ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

東大・阪大など、卵巣抗がん剤の第2相臨床試験開始へ

2013年06月12日 | 創薬
 東京大学や大阪大学などのグループは11日、卵巣がんに対する新たな抗がん剤「BK―UM」の第2相臨床試験(治験)を始めると発表した。BK―UMはジフテリア菌由来のたんぱく質を主成分として、卵巣がん増殖因子「HB―EGF」を阻害する作用を持つ。従来と異なる作用機序の抗がん剤として阪大微生物病研究所の目加田英輔所長らが開発。2011年に終了した第1相試験では安全性が確認できており、今後、有効性と安全性をさらに検証する。
 北海道、東北、東京、大阪、福岡の5大学が共同で、製薬企業の支援を受けない「医師主導治験」として実施する。期間は3年間を予定している。再発・難治性の卵巣がん患者64人を対象に、BK―UMを投与するグループと、投与しないグループに分けて検証する計画。

[日刊工業新聞 2013年06月12日]
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx1020130612eaae.html

田辺三菱製薬=業務停止25日…子会社が製剤データ改ざん

2010年04月14日 | 創薬
 田辺三菱製薬(大阪市)の子会社バイファ(北海道千歳市)が昨年、試験データなどを改ざんした血液製剤を自主回収した問題で、厚生労働省は13日、薬事法に基づき、田辺三菱に第1種医薬品(処方せん薬)の製造販売業務を17日から25日間停止する命令を出した。バイファには14日から30日間の業務停止を命じ、両社に業務改善命令も出した。

 大手製薬会社が承認手続きの不正で業務停止処分を受けるのは異例。ただし販売済みの医薬品の安全管理業務や、代替性がなく安定供給に支障が出る恐れがあるリウマチ治療の点滴薬などは対象外。厚労省は「バイファでは品質試験や製造工程で不適切な行為が組織ぐるみで行われていた。田辺三菱も不適切な行為を漫然と見逃した」と理由を説明した。

 問題となったのは、両社が共同開発した世界初の遺伝子組み換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注」。血液が原料の従来品に比べ、感染リスクを排除できるメリットがあり、大量出血のショック時などに使われる。厚労省によると、バイファはラットで行ったアレルギー反応実験で一部陽性反応が出たデータを陰性に差し替えるなど両社で計16項目の試験データや生産管理システムの記録改ざんなどの違反行為を行った。田辺三菱は07年10月に国の承認を受けて販売し、約1700人が使ったが健康被害は確認されていない。

 田辺三菱は旧ミドリ十字などが合併を繰り返して現在に至り、バイファ96年に旧ミドリ十字が設立。今月公表された両社の社外調査委員会(委員長・郷原信郎弁護士)の報告書は、旧ミドリ十字が薬害エイズ事件で多額の損害賠償請求を受け厳しい経営状況にあったことが不正の背景にあると指摘した。[佐々木洋]


◇「規制順守を徹底」…田辺三菱製薬の社長

 田辺三菱製薬の土屋裕弘(みちひろ)社長は13日夜、藤井武彦バイファ社長とともに会見し「生命にかかわる製薬会社としてあってはならないことで深くおわび申し上げる。グループ各社の規制順守の徹底を図り再発防止に努める」と陳謝した。[松本惇]

[毎日新聞 2010年04月14日]
http://mainichi.jp/select/biz/news/20100414k0000m040060000c.html



悲しい気持ちでいっぱいです。
クスリはヒトの体に入ってその人の命に関わるものです。医薬開発に携わる者の常識があれば、こんな不正行為が出来るはずありません。データの隠蔽、改ざん、ねつ造、サンプル差し替え、しかも31件もあったそうで、組織的にとか、どうしてあり得ましょうか!?生命の重さをご存じですか!?自分の会社を潰す気ですか!?
以前この会社に合併した「ミドリ十字」は薬害エイズを始め、良くない噂の多かった会社でした。それにしても、あまりに杜撰、あまりに悪質、ホントに信じられません。

これから、田辺三菱はお金では購えない、失ってしまった信頼を取り戻すために、大変な苦労をすることでしょう。それでも、患者さんの安心のためにあらゆる証明をしていかなければなりません。
中の人、どうか堪えて頑張ってください。それから今回は薬害が起きなかったことに安堵します。

(ああ、こんな残念なニュースでエントリー追加とは‥。
でも実験に供されたラットだって浮かばれませんよね、データ改ざんされたなんて、最低です。

私事で、家庭の事情でこのブログも更新の必要がなくなっていました。
ウチのラットたちも元気です。)

ウミケムシの毒物質合成に成功 新しい抗炎症剤開発へ=慶応大学、名古屋大学

2009年03月31日 | 創薬
 素手で触ると炎症を引き起こす生物「ウミケムシ」の持つ毒の正体を突き止め、その毒物質を人工合成することに慶応大と名古屋大のチームが成功した。二十七-三十日に千葉県船橋市で開かれた日本化学会で発表した。新しい抗炎症剤の開発につながる可能性があるという。

 ウミケムシは体長一〇センチ前後の多毛類。比較的暖かい海を好み、日本では本州から沖縄の干潟などに生息する。体の側面に「剛毛」と呼ばれるとげがあり、触れるとかゆみを伴う炎症が起こる。炎症は数日続き、漁師や釣り人にとっては「嫌われ者」の海の生き物として知られる。

 炎症は毒物質によって引き起こされているとみられていたが、これまで特定されていなかった。チームは、沖縄県の泡瀬干潟でウミケムシの一種「ハナオレウミケムシ」を採集。アルコールで抽出した水溶性成分中の化合物をマウスの足の裏に注射して腫れ具合を観察するという手法を用いて、毒物質を探した。

 その結果、炭素が鎖状につながった構造の神経伝達物質「ガンマアミノ酪酸」を分子内に持つ有機化合物が毒物質と判明。ハナオレウミケムシの学名にちなんで「コンプラニン」と命名した。

 コンプラニンは、炎症を起こす際に重要な役割を果たしている酵素「プロテインキナーゼC」を活性化させていることが分かった。毒性はマウスなどを死なせるほど強くなく、有毒植物のアセビの百分の一程度だった。

 チームは、人工的に化学合成することにも成功。生物から抽出する必要がなくなり、合成物質で実験できるようになることから、物質の性質の解明が一層進むと期待される。

 慶応大の上村大輔教授は「炎症が起こる詳しい仕組みを今後さらに明らかにし、新しいタイプの抗炎症剤に応用する道を探りたい」と話している。

[東京新聞 2009年03月31日]
http://www.tokyo-np.co.jp/article/technology/science/CK2009033102000145.html

骨の破壊を薬で抑制、新治療法に期待=大阪大学、アメリカ国立衛生学研究所

2009年02月09日 | 創薬
 古い骨を破壊する「破骨細胞」が骨の表面にくっつくのを薬剤で抑えると、骨粗しょう症の症状を緩和できることを、大阪大や米国のチームがマウス実験で突き止め、8日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 破骨細胞は古い骨が新しい骨に置き換わるサイクルの一端を担うが、働き過ぎると骨密度の低下や関節リウマチを引き起こす。高齢化に伴い国内には1000万人を超える骨粗しょう症患者がいるとみられ、阪大の石井優准教授は「新たな治療法の開発につながりそうだ」と話している。

 チームは、マウスの骨の内部を特殊顕微鏡で観察。血中の脂質の一種が、骨に付いた破骨細胞を引き離す役割を果たしているのを発見した。より強力に破骨細胞を骨から引き離す薬剤を骨粗しょう症のマウスに投与すると、骨の破壊は投与しない場合の4割程度にとどまった。

[共同通信47NEWS 2009年02月09日]
http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009020801000374.html

微量の薬で効果・副作用を予測 新薬開発に新たな手法=東京大学、医薬品開発支援機構、製薬メーカーなど

2009年01月26日 | 創薬
 臨床試験(治験)に先立ち、開発中の薬をごくわずか飲み、人体での効果や副作用を予測する技術の確立に向けた検証が、3カ年の計画でスタートした。人体への負担が少ないうえ、成功しそうにない治験は避けられ、1千億円ともいわれる新薬開発費を圧縮できる可能性がある。

 「マイクロドーズ試験」と呼ばれる。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託で、東京大学や医薬品開発支援機構、製薬メーカーなどによるグループが実施する。

 すでに承認された約20種の薬で、服用量の100分の1以下を飲んでもらい、放射性同位体や陽電子放射断層撮影(PET)などを用いて、体内での吸収や分布、代謝などを調べる。これで実際の効果や副作用をどの程度、予測できるかを検証する。

 厚生労働省は昨年6月、マイクロドーズ試験の実施にあたって、被験者へのインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)など、手続きや届け出のガイダンスを作製した。杉山雄一・東大薬学系研究科教授は「(マイクロドーズ試験の導入で)治験の成功確率を3割程度まで上げられれば新薬開発にとって飛躍的進歩になる」と話す。(行方史郎)

[朝日新聞 2009年01月26日]
http://www.asahi.com/health/news/TKY200901250201.html

関節リウマチ治療に朗報 メカニズム解明に手がかりの物質特定=就実大学薬学部

2009年01月15日 | 創薬
 関節が炎症を起こして痛む関節リウマチの研究を進めている就実大学薬学部(岡山市)の中西徹教授ら研究チームは、細胞膜上に存在するタンパク質「テトラスパニン」の一種が発症の一因となっていることを突き止めた。このタンパク質は発症メカニズムの全容を解明する上で、重要な手がかりになるとみられる。

 関節リウマチの発症メカニズムについては最近の研究で、関節などを覆っている滑膜内のタンパク質「シノビオリン」(酵素)が過剰に働いて症状が悪化することが分かったが、なぜ併せて滑膜細胞が増大するのか、など因果関係はまだ解明されていない。

 中西教授ら研究チームは、特殊な分析装置(DNAチップ)で関節リウマチ患者と正常な人の滑膜を比較。その結果、患者の滑膜細胞にシノビリオンとは別に、細胞膜表面で絡みつくように存在している正常値の倍以上もあるタンパク質を発見した。

 これがテトラスパニンの一種で、データ分析により、シノビオリン増加を引き起こす原因物質の1つと特定された。そこで、このテトラスパニンの機能を低下させる物質を、関節に炎症のもつ実験ラットに注射したところ、腫れが解消し、同時にシノビオリンが大幅に減少したという。

 これについて中西教授らは、テトラスパニンとシノビオリンとの間で、何らかの情報伝達があって、互いに関係しあっていると結論づけた。

 現在、薬学界ではシノビオリンを抑える治療薬の開発が精力的に進められているが、中西教授らは「特定したテトラスパニンについても、その機能を抑制する抗体など新薬を開発し、関節リウマチの根本治療につなげたい」としている。


[msn産経ニュース 2009年01月15日]
http://sankei.jp.msn.com/science/science/090115/scn0901151845002-n1.htm

スペインかぜ:原因遺伝子特定 新型インフル治療薬に道=東京大学、ウィスコンシン大学

2008年12月30日 | 創薬
 1918年に流行し全世界で約4000万人が死亡したとされる「スペインかぜ」のウイルスが強毒性になった原因遺伝子を、東京大と米ウィスコンシン大が特定した。発生が予想される新型インフルエンザの治療薬開発に役立つという。米国科学アカデミー紀要(電子版)で発表した。

 スペインかぜはインフルエンザの一種。毎年流行するインフルエンザウイルスは鼻やのどで増えるが、スペインかぜウイルスは肺で増え、死者の多くがウイルス性肺炎だった。

 米ウィスコンシン大の渡辺登喜子研究員らは、インフルエンザウイルスの遺伝子が八つのRNA(リボ核酸)を持つことに着目し、人工的に合成できる技術を利用した。スペインかぜウイルスと、通常のインフルエンザウイルスの八つのRNAの組み合わせを変えて10種類のウイルスを作成。増殖の違いを実験動物のフェレットで比べた。

 ほとんどのウイルスは鼻でしか効率的に増えなかった。これに対し、ウイルスを自己複製させる「RNAポリメラーゼ」と呼ばれる酵素などを作る四つのRNAがスペインかぜのものを使ったウイルスは、完全なスペインかぜウイルスと同じように、フェレットの気管と肺でも増殖し強毒性を持っていた。

 研究チームの河岡義裕・東京大医科学研究所教授(ウイルス学)は「四つのRNAはインフルエンザウイルスに共通する。これらのRNAが作るたんぱく質の働きを抑える薬を開発することが、新型インフルエンザ対策に重要だ」と話している。【関東晋慈】

[毎日新聞 2008年12月30日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20081231k0000m040026000c.html

ガラガラヘビ毒から「強力」鎮痛物質=富山大学

2008年11月30日 | 創薬
 南米産のガラガラヘビの毒から、モルヒネの数百倍の鎮痛作用がある物質を抽出して合成することに、富山大和漢医薬学総合研究所の紺野勝弘准教授らが成功した。ラットの実験では効果が3日以上持続し、飲み薬の麻酔に使える可能性があるという。共同研究する製薬会社を探し、新薬の開発をめざす。

 ブラジルに生息するガラガラヘビは、運動神経をまひさせる猛毒で知られるが、かまれても激しい痛みを感じないという。ブラジルでは30年代に、毒を薄めて痛み止め薬として市販されていたという。

 紺野さんは、世界的な毒蛇の研究機関として知られるブラジルのブタンタン研究所や富山大で、ガラガラヘビの毒を分析。チームで、アミノ酸が14個つながった化合物が鎮痛物質と突き止めた。

 さらに、鎮痛効果を確かめるため、ラットの脚に重さをかけ、どれぐらい我慢できるか調べた。この物質を飲んだ群は飲まない群に比べ、ほぼ倍の重さの痛みに耐えることができた。その効果は、1回、飲ませただけで3~5日続いた。モルヒネで同じ効果を出すには、その数百倍の量が必要なことも分かった。

 モルヒネは、使う量を増やさないと効き目が悪くなることがある。一方、このヘビの毒は量を増やさなくても同じ効果が続いたという。

 紺野さんは「飲み薬として使えれば、普及する可能性がある。痛みを抑える仕組みを解明して、薬作りにつなげたい」と話している。(佐藤久恵)


[朝日新聞 2008年11月30日]
http://www.asahi.com/science/update/1129/OSK200811290120.html

カテキンの抗がん作用増強に成功 、酵素で安定化=京都大学

2008年11月26日 | 創薬
 緑茶に含まれるカテキン成分を酵素の力で安定化し、がん細胞の増殖を抑える作用を強めることに成功したと、京都大の松村和明特任助教らのチームが26日、発表した。

 カテキン成分に抗がんや抗ウイルス作用があるのは知られているが、化学的に不安定なため体内で分解されやすく、医薬品としての応用に課題があった。

 正常な細胞に対する毒性がほとんどないのも確認。松村特任助教は「将来はカテキンを使って副作用が少ない抗がん剤ができるかもしれない」と話している。

 チームは、カテキンの主成分に酵素を使って脂肪酸をくっつけると、分解されにくく細胞内に取り込まれやすい構造になることを発見。がん細胞を移植したマウスにカテキン成分を投与して1カ月間観察すると、投与しない場合に比べ、がん組織の大きさが10分の1程度に抑えられるのを確かめた。

[共同通信47NEWS 2008年11月26日]
http://www.47news.jp/CN/200811/CN2008112601000509.html

赤ワイン含有成分まねた薬、肥満などに効果ある可能性=グラクソ・スミスクライン社

2008年11月05日 | 創薬
[ロンドン 4日 ロイター]
 赤ワインに含まれる成分を模して開発が進められている薬が、肥満や糖尿病対策として役立つ可能性があると、研究チームが4日明かした。

 製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK.L: 株価, 企業情報, レポート)の薬「SRT1720」を使ったマウス実験で、レスベラトロールの約1000倍、動物のエネルギー消費やインシュリン・グルコース数値を下げるのを助ける働きがあるエンザイムを活性化させる効果があったという。レスベラトロールは、ブドウや赤ワインに豊富に含まれる成分。同結果は、専門誌「セル・メタボリズム(細胞代謝)」で発表された。

 同薬の開発を担当したグラクソ・スミスクライン傘下のサートリス・ファーマシューティカルズのバイスプレジデント、ピーター・エリオット氏は「今回活性化させたエンザイムは、人々スポーツジムに行った際に活性化させるのと同じもの」とした上で「なのでわれわれは、この薬のプロフィールはとても安全だと考えている」と述べた。

[ロイター 2008年11月05日]
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-34737020081105

風邪ウイルスの作用が明らかに=カルガリー大学、バージニア大学、P&G社ら

2008年10月30日 | 創薬
 普通の風邪の根本的治療につながる新知見が、カナダおよび米国の研究チームにより報告された。普通の風邪は、どこにでも存在するヒトライノウイルス(HRV)が原因だといわれてきたが、実はこのウイルスが鼻水、くしゃみ、咳(せき)などの不快な症状を引き起こしているわけではなく、ウイルスによってヒトの体内の遺伝子活性が変化し、それによって症状が引き起こされるのだという。この知見は、米医学誌「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine(呼吸器・クリティカルケア医学)」11月号に掲載された。
 一般的な風邪の30~50%はHRVが原因であるとされ、喘息などの症状を増悪させることもある。「誰もが風邪には特に害はないと考えており、実際そうなのだが、喘息、気管支炎、肺気腫などの下気道疾患がある人の場合には、風邪のウイルスが急性発作の引き金となり、生命にかかわることもある」と、研究チームの1人、カナダ、カルガリー大学のDavid Proud氏は述べている。

 今回の研究では、35人のボランティアにHRVまたは偽ウイルスのいずれかを注入し、感染前および感染後に鼻上皮から擦過検体を採取した。DNAのマイクロアレイ分析の結果、感染後8時間では遺伝子変化は認められなかったが、2日後には約6,500の遺伝子に変化がみられ、活性が亢進するものもあれば鈍くなるものもあった。ウイルスの存在による影響が特に大きかったのは、気道炎症の一因となる抗ウイルス蛋白(たんぱく)および炎症性化学物質を作る遺伝子であったという。また、最も活性の高かった抗ウイルス蛋白viperinの値は細胞内で2倍以上となり、HRVの複製がviperinによって妨げられることも示された。

「これは、人体がウイルスから身を守るメカニズムとしてこれまで知られていなかった部分である」とProud氏は述べ、この知見が2通りの風邪の治療法につながるとしている。その1つは、症状を引き起こす炎症性遺伝子を特定し、その活性を阻害する方法、もう1つはウイルスとの戦いを助ける鍵となる分子を特定し、その分子の能力を上げたり、外部から補ったりする方法だという。なお、この研究には、米バージニア大学およびP&G社の研究チームが参加している。

 医学誌「Journal of Infectious Diseases(感染症)」11月15日号に掲載された別の研究では、小児の肺感染症による入院の主な原因となる呼吸器合胞体ウイルス(RSV)が、症状が治まった後も体内に残り続けることが判明した。このことが喘息などの慢性気道疾患の原因となるとも考えられ、新しい治療標的となる可能性もあると米テキサス大学サウスウェスタン・メディカルセンター(ダラス)の研究グループは述べている。

原文

[2008年10月24日/HealthDay News]

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[NIKKEI NET いきいき健康 2008年10月30日]
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm


昔から「風邪と、禿げと、水虫、いずれかの特効薬を創ったらノーベル賞」っていう都市伝説がありましたよね。これ、実現しちゃうのかなあ?
将来、「今日は風邪をひいたのでお休みします」って言い訳が通用しなくなっちゃうのかしら。
(元気な人健康な人前提ですが)たまには風邪くらいひいてくれた方が良いような気もします。卵がゆ作って看病してあげますから。

超多剤耐性結核:菌に効果の化合物開発=微生物化学研究会

2008年10月28日 | 創薬
 4種類以上の抗生物質が効かない超多剤耐性結核菌に効果のある化合物を、財団法人微生物化学研究会(東京都品川区)などが開発した。2012年の臨床試験開始を目指す。治療薬ができれば非営利で普及させるという。

 超多剤耐性結核は世界約50カ国で確認され、毎年5万人近くが発病しているとされる。有効な治療薬がなく、国内では02年、3122人の結核患者のうち17人から、この結核菌が検出されている。

 同研究会は抗結核薬「カプラザマイシン」から、より活性を高めた化合物「CPZEN-45」を作った。10種類の治療薬に耐性がある結核菌に感染させたマウスに投与したところ、何も与えなかったマウスに比べて、菌が100分の1に減少、副作用も確認できなかったという。

 同研究会の赤松穣・微生物化学研究センター長(生化学)は「より耐性菌が出にくいように、複数の治療薬を組み合わせる投与法も考えたい。非営利で取り組むことで、臨床試験に協力してくれる機関が出てくることを期待している」と話している。【関東晋慈】

[毎日新聞 2008年10月28日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20081029k0000m040036000c.html

白血病薬アレムツズマブ、多発性硬化症にも効果=ケンブリッジ大学

2008年10月23日 | 創薬
【10月23日 ロンドン/英国発 AFP】
 英ケンブリッジ大(University of Cambridge)の研究チームは23日、白血病治療用に開発された薬剤アレムツズマブが、多発性硬化症(MS)にも効果があるとの発見を報告した。多発性硬化症の進行を阻止するだけでなく、回復も促進するという。

 多発性硬化症は自己免疫疾患の一つと考えられており、白血球やリンパ球などの免疫系が中枢神経系の神経線維を攻撃してしまう結果、視力の低下や四肢のまひ、疲労といった身体障害のほか、抑うつや認知障害などを起こす。患者数は世界で数百万人とされ、英国では10万人、米国では40万人が発病している。

 試験では、アレムツズマブによって発症回数が減り、さらに障害を起こした機能が回復した。破壊された脳組織が修復されたためで、研究開始時よりも患者の健康障害が改善した。

 今回の研究を多方面で準備した同大臨床神経科学部の講師、アラスデア・コール(Alasdair Cole)博士は、「脳組織の修復を促進するMS治療薬の存在はかつてなかった。十分早期に使用されれば、MSの進行を停止すると同時に、組織修復により失われた機能も回復させる薬だ」と期待する。

 英国最大の患者支援団体、多発性硬化症協会(MS Society)の主任研究員リー・ダンスター(Lee Dunster)氏は、今回の試験結果に対し、市販薬として承認を受けるまでにはさらなる研究が必要だとしながらも「MS治療で病状の進行を止める可能性がある薬は初めて。(アレムツズマブは)さらに機能回復効果もあるという。毎日症状に苦しんでいる人たちにとって、この上ない朗報だ」と歓迎を表明した。(c)AFP/Alice Ritchie

[AFP BB News 2008年10月23日]
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2531500/3458248

抗プリオン物質開発、国際学会賞=岐阜大学

2008年10月17日 | 創薬
 岐阜市柳戸、岐阜大学人獣感染防御研究センターの桑田一夫センター長(52)は、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病の原因となる感染性タンパク質の1種「プリオン」の生成を抑える抗プリオン物質を、世界で初めて開発した功績で、化学療法に貢献した研究者に贈られるマジック・バレット(日本語で、魔法の弾丸)賞を受賞した。日本人の受賞は、桑田さん1人。

 この賞は、化学療法を創始し、1908年にノーベル賞を受賞したドイツの細菌学者ポール・エーリッヒを記念した学会「ポール・エーリッヒ・ノーベル賞受賞100周年記念国際学会」が行う。今年はドイツのニュルンベルクで3―5日に開かれ、感染症などの治療薬を開発する研究者が、世界84カ国から約2000人が参加した。

 プリオンは、正常な体内に存在しているタンパク質。ヒトでは大脳皮質に多くみられるが、機能はまだ分かっていない。このプリオンが、何らかの拍子に異常な形になったものが病原体。異常なプリオンが外部から体内へ入り込むと、生体内の正常なプリオンをどんどん異常化し、神経細胞が侵される。

 桑田さんは昨年、正常なプリオンがどのように異常化するかの構造変化を部分的に解明。正常型プリオンが異常型に変化するのを食い止める抗プリオン物質「低分子有機化合物(GN8)」を開発した。今後、5―10年かけて副作用などの安全性が確認されれば、ヒトのプリオン病の治療薬開発につながると期待されている。桑田さんは「日本は創薬については世界に後れを取っている。岐阜大は岐阜薬科大と提携し、創薬部門を強化していこうとしているだけに、今回の受賞は非常に意義があると思う」と喜びを語った。

[岐阜新聞Web 2008年10月17日]
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20081017/200810170855_6138.shtml

後発薬:世界最大手が興和と合併会社 日本市場へ参入=テバファーマスーティカル・インダストリーズ社

2008年09月25日 | 創薬
 後発(ジェネリック)医薬品世界最大手のテバファーマスーティカル・インダストリーズ(イスラエル)は24日、中堅製薬会社の興和(名古屋市)と年内にも合弁会社を設立し、日本市場に本格参入すると発表した。新薬より割安な後発薬の利用を促し、収益拡大につなげる狙い。

 後発薬は新薬の特許が切れた後、特許内容を利用して別の会社が作る薬で、開発費が少ない分だけ価格が安い。厚生労働省が医療費抑制の切り札として積極利用を呼びかけており、第一三共が後発薬を手がけるインドのランバクシー・ラボラトリーズとの買収手続きを進めるなど、国内での動きは活発化している。

 合弁会社「興和テバ」は、テバが開発した後発薬を医療機関などに販売するほか、後発薬の研究・開発も手がける予定。資本金の額は今後詰めるが、テバと興和が50%ずつ出資する。2015年までに売上高を1000億円に拡大し、国内後発薬市場で1割のシェア獲得を目指す。

 テバの年間売上高は約1兆円。05年に日本に現地法人を設立したが、医薬品原材料を販売する程度だった。【宮島寛】

[毎日新聞 2008年09月25日]
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080925k0000m020106000c.html