ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

肝硬変 投薬で正常に ラットでの実験、線維化抑制に成功=札幌医科大学

2008年03月31日 | 創薬
 肝臓の細胞が線維化し治療が困難とされる肝硬変を、線維化を起こすタンパク質コラーゲンの生成を抑える薬を投与することで健康な状態に戻す実験に、札幌医大の新津洋司郎教授(臨床腫瘍(しゅよう)学)らのグループがラットで成功した。31日付の米科学誌ネイチャーバイオテクノロジー(電子版)に発表した。

 早ければ年内にも米国で治験(臨床試験)を始める予定。新津教授は「人に副作用が出ないかどうかの確認などが課題だが、5年以内に実用化したい」と話している。

 肝硬変は肝炎の慢性化などによりコラーゲンが過剰に分泌されて起きる。肝がんにも進行、日本では年に4万数千人が肝硬変と肝がんで死亡している。

 新津教授らは、遺伝情報を写し取るRNAの働きでタンパク質合成を抑制する「RNA干渉」という現象に着目し、コラーゲン生成を促す遺伝子の働きを抑えるRNA断片を設計した。これをリポソームという人工膜で包み、肝臓の中でコラーゲンを作る細胞が取り込みやすいようビタミンAを結合、肝臓内のコラーゲン生成だけを抑制する薬を開発した。

 肝硬変のラットを使った実験では、薬を投与しなかった60匹が約40日で全滅したのに対し、薬を毎週注射した12匹は生き続け、約5週間で肝臓が正常な状態に回復、副作用もなかった。

 肝臓内ではコラーゲンを溶かす物質も分泌されているため、蓄積したコラーゲンは徐々に取り除かれ、正常な肝細胞が回復したという。


[西日本新聞朝刊 / 2008年03月31日]
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/science/20080331/20080331_001.shtml



【マウスの肝硬変治った、治療薬の実用化も=札幌医科大学】

 治療困難とされてきた肝硬変を完治させる治療法を、札幌医科大(札幌市)の新津洋司郎教授らの研究グループが開発した。

 米科学誌「ネイチャー・バイオテクノロジー」4月号に掲載される。まだマウスでの実証段階だが、今後、人間への有効性も確認し、治療薬の実用化を目指す。

 肝硬変は、ウイルス感染などにより肝臓で増殖した「星形細胞」が多量のコラーゲンを分泌し、肝臓が硬化する病気。肝硬変や、それが進んだ肝がんで亡くなる人は、全国で年間約4万人にのぼる。

 新津教授らのグループは、星形細胞がコラーゲンを作るのに必要なたんぱく質「HSP47」に注目し、その働きを抑える物質「SiRNA」で薬を開発。この薬を、通常なら4~5週間で死ぬ肝硬変のマウスに投与したところ、増殖していた星形細胞も消え、肝硬変が完治したことが確認された。

[読売新聞 / 2008年03月31日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080331-OYT1T00235.htm


ラットも「ルール学習」、ヒトやサルと同様に=ロンドン大学、オックスフォード大学

2008年03月30日 | 心のしくみ
 ヒトの幼児や霊長類、鳥類で知られている、経験した規則を記憶する「ルール学習」を、ラットでも確認したと、英国の研究者が27日発行の米科学誌『サイエンス(Science)』で発表した。ラットにも抽象的な概念を理解できる能力があることを示す成果だという。

 英国のロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(University College London、UCL)とオックスフォード大学(Oxford University)の研究者は、ラットを用いて視覚と聴覚における法則を、エサを使って学習させた。

 まず、視覚による法則性の学習状況を確認するため、ラットを3つのグループに分け、明るい状況(条件A)と暗い状況(条件B)を組み合わせて、それぞれABAとAAB、BAAという明度パターン時にエサを与えた。いずれのグループも、別のグループの条件下に置く場合は、エサを与えなかった。数日後、ラットはエサをもらえる条件を区別できるようになり、エサが出てくる条件の場合は、より素早くエサを探すようになった。

 次に、聴覚の場合を見るため、高音と低音を明度の実験と同様に組み合わせてラットに聞かせ、エサを与えて音のパターンを学習させた。その結果、音の周波数を変えた場合でも、エサが出てきた高音と低音の組み合わせパターンの際に、エサを確認するようになった。このことから、ラットは聞いていた音のパターンを認識して聞き分け、エサが出てくる組み合わせを学習したと考えられるという。

 最後に、再び視覚の実験を実施。食べ物を与えなかったにもかかわらず、以前に学習したエサが出てきた明度のパターンで、エサを探し始めたという。

 研究を発表したロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのロビン・マーフィ(Robin Murphy)准教授は、「エサが出てきた過去の条件を基に、食べ物を期待する行動を見せた。抽象化された複雑な行動を取ることができるといえる」と話している。(c)AFP


[AFP BB News(シカゴ発) / 2008年03月29日]
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2371295/2786316



ラットでさえもルールが守れるのならば、ニンゲンなら尚更。見習ってもらわなければ^^。みんなでルールを守って暮らしやすい社会を。
今までの心理学的な実験、行動学習の実験ではこういう抽象的な条件付けが出来なかった(のか、ただされていなかっただけなのか不明ですが)というのは意外に思われました。

ネズミにも“道具”の概念=理化学研究所

2008年03月26日 | 心のしくみ
 高度な脳機能をもつ人間やサルなどだけでなく、ネズミにも道具を使う能力があることを、理化学研究所の研究グループが突き止めた。

 げっ歯類が道具を使うことが確認されたのは初めて。脳の発達や進化を解明する手がかりになるという。26日付の米科学誌「PLoS ONE」に掲載された。

 この道具を使うネズミは、モルモットの仲間で南米チリ原産の「デグー」。もともと後ろ足で直立して前足を器用に使う特徴がある。

 理研脳科学総合研究センターの入来篤史チームリーダーらは、生後半年~1年のデグー6匹を使い、手の届かない場所に好物のヒマワリの種を置き、さらに小さなくま手も与えて行動を観察した。その結果、くま手を引き寄せただけで種を取れる場合は、1日もすると上手に引き寄せるようになった。

 くま手の向きを変えたりする工夫が必要なときでも、2か月以内に6匹すべてが種を取れるまでに習熟。おなじ複雑な動作でもサーカスで芸を教え込むようなケースとは異なり、くま手を自ら道具と認識して目的達成に役立てていることが確認された。

[読売新聞 / 2008年03月26日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080326-OYT1T00420.htm

理化学研究所 プレスリリース
ネズミの一種“デグー”を訓練して道具機能を理解させることに成功
- 脳の高次認知機能を研究するための新たな実験モデルを確立 -
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2008/080326/index.html
リリース本文
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2008/080326/detail.html



…インターネットするネズミもここにいますよ、なんてね^^
理研の脳科学総合研究センターの新しいセンター長に利根川進さんも来られるそうですし(1987年ノーベル生理学・医学賞受賞。現在、マサチューセッツ工科大学教授)。まだまだ脳科学の分野って面白いことがいっぱい解き明かされてくるような気がしますね。楽しみです。
ところでどうして実験対象がテグーなのでしょう?ハムスターも同じ位食いしん坊だけど餌をゲットするためならきっと同じようなトレーニングも出来るような気がしたのですが(ラットなら体も脳も大きいからもっと楽勝だよ?とか思ったり)。

細胞の繊毛ができる仕組み解明=大阪バイオサイエンス研究所

2008年03月26日 | 蛋白質
 細胞の表面に生えている繊毛が形作られる仕組みを、大阪バイオサイエンス研究所と米ハーバード大の研究グループが明らかにした。繊毛ができないために、目の網膜色素変性症がおきたり、腎臓に多発性の嚢胞(のうほう)ができたりすることが知られており、病気の解明につながる可能性がある。英科学誌ネイチャー・セル・バイオロジー(電子版)に掲載した。

 繊毛は細胞1個に1~数十本あり、長さは0.001~0.01ミリ。目の細胞は光、鼻の細胞はにおいを感じるなど、アンテナの役目をしている。

 大阪バイオサイエンス研究所の大森義裕研究員(発生生物学)らは、繊毛に異常のある熱帯魚ゼブラフィッシュを使い、繊毛の形成に必要な遺伝子を特定した。その遺伝子からできるたんぱく質を「エリプサ」と名付け、酵母菌で役割を調べた。細胞内でつくられた繊毛の材料のたんぱく質は、別のたんぱく質と結びつき、細胞内を移動。繊毛の根元でエリプサと結びつき、繊毛の先端部に運ばれることがわかった。

 エリプサに相当するたんぱく質は人にもあり、大森研究員は「人にも同様の繊毛形成の仕組みがあると考えられる」と話している。

[朝日新聞 / 2008年03月26日]
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200803260070.html


納豆食べれば若返る? 動物実験で実証=自治医科大学

2008年03月26日 | 食品・栄養
 納豆製造会社251社で組織する全国納豆協同組合連合会は26日、自治医科大学循環器病臨床研究所の早田邦雄・准教授がマウスによる実験で納豆に多く含まれる物質の「ポリアミン」にアンチエイジング(抗老化)機能があることを実証したと発表した。

 ポリアミンはすべての生物の細胞内でアミノ酸から合成される物質で細胞分裂やタンパク合成などの活動に関与している。大豆やシイタケなどのほか、納豆、チーズといった発酵食品に多く含まれている。早田准教授は平成16年にポリアミンが動脈硬化を防ぐことを発見したが、動物実験でアンチエイジング機能もあることをつきとめた。

 高濃度ポリアミンを配合した餌を与えたマウスは、血中のポリアミン濃度が上昇、毛並みはきれいで若々しく、死亡率が低かった。人間もポリアミンを多く含む納豆などを継続して食べると血中のポリアミン濃度が上昇する。早田准教授は、「同じほ乳類の人間に対してもアンチエイジング効果が期待できる」と話している。

 早田准教授は、健康なマウスを飼育条件を同じにして、高濃度のポリアミンを含む餌、市販の餌、ポリアミン濃度の低い餌を与えたマウスを生後50週で比較して、ポリアミンにアンチエイジング機能があることを実証した。早田准教授は「マウスの毛並みは健康と老化の指標になる。マウスの生後50週は人間では中年期に当たる」と指摘した。

 市販の餌にはポリアミンを多く含む大豆かすと大豆油が配合されている。それぞれをミルクカゼインとラードに変えることでポリアミン濃度の低い餌にした。ポリアミン濃度の高い餌は合成したポリアミンを大豆、納豆に含まれる量の2倍を添加した。餌に含まれる他の成分や脂質量は同じにして比較した。

[msn産経ニュース / 2008年03月26日]
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080326/biz0803261941014-n1.htm

全国納豆協同組合連合会 ホームページ
http://www.710.or.jp/index.html



ん~なんか色々微妙すぎ。「マウスの毛並み」って(笑)
でも納豆をかけた暖かいご飯は大好きです。

痛み伝える仕組み解明=岡山大学

2008年03月25日 | 遺伝子組替マウス
 神経の情報伝達物質のうち、強い痛みなどにかかわっているヌクレオチドを他の神経細胞に伝える仕組みを岡山大学の研究グループが突き止めた。発作や痛みなどを和らげる薬品の開発につながる可能性があり、製薬会社との共同研究にも乗り出す。今週の米科学アカデミー紀要電子版に掲載される。

 神経細胞は、神経伝達物質をいったん小胞とよばれる微細な袋に取り込み、これを放出することで他の細胞に情報をわたしている。

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の森山芳則教授(生化学)と大学院生の澤田啓介さん(29)らのグループは、てんかん発作や高血圧などの血管収縮、強い痛みなどにかかわる神経伝達物質ヌクレオチドを取り込むたんぱく質を見つけた。

 このたんぱく質を人工的につくり、ヌクレオチドの一種であるアデノシン三リン酸(ATP)が取り込まれることを確認した。このたんぱく質を働かなくしたねずみの細胞では、ATPをため込んだり放出したりできなくなり、激しい痛みの情報が伝わらなくなっている可能性があるという。

 森山教授は「たんぱく質の働きを抑える薬ができたら、抗てんかん剤の効きにくい人の発作を抑えたり、我慢できないような激しい痛みを和らげたりできるのではないか」と話している。

[朝日新聞 / 2008年03月25日]
http://www.asahi.com/science/update/0325/OSK200803250008.html

オーロラ:青い地球に緑色の帯 シャトルから撮影

2008年03月24日 | 宇宙へ
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、国際宇宙ステーションにドッキングしている米スペースシャトルから撮影されたオーロラの写真を公開した。地球の極域上空に発生したオーロラをほぼ真横からとらえており、漆黒の宇宙を背景に、緑色の光の帯と青い地球が神秘的だ。 

 オーロラは北極や南極の上空の大気に、電子など高速の粒子が衝突して発光する現象。発光する原子や分子によって色が異なる。

 緑色の光は、高度100~200キロに分布する酸素原子が発している。地上からはカーテン状に見えるが、高度約400キロの軌道を回るスペースシャトルからほぼ真横に見る形で撮影したため、円弧状に写っている。【西川拓】

[毎日新聞 / 2008年03月24日]
http://www.mainichi.jp/select/science/news/20080324k0000e040014000c.html



神秘的。不思議な感動を覚えました。
いつか、極北の地で天空を舞うオーロラを観てみたいなあ。
宇宙、とはいってもほんとにこの惑星の皮一枚上空のところ、もうそこから大気、オゾンや地磁気、温度といった色んなメカニズムが私たちの命を守り育んでいるんですね。そして宇宙からみたこの地上には、国境も、所有者タグも、紛争の火種も無いはず。強権を振るう軍事大国と虐げられた民族との問題など、どうして解決できないのでしょう。私たち生命を持つ者すべてが幸せに暮らせるにはどうしたら良いのか、知恵の果てにこの答えに辿りつきたいと思います。


血管の老化を抑える物質判明。脳卒中予防に期待=大阪大学

2008年03月24日 | 循環器
 肝細胞増殖因子(HGF)という体内物質が血管の老化を抑えることを、大阪大の真田文博研究生や森下竜一教授(臨床遺伝子治療学)らがマウス実験で明らかにした。糖尿病や高血圧になると血管が老化し、脳卒中や動脈瘤(りゅう)が起きやすくなる。HGFによって血管老化を抑えて病気を予防するという期待がかかりそうだ。28日に福岡市で始まる日本循環器学会で発表する。

 血管の形成や再生には、骨髄細胞から分化した細胞(EPC)の働きが関与するとみられる。ところが、糖尿病や高血圧になると血管が炎症などで傷ついても修復されにくい。この原因を高血圧について探ると、高血圧を招くホルモン(アンジオテンシン2)によってEPCが老化し、能力が衰えるとわかった。

 このホルモンの働きを、血管を新生する因子であるHGFによって抑制できないか、ヒトのEPCを移植したマウスで調べた。

 ホルモンだけを入れたマウスのEPCは、何も入れない場合の4分の1まで減った。一方、一緒にHGFを入れたマウスは減り具合が3分の2程度にとどまっていた。

 HGFを使うと、ホルモンで悪化した血流が改善することも分かった。

 HGFの遺伝子治療薬は、脚の血管が詰まる閉塞(へいそく)性動脈硬化症の治療薬として森下さんらが開発中。近く承認申請される見込みだ。

[朝日新聞 / 2008年03月24日]
http://www.asahi.com/science/update/0323/TKY200803230247.html

脊髄小脳変性症:マウスに遺伝子導入成功=群馬大学

2008年03月23日 | 医療技術
 原因不明の難病「脊髄(せきずい)小脳変性症」の治療に有効な遺伝子を、マウスの脳神経細胞に効率よく導入させることに群馬大などが成功した。安全性や効果を確認したうえで、遺伝子治療への応用を目指す。

 脊髄小脳変性症は、小脳が萎縮(いしゅく)して神経細胞が破壊される病気。歩行障害や言語障害を起こし、死に至る場合もある。根治療法はなく、リハビリで進行を抑えているのが現状だ。国内に約2万人とされる患者のうち4割が遺伝性という。

 群馬大大学院医学系研究科の平井宏和教授(神経生理学)らは、病原性を取り除いたウイルスを使って、目的の遺伝子を細胞内へ効果的に導入させる「レンチウイルスベクター」に着目。この方法を使って、細胞内の異常を修復する「CRAG」と呼ばれる酵素の遺伝子を、脊髄小脳変性症のマウスに導入した。その結果、神経細胞が回復し、運動障害が大幅に改善された。

 生物の神経細胞に直接、遺伝子を導入したのは初めてで、遺伝子治療に応用できれば、遺伝性の患者の8割に症状改善が期待できる。今後、サルを使った実験などで効果や安全性を確認する。14日の欧州分子生物学機構の専門誌「エンボ・リポーツ」オンライン速報版に掲載された。【伊澤拓也】

[毎日新聞 / 2008年03月23日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080323ddm016040127000c.html

ヘルペス感染の仕組み解明=免疫抑制の受容体を利用=大阪大学

2008年03月21日 | 免疫
 皮膚などにただれを起こし、角膜に感染すると場合によっては視力低下などの重い症状になる単純ヘルペスウイルス(HSV)が、感染する際に細胞の表面の免疫抑制にかかわる受容体(レセプター)を利用していることを大阪大免疫学フロンティア研究センターの荒瀬尚教授(免疫学)らの研究グループが突き止め、米科学誌セルに20日、発表した。
 HSVの国内の年間患者数は約8万人とされ、症状が治まってもウイルスが神経節に潜伏して再発を繰り返すなど、完治が難しい。荒瀬教授は「さらに解明が進めば、感染を防止する治療薬の開発が期待できる」と話している。

[時事ドットコム / 2008年03月21日]
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200803/2008032100032

血中コレステロールを調節できる遺伝子発見=群馬大学

2008年03月21日 | 生きもの色々
 群馬大生体調節研究所の原田彰宏教授(44)らの研究グループは20日、米国、台湾の大学との共同研究で、細胞がコレステロールを取り込む際に働く2つの遺伝子を発見したと発表した。研究成果は欧州学術専門誌「EMBO Journal」電子版に同日付で公開された。血中コレステロール量を調節する新薬開発などで活用できる可能性があるという。

 血中の悪玉コレステロール(LDL)が増えすぎると、高脂血症や動脈硬化など生活習慣病の原因になる。このため、研究グループは、体長約1ミリの線虫という生物(線形動物)の細胞を使って、人間の細胞がLDLを取り込む構造の解明を進めた。

 その結果、線虫と人間が共通して持っている遺伝子「RAB35」と「RME-4」を発見。細胞表面の「LDL受容体」というタンパク質がLDLをとらえ、細胞内に効率良くコレステロールを取り込み再利用することで、血中コレステロールを適切に保っていたことが分かった。

 原田教授らは「血中コレステロールを下げる展望ができた」と話しており、今後、血中コレステロールを調節する研究などに役立てていきたいとしている。

[産経新聞,IZAニュースβ版 / 2008年03月21日]
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/131529/



すごい。
センチュウと同じ遺伝子、同じたんぱく質が自分の体の中で活躍してるということを、頭では知っていたつもりなのに、こうして改めて知らされるとやっぱりびっくり。
栄養過多でコントロール出来ない都会人は病気に‥センチュウ他多くの生命から見たら、なんという贅沢な悩みなのでしょう。
暖かい季節になってきましたから、外に出て少し体を動かしてみましょう。

太陽系外惑星に有機物、生命探しに弾み=NASA

2008年03月21日 | 宇宙へ
 米航空宇宙局(NASA)など米英の研究チームが、地球の生命に不可欠な有機物のうち、最も簡単なメタンを太陽系外の惑星に初めて発見した。20日発行の英科学誌ネイチャーに論文を発表した。この惑星は表面温度が高く、生命が存在するとは考えにくいが、メタンを検出できたことは、太陽系外惑星での生命探しに弾みをつけることになる。

 NASAジェット推進研究所(JPL)のマーク・スウェイン博士らは、こぎつね座の方角にあり、地球から63光年(約600兆キロ)離れたHD189733bという惑星を、NASAのハッブル宇宙望遠鏡で観測。恒星が出す赤外線が、惑星の大気を通過して変化するパターンを調べたところ、メタンが存在することがわかった。

 この惑星は、表面温度は千度程度とみられる。メタンは、地球や火星、木星、土星、土星の衛星タイタンなどに存在する。火星やタイタンのメタンは、生命現象と関連するとの見方もある。

[朝日新聞 / 2008年03月21日]
http://www.asahi.com/science/update/0320/TKY200803200233.html


確証は無いのですが、生命はきっともうずっと前から宇宙全体のいたる所に広がっていてもおかしくないとごく当然に思っています。まだ解明されていない宇宙と生命の関わりについて、少しずつ分かってくるのが楽しみです。今夜は星空を仰いで、大きな月の向こう、星空の彼方にある有機化合物たちの営みに、思いを馳せてみたいと思います。

動物の愛目覚める「春告げホルモン」を発見=名古屋大学

2008年03月21日 | 生きもの色々
 春になると繁殖行動をとる動物たちは、どのように季節の変化を察知するのか? ウズラを調べた名古屋大大学院生命農学研究科の吉村崇・准教授らの研究グループが、日が伸びると甲状腺刺激ホルモン「TSH」の分泌が増え、脳に「春が来た」と伝えることを突き止めた。20日発行の英科学誌ネイチャーで発表した。

 TSHは体温の調節など代謝をコントロールする働きが知られ、脳で果たす役割は解明されていなかった。植物に花を咲かせるホルモンは昨春、別の研究グループによって特定されたが、動物に春を教えるホルモンが見つかったのは初めて。

 鳥類は、繁殖期以外は精巣や卵巣など生殖器をできるだけ小さくして、飛びやすい体を保っている。ウズラのオスは吉村准教授らのこれまでの研究で、春になるとDIO2という遺伝子が活発化して精巣が大きくなることが知られていた。

 そこで、冬を想定して6時間の日照の下で育てたウズラのオスを20時間の日照に延ばし、DIO2よりも早く活発化する遺伝子を探した結果、TSHを作る遺伝子が該当した。脳の「視床下部」にTSHの受容体として働く特別なたんぱく質があることも確認され、人工的に脳にTSHを注射すると、精巣が大きくなることが確かめられた。

 吉村准教授は「次はTSHを作る遺伝子のスイッチを入れる仕組みを解明することが課題。この成果を応用すれば繁殖期を長くするなど、家畜の生産性を上げることも期待できる」と話している。

[朝日新聞 / 2008年03月21日]
http://www.asahi.com/science/update/0319/NGY200803190010.html


初ヒバリ、シジュウカラ、ウグイス‥。巣作り&求愛の歌が野に山に聴こえる季節になりました。季節周期というテーマは、日周期の研究よりも時間もかかり成果も出にくいと思います。まだ知られていないことも多いのではないでしょうか。家畜の生産性なども大切ですが、人の心の状態(季節うつとか)についても何か解明されたら良いなあと思います。

太陽系外惑星で有機物を初確認=生命の存在可能性高まる=カリフォルニア大学、ロンドン大学

2008年03月20日 | 宇宙へ
 地球からこぎつね座の方向に63光年離れた惑星の大気にメタンと水の分子が含まれていることを、ハッブル宇宙望遠鏡による観測で確認したと、米カリフォルニア工科大と英ロンドン大の研究チームが20日付の英科学誌ネイチャーに発表した。太陽系以外の惑星で、生命の誕生につながる有機化合物の存在が確認されたのは初めて。
 この惑星「HD189733b」は、木星のようなガス惑星で、太陽に相当する恒星のごく近くを周回しているため、大気の温度は900度程度の高温とみられる。このため、この惑星に生命が存在するとは考えられないが、地球以外にも生命が存在するかもしれない可能性が高まった。

[時事ドットコム / 2008年03月20日]
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008032000073

SF作家アーサー・C・クラークが死去

2008年03月19日 | 宇宙へ
【ロンドン19日共同】「2001年宇宙の旅」などで世界的に知られる英国出身のSF作家
アーサー・C・クラーク氏が19日、心臓発作のため移住先のスリランカで死去した。
90歳。秘書が明らかにした。ロイター通信などが伝えた。

1917年、英南西部マインヘッドの農家に生まれた。若いころから宇宙科学に興味を持ち、
第2次大戦では英空軍でレーダー実験に携わった。

45年、通信衛星を静止軌道で使う理論を発表。同理論はその後実現し、静止軌道は今も
クラーク軌道と呼ばれる。このころ、2000年までに人類が月に到達することも“予言”した。

戦後、ロンドン大キングズ・カレッジで物理学と数学を学び、1946年、小説「太陽系最後の日」でデビュー。
小説に加え、スタンリー・キューブリック監督と共同で脚本を書いた映画が大ヒットした
「2001年宇宙の旅」(68年)や「幼年期の終わり」(53年)など、宇宙や未来をテーマとした
約100点の作品を発表した。ほかに短編や科学評論も多い。

[中日新聞 / 2008年03月19日]
http://www.chunichi.co.jp/s/article/images/2008031999115223.jpg


 「2001年宇宙の旅」で知られるSF作家のアーサー・C・クラークが90歳で死去した。
3月19日未明、呼吸不全によりスリランカの病院で亡くなったと各紙が報じている。

 クラークは1917年に英国で生まれ、1946年に作家としてデビュー。
「幼年期の終わり」「2001年宇宙の旅」などの作品で知られ、
ロバート・A・ハインライン、アイザック・アシモフと並ぶ3大SF作家の1人とされる。
1998年にはエリザベス女王からナイトの称号を授与された。

[IT media news / 2008年03月19日]
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/19/news025.html


小学校~中学校の頃、たくさんの、たくさんのSFを読み漁りました。日が暮れてドボルザークの「新世界」が校庭に流れるまで、図書館で時を忘れて宇宙や未来のファンタジーにのめり込んでいました。あの頃に受けた衝撃、与えられた夢と想像力、胸躍らせた感じが今もまだ私の中にも息づいていて、こうして、私のモティベーションの一部になっています。それは、きっと私だけではなくて、多くの若者が、科学の道を志した源泉にもなっているのだと堅く信じています。
‥ご冥福をお祈りいたします。