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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

「プラセボ効果」のメカニズムが明らかに=ミシガン大学(米国)

2007年07月26日 | 心のしくみ
 「プラセボ(偽薬)効果」を引き起こす脳の領域が米ミシガン大学(ミシガン州アナーバー)のDavid J. Scott,氏らの研究によって明らかにされ、医学誌「Neuron」7月19日号で報告された。プラセボ効果とは、患者自身効果があると思い込むことにより、偽薬を投与しても実際に効果が認められる現象。
 研究グループは、報酬予測に役割を果たすことが知られている脳領域である側座核(NAC)に着目。被験者には、試験のため新しい鎮痛薬またはプラセボのいずれかを投与すると伝え、全員にプラセボ(生理食塩水)を注射した。被験者はこの「薬」の鎮痛効果に対する自身の期待度を評価し、その後、「あごの筋肉に生理食塩水を注射する」という中程度の痛み課題を与えられ、「薬」の有無による痛みの緩和のレベルについても評価した。

 第一の実験では、PET(ポジトロンCT)を用いてNACからのドパミン(脳の報酬反応を誘発する物質)の分泌量を測定。その結果、薬剤の鎮痛効果に対する期待が大きいほどドパミン分泌も多いことが判明。さらに、「薬」による痛みの緩和を高く評価した人ほど、プラセボ投与時のNACの活性が大きかった。

 第二の実験では、機能的磁気共鳴画像(fMRI)による脳スキャンの間に、被験者にさまざまな額の金銭的報酬を期待させた。このときのNAC活性が大きかった人ほど、プラセボ薬の有効性についても高い期待を示していたことがわかった。

 この知見は、プラセボ効果が生じるにはNAC系が活性化される必要があることを裏付けるものだと著者らは述べている。将来、さまざまな疾患の治療法開発にこの情報が役立つとも考えられるという。

原文:
Scientists Unlock Secrets of the 'Placebo Effect'
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=606504
[2007年7月19日/HealthDayNews]

[NIKKEI NET いきいき健康 / 2007年07月26日]
http://health.nikkei.co.jp/hsn/hl.cfm?i=20070726hk000hk

肥満は伝染する?=ハーバード大学、カリフォルニア大学(米国)

2007年07月26日 | 生活習慣病
【ワシントン25日AFP=時事】肥満は社会的に伝染する現象であるとの研究結果が、25日発売の「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メデシン」に発表された。米ハーバード、カリフォルニア両大学の研究者が発表した。(写真は、サンドイッチ店の前に立つ肥えた女性)

 研究によると、肥満の友人を持つ人は、自身も肥満になる確率が57%増大する。研究は友人や親戚関係を中心として、1万2067人を対象に1971年から2003年までに行われ、この32年間の対象者の体重の推移をモニターした。
 研究者はその結果として、1人の人の肥満は身近な人の体重増加に影響を与えるとの結論に達した。研究者は、もりもり食べている人を見ることによって、見ている人の食べることをつかさどる脳の部分が刺激を受けるようだとしている。
 また研究は、さらに「伝染性」が強いケースがみられたと指摘している。同性の友人や兄弟、姉妹の場合で、異性の場合よりも体重の増加への影響が強かった。伴侶が肥満になった場合は、夫もしくは妻が肥満になる確率は37%増加したという。
 研究者はしかし、この結果は逆に言えば、1人の人が健康的な食事や運動で肥満を防げば、他の人の肥満を防ぐことにもなると指摘している。 〔AFP=時事〕

[時事ドットコム / 2007年07月26日]
http://www.jiji.com/jc/a?g=afp_sci&k=20070726013551a