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「プリオン病」治療に道、抑制物質を発見=岐阜大学

2007年07月03日 | 蛋白質
 脳神経が破壊されるウシのBSE(牛海綿状脳症)や人間が感染するクロイツフェルト・ヤコブ病などの「プリオン病」の進行を抑制する物質を、岐阜大学人獣感染防御研究センターの桑田一夫教授らの研究グループが突き止めた。

 動物実験で、この物質が脳内に蓄積する異常プリオンを激減させることを確認、治療法につながる成果として注目されそう。研究成果は、米国科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。

 プリオン病は、脳内にもともと存在する正常プリオンが変化して、異常プリオンとなり、これが蓄積して発症する。

 プリオンは、約230~253個のアミノ酸で構成されるが、桑田教授らは、異常プリオンでは、159番目のアミノ酸(アスパラギン)と196番目のアミノ酸(グルタミン酸)との間の距離が、正常プリオンの約3倍に広がっていることに着目した。

 コンピューター上で、32万種類の化合物の中から、距離の広がりを食い止める可能性を持つ44種類の化合物を抽出。その中から、アスパラギンとグルタミン酸との距離が広がらないよう、つなぎ止める働きのある鎖状の化合物「GN8」を作り出した。

 実験では、異常プリオンを持続的に発現するマウスの培養神経細胞に、この「GN8」を投与したところ、異常プリオンを半分に減らすことができた。また、プリオン病を発症させたマウスに、GN8を投与したところ、食塩水だけを投与した場合と比べて、生存期間が長くなった。

 研究グループは、異常プリオンをより効果的に減らすことができるようにGN8を改良し、治験などを行いたいとしている。

 GN8 岐阜大の頭文字「G」と共同研究者である長崎大の頭文字「N」をとってつけた化合物の名称で、自然界には存在しない物質。炭素、窒素、水素、酸素からなる有機化合物で、岐阜大学が独自の論理的創薬方法で作り上げた。

[読売新聞 / 2007年07月03日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070703i503.htm

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