部の半田誠部長の話「血液型を間違えて輸血すると致命的な副作用があり、O型の赤血球は大変に貴重。実験室段階ながら、素晴らしい成果だ。大量の赤血球を処理できれば実用化が期待できる」

[2007年04月02日 / 読売新聞]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070402i101.htm

血液をO型に変える酵素、ハーバード大などが開発(読売新聞) - goo ニュース

神経難病:原因たんぱく質の構造を発見=大阪大学

2007年03月19日 | 糖鎖
 ハンチントン病(舞踏病)や脊髄(せきずい)小脳変性症などの神経難病の原因となる異常なたんぱく質の構造を、大阪大大学院医学系研究科の永井義隆助手(神経病学)と戸田達史教授(遺伝医学)らが発見した。異常なたんぱく質が病気を引き起こす構造へと変化するのを防ぐ治療薬の開発につながる成果といい、米科学誌「ネイチャー・ストラクチュアル・アンド・モレキュラー・バイオロジー」(電子版)に19日、掲載される。

 ハンチントン病など神経難病の患者は国内に数万人いるとみられるが、有効な治療法はない。アミノ酸の一種のグルタミンの数が大変多い異常なたんぱく質が、その構造を変化させた後、脳内の細胞に蓄積して発症すると考えられているが、詳細は分からなかった。

 永井助手らは、グルタミンの数が多い異常なたんぱく質を溶液中で構造解析。異常たんぱく質が蛇腹のような「βシート」構造に変化し、異常たんぱく質を数多く結合させ固まりを作ることを突き止めた。βシート構造の異常たんぱく質が細胞に毒性を持つことも判明。「QBP1」と呼ばれる分子がβシート構造への変化を阻害することも確認した。

 永井助手らは「QBP1を応用すれば治療薬の開発が期待できる。アルツハイマー病やパーキンソン病などでも同様の構造変化が発症の原因と考えられ、新薬開発につながる可能性がある」と話している。【河内敏康】

[毎日新聞 / 2007年3月19日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070319k0000m040124000c.html

大阪大学21世紀COEプログラム「疾病関連糖鎖・タンパク質の統合的機能解析」
より戸田達史Dr.のページ
http://www.glycocoe.med.osaka-u.ac.jp/coe21/jp/mem_toda.html