がんの組織を体内から採取しなくても、どの抗がん剤が効くかを確認したり、転移場所を推定できる画像診断技術を、小林久隆・米国立衛生研究所主任研究員らの研究チームが開発した。特定のがんと結びつく性質のある抗体に蛍光物質を載せて注射し、近赤外線をあてて光らせる方法。一度の画像診断で、複数のがんについて同時に適切な抗がん剤を選ぶことを可能にする技術で、9月の米国分子イメージング学会で発表する。
研究チームは、肺がん、乳がん、大腸がん、甲状腺がんの4種類のがんを対象に実験した。各がんごとに、抗がん剤が効くタイプなら結合する抗体を用意し、蛍光物質を載せた注射剤を作成。タイプごとに蛍光物質の種類を変えた。同時に4種類のがんを発症させたマウスに静脈注射し、近赤外線をあてると、それぞれのがんの場所を異なる色で光らせることができた。
また、直径約9ナノメートル(ナノは10億分の1)の人工の分子に、蛍光物質を載せた分子を作成。マウスに注射すると、この分子はリンパ液に乗って流れ、近赤外線をあてると光るため、どこのリンパ節に到達したかが分かった。この分子をがんのそばに注射すれば、転移のルートや転移先の推定が可能になる。
小林研究員は「痛い思いをしなくても、複数のがんを1回で確認でき、患者の負担が軽くなるはずだ。5年程度で実用化できるとみられ、PET(陽電子放射断層撮影)など従来の画像診断より、個々の患者に適した治療を選択する診断が可能になるだろう」と話している。【永山悦子】
[毎日新聞 / 2007年07月14日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070714k0000e040066000c.html
(記事中に米国立衛生研究所とありますが、小林さんは米国立がん研究所の所属のようです。訂正させていただきます。)
米国立がん研究所(NCI)分子イメージング・プログラム
小林久隆さんのページ;
http://ccr.cancer.gov/staff/staff.asp?profileid=9879
研究チームは、肺がん、乳がん、大腸がん、甲状腺がんの4種類のがんを対象に実験した。各がんごとに、抗がん剤が効くタイプなら結合する抗体を用意し、蛍光物質を載せた注射剤を作成。タイプごとに蛍光物質の種類を変えた。同時に4種類のがんを発症させたマウスに静脈注射し、近赤外線をあてると、それぞれのがんの場所を異なる色で光らせることができた。
また、直径約9ナノメートル(ナノは10億分の1)の人工の分子に、蛍光物質を載せた分子を作成。マウスに注射すると、この分子はリンパ液に乗って流れ、近赤外線をあてると光るため、どこのリンパ節に到達したかが分かった。この分子をがんのそばに注射すれば、転移のルートや転移先の推定が可能になる。
小林研究員は「痛い思いをしなくても、複数のがんを1回で確認でき、患者の負担が軽くなるはずだ。5年程度で実用化できるとみられ、PET(陽電子放射断層撮影)など従来の画像診断より、個々の患者に適した治療を選択する診断が可能になるだろう」と話している。【永山悦子】
[毎日新聞 / 2007年07月14日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070714k0000e040066000c.html
(記事中に米国立衛生研究所とありますが、小林さんは米国立がん研究所の所属のようです。訂正させていただきます。)
米国立がん研究所(NCI)分子イメージング・プログラム
小林久隆さんのページ;
http://ccr.cancer.gov/staff/staff.asp?profileid=9879