京都薬科大の林良雄助教授(創薬化学)らの研究グループは28日、がん細胞の周囲の血管を壊す化合物を開発したと発表した。新しい抗がん剤として期待できるといい共同研究を進める米バイオベンチャー会社が米国で臨床試験を始める。
がん細胞は、増殖に必要な栄養と酸素を得るため、周囲に血管を作り細胞へ引き入れる。この新生血管の内皮細胞はチューブリンというタンパク質の繊維でできており、繊維を壊せば、がん細胞を死滅させることができる。
林助教授らは、土壌中の微生物が作る天然化合物フェニラヒスチンの一部構造を変えた化合物を開発。投与するとチューブリンの繊維を断片化して新生血管が破壊され、がん細胞が死滅することをマウスなどの実験で確かめた。
チューブリンは細胞分裂にも不可欠で、その機能を阻害することで、がん細胞の増殖を抑える抗がん剤はすでに臨床で用いられている。林助教授らが開発した化合物は新生血管を壊す効果がより高いという。
臨床試験は米国の医療機関で実施する。乳がんや大腸がんなどの患者の登録を始めており、抗がん剤としての効果と安全性を確かめる。林助教授は「ほかの抗がん剤との併用で、より高い治療効果を期待できるのではないか」と話している。
[2006年07月29日/京都新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060729-00000018-kyt-l26
がん細胞は、増殖に必要な栄養と酸素を得るため、周囲に血管を作り細胞へ引き入れる。この新生血管の内皮細胞はチューブリンというタンパク質の繊維でできており、繊維を壊せば、がん細胞を死滅させることができる。
林助教授らは、土壌中の微生物が作る天然化合物フェニラヒスチンの一部構造を変えた化合物を開発。投与するとチューブリンの繊維を断片化して新生血管が破壊され、がん細胞が死滅することをマウスなどの実験で確かめた。
チューブリンは細胞分裂にも不可欠で、その機能を阻害することで、がん細胞の増殖を抑える抗がん剤はすでに臨床で用いられている。林助教授らが開発した化合物は新生血管を壊す効果がより高いという。
臨床試験は米国の医療機関で実施する。乳がんや大腸がんなどの患者の登録を始めており、抗がん剤としての効果と安全性を確かめる。林助教授は「ほかの抗がん剤との併用で、より高い治療効果を期待できるのではないか」と話している。
[2006年07月29日/京都新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060729-00000018-kyt-l26