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イオン放出支援のタンパク質発見、心疾患究明へ道=京都大学

2007年07月05日 | 遺伝子組替マウス
イオン放出支援のタンパク質発見
京大教授ら、心疾患究明へ道
 筋肉の収縮などに必要なカルシウムイオンを、細胞内の小胞体から円滑に放出するために働く膜タンパク質を、京都大薬学研究科の竹島浩教授(生化学)らのグループが見つけ、英科学誌「ネイチャー」で5日発表した。心筋症や不整脈などの原因究明につながる発見という。

 小胞体は、細胞内の小器官の一つで、合成されたタンパク質の折り畳みや切断を行うほか、カルシウムイオンを貯蔵するなどさまざまな機能を持っている。カルシウムイオンが放出されると、筋細胞が収縮したり、神経細胞からホルモンの分泌などが行われる。

 しかし、小胞体からプラスの電気を持つカルシウムイオンが放出されると、内部がマイナスの状態になり、電気的なバランスが崩れてカルシウムイオンが放出されにくくなる。円滑に放出するには別のプラスイオンを取り入れてバランスを保つ必要があるが、仕組みが分かっていなかった。

 竹島教授らはウサギの筋肉から、小胞体の表面に穴を形成する膜タンパク質を見つけ、TRICチャンネルと名付けた。TRICチャンネルは一辺5ナノメートル(1ナノは十億分の一)で、中心の穴から細胞内のカリウムイオン(プラス)を主に取り入れていることを実験で確かめた。

 竹島教授は「マウスで実験したところ、TRICチャンネルのないマウスは、小胞体からカルシウムイオンが放出できず筋肉の収縮がうまくいかないため、胎児の段階で重度の心不全で死亡することが分かった。今後は、疾患との関係を詳しく調べたい」と話している。

[京都新聞 / 2007年07月05日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007070500052&genre=G1&area=K00