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DNA修復 助ける酵素を特定 がん治療応用期待=京都大学

2007年03月10日 | 遺伝子
 放射線などで切断、欠損したDNAの初期段階の修復に重要な役割を果たす酵素を、京都大医学研究科の武田俊一教授、園田英一朗助教授らのグループが確認した。がん治療の効率化につながる知見という。米科学誌「モレキュラーセル」で10日、発表した。

 ■初期段階で働き

 武田教授らは、酵母のDNA複製時に補助的に働く酵素「UBC13」の機能を、ニワトリのリンパ球を用いて調べた。

 UBC13がない細胞は、切断されたDNAの修復に2倍以上の時間がかかり、放射線照射で死滅する確率が高かった。修復するためのタンパク質が切断部に集まらなくなっており、修復の初期の段階で働いていることが分かった。人の細胞でもDNAの修復能力が低下することを確かめた。

 染色体は、DNAがタンパク質(ヒストン)に巻き付く構造になっている。UBC13は、修復作業を始めるために、ヒストンからDNAをほどく役割をしている可能性があるという。

 UBC13の働きを抑えることができれば、DNAの修復が遅くなり、細胞は死にやすくなる。がん細胞でUBC13の働きを抑えれば、抗がん剤や放射線治療の効率が上がるという。

 武田教授は「DNAの修復はいくつもの段階を経て行われるが、UBC13は、これまで知られていなかった初期の段階で働く酵素。品種改良や遺伝子治療の効率を上げることにも応用できる可能性がある」と話している。

[京都新聞 / 2007年03月10日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007031000024&genre=G1&area=K10



【遺伝子修復「要」のたんぱく質確認 京都大教授ら】

 遺伝情報を担うDNAは、放射線や活性酸素などでちょん切られたり傷ついたりし、病気を引き起こす。京都大大学院医学研究科の武田俊一教授(放射線遺伝学)らは、壊れたDNAを細胞が自力で直す仕組みの解明を進め、修復システムの引き金となる新たなたんぱく質を確認した。病気の予防治療にも役立ちそうだ。米科学誌「モレキュラーセル」9日号に発表した。

 DNAの損傷は一つの細胞で1日あたり5万~50万回に達するが、細胞は1分以内に損傷場所を探し、修復する。「ATM」というたんぱく質が損傷を感知し、修復システムの引き金を引いていることは分かっている。

 武田教授らは酵母に耐性をつけることで知られる「UBC13」という別のたんぱく質に着目。ニワトリのリンパ球細胞でUBC13を作る遺伝子の働きを止め、放射線を当てたときの細胞の反応を調べた。すると、正常の細胞に比べて生存率が10分の1前後になり、DNAを直す時間も2倍程度かかった。UBC13の方が、修復システムの要になっているとみている。

 武田教授は「がんの放射線治療で、患部でのUBC13の働きをじゃましてやれば、がん細胞をもっとよく殺せる可能性もある」と話している。

[朝日新聞/ 2007年03月10日]
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200703100059.html

京都大学 医学研究科 放射線遺伝学教室
http://rg4.rg.med.kyoto-u.ac.jp/


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2 コメント

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園田先生どうして? (mina)
2009-03-21 20:50:36
園田先生こんなにすごい研究者なのに、2008年から熊本の「普通の町医者」になった。どうして?まだ若いし将来有望だし、教授にだってなれるはずなのに?
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え? (モテット)
2009-07-28 00:07:17
え?園田先生熊本に帰ってしまわれたのですか?  昔、熊本の公立病院に勤務されてた頃を存じ上げてて、奈良在住の私は京都にいらっしゃると知ってちょっと嬉しかったのですが…。   知るのが遅すぎました…
まだバリバリと研究されるのかと思ってました
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