感染症を引き起こすウイルスのヒトの細胞内への侵入を察知し、自然免疫を活性化させる分子の特定に、北大遺伝子病制御研究所の高岡晃教(あきのり)教授(39)=分子免疫学・腫瘍(しゅよう)学=と東大大学院医学系研究科の谷口維紹(ただつぐ)教授(59)=免疫学=の共同研究班が成功した。高岡教授によると、この分子の特定は世界で初めて。ウイルス感染の初期段階の解明につながり、感染症などの治療分野への貢献が期待される。八日付(現地)の英科学誌「ネイチャー」(電子版)で発表する。
高岡教授らは、自然免疫の活性化に重要な役割を果たしているインターフェロンによって発現が誘導される分子があることに着目。そのうち、細胞の中にあり、ウイルスの核酸(DNA)と結合するものの特定に成功、DNAを感知するこの受容体(分子)を「DAI(ダイ)分子」と名づけた。研究では、蛍光共鳴エネルギー移動法と呼ばれ、蛍光物質を付けた特定のもの同士が接近した場合に波長が変化する手法などを用いた。
従来の研究では、細胞外でDNAを認識する受容体は特定されていたが、細胞内でDNAを認識する受容体は分かっていなかった。
DAI分子の発現を増強させ、インターフェロンとの相互作用で生体の免疫系を活性化させることによって、ウイルスや細菌などの病原体を効果的に排除し感染を防ぐ方法の確立が期待される。
また、DAI分子は細胞内に侵入した病原体のDNAだけではなく、自己の細胞のDNAも認識することが分かったため、自己のDNAが過剰に作用していると考えられる自己免疫疾患の病態を明らかにすることにもつながるという。
高岡教授は「感染症や難病の患者の治療に役立てるため、この結果を臨床応用していきたい」と話している。
[北海道新聞 / 2007年07月09日]
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/36879.html?_nva=6
(写真:細胞内に侵入したウイルスのDNAを感知する分子を特定した高岡教授)
高岡教授らは、自然免疫の活性化に重要な役割を果たしているインターフェロンによって発現が誘導される分子があることに着目。そのうち、細胞の中にあり、ウイルスの核酸(DNA)と結合するものの特定に成功、DNAを感知するこの受容体(分子)を「DAI(ダイ)分子」と名づけた。研究では、蛍光共鳴エネルギー移動法と呼ばれ、蛍光物質を付けた特定のもの同士が接近した場合に波長が変化する手法などを用いた。
従来の研究では、細胞外でDNAを認識する受容体は特定されていたが、細胞内でDNAを認識する受容体は分かっていなかった。
DAI分子の発現を増強させ、インターフェロンとの相互作用で生体の免疫系を活性化させることによって、ウイルスや細菌などの病原体を効果的に排除し感染を防ぐ方法の確立が期待される。
また、DAI分子は細胞内に侵入した病原体のDNAだけではなく、自己の細胞のDNAも認識することが分かったため、自己のDNAが過剰に作用していると考えられる自己免疫疾患の病態を明らかにすることにもつながるという。
高岡教授は「感染症や難病の患者の治療に役立てるため、この結果を臨床応用していきたい」と話している。
[北海道新聞 / 2007年07月09日]
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/36879.html?_nva=6
(写真:細胞内に侵入したウイルスのDNAを感知する分子を特定した高岡教授)